2008-02

小説

冬の電車の話。

寒風の吹く1月末。コートにマフラー、手袋と防寒対策に身を包んだ人々が、一様に階段を昇り改札をくぐる。都心から電車で1時間という郊外の立地にふさわしく、朝の7時半過ぎともなれば、駅には雑踏が絶えない。(はやく、はやくっ……) そんなせわしない...
小説

保育園のお話。

「ねーねーおねえちゃん、はやく、はやくっ!!」「ちょ、ちょっと待ってってば……そんなに引っ張ったら……きゃぁあ!?」「うわぁっ!?」 ――べしゃんっ。「……災難だったわねぇ」「あ、あはは……みんな、元気いいですから」「ごめんなさいね、詩織ち...
WetMarchen

第7夜 三匹のこぶた

むかしあるところに、ポー、キィ、ピックという3人の姉妹が住んでいました。 3人はとてもなかよしで、いつも一緒に暮らしていました。 ある日、一番物知りで一番お姉さんのポーが、眼鏡をくいっと直しながらいいました。「この家のトイレもだいぶ古くなっ...
小ネタ

裁判風味な。

「つまり、被告――北条ユキさんは、藤宮邸の来賓室の中に敷かれた絨毯が時価数億円にものぼる高価な品であることを知りながら、下着を下ろし排泄行為に及ぼうとしたもので、これは明らかに屋敷の所有者である藤宮健之助氏の所有する財産を損壊せしめる意図が...