8月の陽射しは、正午を回ってよりいっそう鋭い。肌を差すようにかあっと照りつけるぎらぎらの太陽に、焼けたアスファルトからはうっすらと陽炎が立ち昇っている。
まるで、鉄板焼きの具になった気分。
塾の玄関を出た途端、ぶわっと汗が吹き出てくる。とたんに冷房の利いた教室に回れ右したくなるキモチをこらえながら、夕菜は覚悟を決めて一歩を踏みだした。
「うぁあ……」
靴底が焼けてしまいそうな気分で、じっとりと湿った背中に鞄を背負いなおす。
講義の間椅子の背もたれにくっついて汗をかいていたシャツは、まだうっすらと湿っていた。いつもはほとんど気にしていないスポーツブラのラインが透けてしまっているのをなんとなくむずがゆく思い、夕菜はさりげなくシャツを引っ張ってぱたぱたと煽る。
(暑い……よぉ……)
口を開くとそのまま干乾びるような気分になるので、言葉には出さずぼやいて、早速こめかみに滲みはじめた汗を、日焼けした肌でぬぐった。
このままいつまでも表にいたら、いつ倒れてもおかしくない。冗談抜きで鉄板焼きになりそうに暑いアスファルトを、サンダルが踏み締めるたび、じゅぅ、という音が聞こえてくるようだ。
(はやく……帰ろ)
塾を出てわずか数歩ですっかりぐったりと疲れてしまい、夕菜はうんざりとまばゆい太陽を見上げた。
塾から夕菜の家までは徒歩で10分ほどだ。駅前の立体交差を通るのが近道なので、自転車は使わない。夏のこの時期、姉は部活で朝から家を空けており、共働きの両親も夕方までは帰ってこない。
だから、夏季講習の終わったあと、夕菜はだいたい近くのファーストフードで友達と時間を潰すことにしていた。猛烈な陽射しを避けて、日が傾いた頃に家に戻る、それがここしばらくの夕菜のお決まりのコースになる。
だが、今日はそうもいかなかった。
お盆間近な日付のせいか、ビルの改装と共に駅前に1件しかないファストフードはお休み中で、鍵っ子仲間の友達もみなそれぞれの理由で講習を休むか、講義が終わるなり夕菜にバイバイを言って、まっすぐ家に帰ってしまった。気付けば、先生と雑談していた夕菜は、正午も15分を過ぎた頃合に、最後の生徒として塾を出ることになった。
「……つまんないなぁ」
見知らぬ店にひとりで入り浸るほど夕菜は大胆ではないし、そもそもひとりで時間を潰してもそれこそなんにも面白くない。
となれば、家の中、エアコンで快適に過ごしながら、午後のおやつでもつまむのがお小遣いにも身体にも優しい、一番かしこい過ごし方だろう。
「はー……あっついぃ……」
じりじりと焦げるようなデパートや駅前の本屋を通り、駅ビルへと向かう途中で、夕菜はうんざりとひとりごちる。すっかり暑さにとろけた足取りは、いつもの半分ほどに遅い。もういつもならとっくに駅を越えているのだが、陽炎の立つアスファルトはまるでサンダルの靴底を溶かしてへばりつかせているかのように、一歩一歩が重いのだ。
いつしかぼうっと思考も霞み、自分がどこを歩いているのかも分からなくなる。
ふと見上げれば、街頭のデジタル温度計は電光掲示板にただいまの気温38度なんていう恐ろしい数字を刻んでいた。すでに、この路上の外気温は夕菜の平熱よりも高い。
拭いても拭いても収まらない額の汗をタオルハンカチでぬぐい、夕菜は根負けしてふらふらと道路脇の自動販売機に歩み寄る。
「もぅ、やってらんない……暑すぎ……」
ためらうこともなくお財布を取りだし、右上の清涼飲料水のボタンを押した。
講義中にもまるまる一本飲み干した、冷え冷えの500mlのペットボトルを掴むと、ほとんど間を置かず“ぐいっ”と腰に手を当て一気飲み。
さっき飲んだばかりの水分すらも、もう全部身体のどこかに吸収されてしまったようで、夕菜の喉はすっかり渇ききっていた。水分を渇望する欲求のまま、夕菜はごくごくごくごくっ、と見事な勢いで透明なペットボトルの中身をのどに流し込んでゆく。
