小説

金髪少女と田舎のお話。

特区に投稿したもののマイナーチェンジ版。 青い空の下に、どこまでもアスファルトの道が続いていた。『んんっ……』 太陽の光を浴びて揺れる、緑深い森の匂いを胸一杯に吸い込んで、エレナはぐうっと胸を反らし、細い腕を伸ばす。 自転車に乗って走ってゆ...
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小公女サラ【メイド見習い編】

ある趣味@JBBSの往年の名スレよりネタを拝借。「ほら、なにをぐずぐずしてるんだい!! 急ぎな!!」「は、はいっ」 イルマに急かされ、サラは継ぎ接ぎだらけの古びた使用人服に着替えさせられ、厨房へと連れてこられました。 そう、今日からサラは使...
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仙人見習いのお話。

穏やかに陽気の満ちる、深い深い山の奥。どうどうと流れ落ちる滝の傍、見上げるほどの岩の上に、その娘は腰を下ろしておりました。 短く肩上で揃えた髪には、緑蔦を編み、貝殻を削った止め具を挟んで飾り、纏う服は仕上げも見事に鮮やかな紅の飾り絹糸で綴ら...
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両手に大荷物の話。

雨上がりの繁華街は、週末ということもあって人通りで混み合っていた。晩夏の空は相変わらず分厚い雲に覆われており、気温と共に湿度も上昇の一途を辿るばかり。 またいつ崩れ出すとも分からない天候を気にして、道行く人々の足取りも忙しない。「んっ、……...
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海とスクール水着のお話。

がたん、がたんとリズミカルに揺れる列車の中、さんさんと照りつける太陽に負けじと、冷房がフル回転を続けている。夏休みににぎわい混雑を見せる車内には大勢の子供達の姿も見え、毎日続くお休みを楽しむ声が聞こえてくる。 窓の外に流れる景色は強い日差し...
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河川敷の運動会・3

処理人数をはるかに超える利用希望者を生み出し、大勢の『おトイレ難民』を抱えることになった河川敷グラウンドの混乱は、午後を前にいよいよ混雑のピークに達しつつあった。 許容人数を超えた仮設トイレが次々と故障、あるいは不調に陥るという悲劇がはじま...
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河川敷の運動会・2

(やっぱり、こっちの方にはないのかなぁ……) 梅雨の合間に覗く青空の下。河川敷沿いの歩道の外れで、小上孝乃は途方に暮れていた。 肩までの髪を短くまとめ、足元はソックスに履き慣れたスニーカー。袖には所属チームを示す水色のリボン。 学校指定のス...
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河川敷の運動会・1

「いけー!! 負けるなーっ!!」「頑張れ、真琴ーーーっ!!」 河川敷の市営グラウンドが、応援と歓声に沸く。 心配されていた雨も前日午後には止み、梅雨の貴重な晴間となった6月第二週の日曜日。毎年恒例の町内会対抗運動会は、直前の会場変更をものと...
永久我慢

寮の中にトイレがない

(トイレ、トイレ……っ) 氷川朋絵は慣れない制服、慣れない寮の廊下を早足で急ぐ。 転校生を出迎える、クラスメイト寮生総出での歓迎会は宴もたけなわ。アルコールこそなかったものの、差し入れのジュースやお菓子を食べすぎてしまったか、朋絵の下腹部、...
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小公女サラ【客用ティーポット編】

ある趣味@JBBSの往年の名スレを元にした話。「どうして……? どうして開かないの……!?」 困惑と共に、サラは何度もドアの取っ手に手をかけ、全身の力を込めて押し開こうとする。 しかし、来賓室の重い樫のドアはびくともせず、無情にも硬い手ごた...