小ネタ

雨あめ降れふれ

昨日から降り続く雨は、午後になってようやく弱まり始めていた。 灰色の空の下、ちらほらと見える学校帰りの生徒たちに混じって、風香は精一杯の早足で帰り道を急いでいた。 けれどその足取りはおぼつかないままで、黄色い傘は右に左にふらふらと揺れている...
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サイクリングロードの我慢

サイクリングロードが遠い。普段ならほんの何十秒かで進める距離が、今の未果には何十倍にも遠く感じられる。 道端の標識には『あと1.6km』の文字があった。 1600m、つまりグラウンド8周分だ。「うぅうっ……ふぅうっ……」 ぎゅうぎゅうと下腹...
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保健体育の授業

「はーい、それじゃあ45ページを開いてね」 先生が、いつもよりもほんの少しだけ大きな声で言う。 愛香はぎゅっと唇を噛んで、もぞもぞお尻の位置を動かしながら机の上の教科書をめくった。「みんな、お口は閉じてくださーい」 注意を受けてもざわざわと...
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ファンタジーの精霊使い

「――邪魔、するなぁっ!!」 司祭の加護を受けた盗賊の短剣は鈍く輝き、覆い被さる狼の喉を貫いた。 仲間を失っても、群れの侵攻は止まらない。 悪魔との契約によって真紅の紋を捺された狼達は、次々と彼等に襲い掛かってくる。「援護頼むっ!!」「は、...
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嘘のトイレ/豪華な部屋編

もう、あのドアが開かなくなって何時間経つのだろう。 床に隙間なく敷き詰められた分厚い絨毯。ふかふかのソファー。大きなテーブル。一見しただけで贅の限りを尽くしたと分かる豪華な部屋も、固く閉ざされたドアで出入りを禁じられてしまえは、結局は牢獄と...
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嘘のトイレ/広い部屋編

「ふぅぅっ……くぅんっ……」「はぁ、はぁ……っ……ねぇっ……まだ、なのっ……!?」「もう、ダメ、ダメぇ……」「ちょっと、はやく……してよぉっ!!」 殺風景な広い部屋に押さえ込まれた苦悶の声が響く。古びた体育館にも似た施設の中には、延々と順番...
小ネタ

雑談スレにての一コマ。

カチカチと無機質なクリックの音が響く。 焦るようにブラウザが再読み込みを繰り返し、ページをリロードする。「くぅっ……んぅっ……」 ノートPCに向かう机の前で、少女は切なげに身体をよじった。 マウスは小刻みに震え、それに連動してディスプレイの...
ノーション

霧沢学院・2

オシッコをしない女の子、『ノーション』たちが生徒として通う私立霧沢学院にも、春を過ぎ夏もいよいよ本番を迎える頃、恒例となっている身体測定の季節がやってくる。 普通の学校ではもっと早い時期に行なわれるこの行事が、学院では中間試験が終わり夏休み...
ノーション

近未来のノーションエイジ

「はい、それでは、今日の授業をはじめます。 前回は二十世紀末から二十一世紀初頭の経済社会の混乱とについてお話しましたね。今日はそれに続いて、当時の社会倫理の乱れについての授業です。 その当時、まだ今のように科学や技術が発達しておらず、栄養の...
ノーション

霧沢学院・1

永久我慢スレにおいて提案された、オシッコをしない女の子の偶像=ノーションというネタに触発されて書いた話。 都心から電車で1時間とすこし。郊外と呼ぶにはやや森深い園に佇む私立霧沢学院。 ここに通うのは10代の、公立で言うならば中学と高校にあた...