「んぅ、んっ、んっ……ぷは」
気付けば、ペットボトルはあっという間に一本まるごと空っぽになっていた。
「ふぅ……」
ようやく人心地ついて灼熱地獄から脱した夕菜は、おおきくため息をひとつ。
なおも激しい正午の陽射しを見上げ、
「……ちょっと、休憩」
暑さに負けながらそのままふらふらと、コンビニのドアをくぐった。
「はぁ……涼しい……」
ちょっと強すぎるくらいの冷房の中で雑誌を立ち読みしつつ、文明の恩恵にしみじみと感謝し、ようやく生き返った心地の夕菜だが、同時にやや困った事態も発生していた。
気になる今月号の連載のページをめくりながら、夕菜の脚はさりげなく重ねられ、片方の爪先はトントンと床を叩く。背中の鞄をかたかたと揺らしながら、夕菜は落ちつきなく身体を揺らしていた。
(んっ……)
体重を乗せた片足から、下腹部にじんっ、と重みが伝わる。脚の付け根にじわじわ溜まってゆくむず痒さが、少女の排泄器官を切なく疼かせる。
自動ドアの一枚を挟んで、気温にして十℃以上も違う快適空間を維持するコンビニの強力な冷房は、次第に夕菜の身体を蝕んでいた。はじめは気持ちよかった力強い涼の風もいまは鬱陶しいばかり。汗に冷えた下半身は硬く強張り、きゅっと寄せあわされた小麦色の脚がぴくんと緊張する。
夕菜が自分で意識する以上に、少女の身体は強い尿意を訴えていたのだった。
「……ぅ」
高まり続ける恥骨上のダムの水位を感じ取り、夕菜はとうとう、続きの気になる立ち読みを中断することにした。読みかけの今月号を棚に戻し、雑誌売り場を後にする。
誰が入ったかもわからないようなコンビニのトイレはあんまり使いたくないが、この際しょうがないだろうと自分を慰める。
だが。
「…………うぁ」
トイレの前には既に先客がいた。しかも、一人ではなく二人でもなく、三人。個室のすぐ前にはジャージ姿の高校生、さらにその後ろには、小さな女の子の手を退いたお母さんの親子連れ。時ならぬ人気のトイレ、コンビニに一つしかない個室の前で、小さな列を作った3人は落ちつきなくトイレの順番を待っている。
外に人が並んでいるという事は、当然ながら現在も個室の中に先客がいることになる。だから、少なくとも、夕菜の順番が回ってくるのはその後――4人がトイレから出てくるまでだ。
冷凍食品を売る棚の近いトイレの側には、強すぎるくらいの冷風が激しく吹き付けている。それは、ただでさえ現在進行形で高まり続ける夕菜のトイレの欲求をより加速させるのには十分だった。
(…………)
ちくちくとおなかの中に響くむず痒い痺れが、強い冷風に煽られてさらに加速する。
足の付け根に感じる熱い重みに耐えかねて、その場でさりげなく小刻みのステップを繰り返し、夕菜は思案をめぐらせた。
(……いいや、待ってるのも面倒だし……帰ろ)
そう決断を下し、夕菜はそのままくるりと踵を返してコンビニの出口へと向かう。それなりに後ろ髪を引かれないでもなかったが、駅前のコンビニから家まではわずか5分とすこし。それくらいならさほど苦労せず我慢できるだろうと判断する。
「ありがとうございましたー」
マニュアルどおりの店員の声を背に、自動ドアをくぐる。
決心はしていたつもりだったが、店内から一歩を踏みだしたとたん、再び38度の夏の外気と、ぎらぎらと輝く直射日光が凄まじいまでもの圧迫力で夕菜を迎え入れた。
「うぅ、さっきより暑いかも……」
くじけそうになった気分を奮い立たせてを歩き出した夕菜を、容赦なく夏の陽射しが覆う。
駅ビルの近くには窓ガラスも多く、反射光は通りのいたるところを照らし出している。焼けたコンクリートにエアコンの室外排気もタッグを組んで気温の上昇に貢献している。
ひっこんでいた汗があっという間に吹きだして、じわじわと夕菜のシャツを湿らせてゆく。こうして夕菜が摂取した水分はまたたくまに少女の全身を巡り、活発な新陳代謝の果てに排出されてゆくのだ。
だが、それよりも激しく、夕菜の下腹部はもうひとつの新陳代謝の結果に侵略されつつあった。
(ぅく……やだ、なんか……急に……)
大量に摂取した水分と、急激な冷房に冷えた身体。さらには気温の上下がもたらした自律神経の軽い混乱。いくつもの要素を掛け合わせて作り出されたオシッコが、重苦しいまでに夕菜の下腹部の一部分を膨らませていた。少女の下腹部に閉じ込められた熱水は、ゆっくりとイケナイ部分へと集まり、少女の羞恥心を圧迫する。
切に解放を訴える下腹部は、アスファルトに踏みだす一歩ごとに敏感に衝撃を感じ取り、連動するようにじぃんっ、と背筋に微弱な電流を走らせる。
(か、かなりしたくなってきちゃったかも……い、急がなきゃ……)
急速に高まり続ける尿意の素は、その実授業中から飲み続けていたお茶に他ならない。これまでは別のことに集中していたせいで忘れていた尿意は、一旦意識に浮かぶと、今度は強烈な存在力を示しながら一方的に膨らみ続けている。
脚の付け根に溜まってゆく重圧にせかされて駅前東口の階段に辿り着き、夕菜はしがみ付くようにエスカレーターに飛び乗った。ゆっくりと持ち上がる身体を手摺りに預け、さりげなく呼吸を整えて、楽な姿勢を探す。
(ぅ……は)
ふー、ふー、はぁー、と独特の息遣いで呼吸を繰り返し、排泄器官の余裕を懸命に取り戻しながら、夕菜はじんわりと滲む額の汗を擦った。
「はぅ……」
こんなに熱くて汗が止まらないんだから、少しくらいオシッコも減ってくれてもいいだろうと思うのだが、膀胱に閉じ込められたまま長時間に渡ってくつくつと煮詰められた尿意は、ちくちくとした針のように、夕菜の下腹部を刺激している。
長い時間の我慢の末、濃縮されてしまった夕菜のオシッコには、体外に排出すべき不要な成分がぐっと凝縮されて、より一層尿意を高めているのに違いなかった。
(あ……やぁ、こ、こんなトコで……っ)
ぞわりっ、と尿意の波がやってくる。危険水位を突破した尿意は、ざわざわと波立ち間断的に夕菜を責め立て始めていた。こぽこぽと沸騰する下腹部のティーポットの感触に、夕菜はぐっと唇を噛み、お尻に力を込めて、緩みそうになった出口をぐっと締め付けた。
まさかこんな往来で堂々と前押さえができるわけもなく、夕菜は股間の括約筋の力だけで押し寄せるオシッコの圧力に抗わなければならなかった。
(う……く……)
油断に不意打ちが重なり、一瞬、ぷくりと膨らみかけてしまったオシッコの出口をぎゅうっと締め付け、息を押し殺して足を閉じ合わせる。
緊張した内腿がぴくりと強張り、膝が重ねあわされる。知らず左右にくねる腰は、行き場をなくしたオシッコが少女の体内でざわざわとうねる余波だ。
そうして夕菜が身体を強張らせている間に、エスカレーターは終点に近付いていた。
まだ我慢のため内腿を緊張させたまま、夕菜は慎重にエスカレーターから降りる。
「あぅっ……」
移動速度の変化がもたらす特有の感覚に、ぴくんと少女の眉が跳ねた。
慣性の法則に従い、そのままエスカレーターの速度で動き続けていようとしたオシッコが、夕菜の下腹部でうねる。小さな膀胱に閉じ込められた水分が脆くなっている排泄孔に押し寄せた。
落ち着かない下半身に神経を集中させ、夕菜はできる限りの早足で先を急いだ。
(……大丈夫、もうちょっとで家だから……)
ちょうど下りの電車が着いたところらしく、改札口前はそれなりに混雑していた。
雑踏の向こうに一瞬、構内の公衆トイレが映る。それだけで夕菜の下半身は敏感に反応してしまう。
またもきゅぅっと高まる尿意を、夕菜は再度脚をくねらせて押さえ込まねばならなかった。
(と、トイレ……っ)
切なく疼くおなかを押さえ、できることなら今すぐにでも駆け込んでしまいたい。だが、小さなローカル線の駅のトイレは改札口をくぐった先にしかないのだ。切符を買うでもしなければそこには辿り着けない。
……あるいは、駅員に訳を話して改札を通してもらうという手段がないわけではない。しかし、少女の繊細な羞恥心は、他人に自分のオシッコ我慢の状態を知らせるような行為をよしとしなかった。
(もう、我慢できなかったんだって思われちゃう……)
手の届きそうな場所にオシッコを済ませるための場所を収めながら、夕菜は我慢を続けその脇を通り過ぎねばならなかった。それでも夕菜の心は自動改札の向こうへと通り抜け、閉ざされた城門の先にある婦人用トイレに駆け込んでゆく制服姿の女子学生に自分を重ね合わせてしまう。
(……いいなぁ……)
制服姿の子は、あと十数秒で個室に入り鍵をかけ、そこで思うままオシッコを出せるのだろう。それが羨ましくてたまらず、知らず羨望の声を上げてしまう。すでに夕菜の思考は「家まで我慢すればいい」よりも「どこでもいいから、早くトイレ」へとシフトしていた。
後ろ髪を引かれる思いを断ち切って、夕菜はまっすぐ改札口前を通り抜ける。
とにもかくにも、今は一分一秒でも惜しかった。できるだけそっと階段を駆け下りて、立体交差を抜け駅の西口へと出る。
「いいや、近道しよっ……!!」
本当ならこのままぐるっと駅前の循環バス広場を回りこむように横断歩道を回り、二つ信号待ちをして大通りを横断するのだが、限界の迫る夕菜には、律儀に信号を守っている余裕がなくなっていた。
点滅する青信号の歩道を駆け抜け、そのまま路肩駐車の隙間を抜けようと車道に出た。
のろのろと進むバスを確認しつつ、左右を窺う。
だが――
(あ……や、やば……っ)
信号無視をしたことへの罰だろうか。あるいは、許容量寸前の水風船を抱えたまま激しく動いてしまったからだろうか。前触れもなく唐突に、夕菜の身体の奥底からごぽり、と熱い塊が込み上げてくる。
ぎゅうぅ、と膀胱が身をよじり、ちくちくとした尿意は一層激しいものとなった。まるで本当にお腹の中でオシッコが沸騰しているかのよう。閉じ合わせていたはずのオシッコの出口がぴくぴくと痙攣し、じゅ、じわ、じゅっ、とイケナイ予兆を滲ませる。
(……っ!?)
その猛烈な波を、夕菜はもはや我慢しきれなかった。
ぐりっ、とねじられた身体がそのまま車と車の間に引っ込む。
路上駐車の物陰で丸くなるように腰を落とし、しゃがみ込んだ夕菜は立てたかかとにあそこを押し付けて、ぐりぐりと腰をねじる。ちょうど、オシッコの出口を靴のかかとで塞ぐような格好だ。
「うぁ……、ふ、ぁああっ……くぅぅ……」
荒くなった声をおさえるためぐっとくちびるを噛み、夕菜は息を殺して足の付け根を握り締めた。
崩壊の予兆に突き出されたお尻が左右に振られ、股間に走る甘い痺れが夕菜を責め苛む。
こんな姿は、決して人前でしてはならないことだった。せめて人目を避けようと路上駐車の隙間に身体をちぢこませるが、猛烈な尿意はまるきりおさまる気配がない。
まるで細く熱い棒のような何かが、排泄孔をこじ開けてゆくような感触。これまでに経験したオシッコの気配よりも数倍激しいそれを、夕菜は必死になってお腹の中にとどまらせようとする。
きぃん、と耳の奥がうなり、目の前がちかちかとまたたいた。
全身の水分が、ぜんぶ膀胱に集まってゆくような――そんな感覚。夕菜の身体は、オシッコをこぼさないよう必死に受けとめる、脆く繊細な容器でしかなくなっていった。
全身全霊を使った我慢は、そのまま数分、続いた。
「はぅ、はっ……」
じわ、と熱く滲む下着の感触を両の手のひらで押さえながら、夕菜は小さく喘ぎつつふらふらと立ちあがる。
(は、はやく……家までっ……)
ありったけの力を使いながら、夕菜は完全な勝利を収めることはできなかった。夕菜のしゃがみこんでいたアスファルトには点々と黒い染みが散らばり、スカートのお尻には色の変わった区画がはっきりと浮かび、剥き出しの太腿にはいくすじかの水流のあとが伝っている。
おチビりとは言いがたい、明確なオモラシの証拠がありありと少女の下半身に刻まれていた。
ガクガクと震えている膝は、まだ完全にはオシッコがおさまっていない事を如実に示している。……いや、少女が一度始まってしまったオシッコを堪えることなど、本来できるはずもないのだ。
(ま、間に、合わなく、なっちゃ……)
けれど。だからこそ。夕菜は家に戻らねばならなかった。
だが、わずかに踏みだす一歩に反応して、じゅ、しゅるるっ、じゅぅぅ、と夕菜の下着は熱く湿って張りついた股間で水音を立て、少女のスカートは色濃く染まってゆく。
じゅ、じゅうっ、じゅるるっ、
「ぁあ……ぁ……」
かくり、と曲がった膝が、震えながら折れ曲がり、少女の腰がすとんと落ちる。
車の影から飛び出し、通りの真ん中あたりまで出たところで、とうとう夕菜は動けなくなった。
その間にも少女の白い脚には幾筋も黄色い水流が流れ落ち、スカートがどうしようもないほどに濃く色を変えてゆく。濃密なオシッコは、色の薄い布地を経てなお分かるほどに、薄い琥珀色の色合いを覗かせている。
しゅる、しゅるるぅ、しゅわああ……
「ぁ、あああ、あぁぅ……」
意思に反して勝手にオシッコを出し始めてしまう身体が、耐えに耐えていたものからの解放感にうち震える。パンツの中にぶつかって溢れ出し、おしりを熱く包み込む感触に夕菜の心は折れてしまった。
力を失った膝がかくんと折れ曲がり、大通りのまんなかに、ぶじゅぅっ、と激しい水流が叩き付けられた。
夕菜がねじるように掴んで引っ張った下着の隙間から、激しい水流がぶちまけられる。
徐行してきた乗用車が、通りの真ん中で動けなくなった少女に驚き、何事かと停車した。
そのすぐ前で、夕菜は本格的なオモラシを披露してしまう。多くの人々の視線にさらされながら、少女は長い我慢で煮詰められたにオシッコをアスファルトの上に盛大に撒き続けてゆく。
「ぁ、ああ、あっ、ああああっ」
びりびりと脚の付け根を走る圧倒的な解放感。少女の小さな下腹部を占領していた水風船が、激しい収縮と共にありったけの勢いでオシッコを絞り出した。まるで打ち水のように、アスファルトの上に、夕菜の身体の中で長時間かけ煮詰められた特濃のオシッコが叩き付けられる。
都会の陽射しに熱せられた黒いアスファルトの上で、たちまち蒸気がむわっと立ちのぼり、夕菜のオモラシが太陽にあぶられてゆく。
「あ、やっ、嫌ぁぁ……っ」
ばちゃばちゃばちゃ、ぶじゅっ、じゅる、じゅぶぶぶぶ……
車も人通りも多い道路のの真ん中でしゃがみこんでしまい、我慢も押さえ込むこともできず、夕菜は本当の勢いで激しくオシッコをはじめてしまった。少女の下腹部を膨らませていた、半リットルにも及ぶ琥珀色の水流は、アスファルトの上で四方に拡がり、道の端から端まで流れ落ちてゆく。
「あっお姉ちゃんオシッコしてるよ!! オシッコしてる!!」
親子連れの無邪気な子供の声が、夕菜にとどめを刺した。
力なく崩れ落ちた膝が、アスファルトの上の水たまりにぱちゃんと落ち、熱せられた地面で火傷しそうに熱くなったオシッコの海に下着が押し付けられる。
地面に押しつけられた少女の股間からは、いつまでもくぐもった音と共に、濃い琥珀色のオシッコが溢れ続けていた。
(初出:書き下ろし 2008/09/07)
夏休みの我慢の話。(塾帰り編)
