法廷に至る経緯。

 『裁判風味な。』の前日譚。
 いちおうは選択肢式ですが、どれを選んでも結果はさして変わらずです。
 続きを読むでオチが読めますが、全部まとめて表示されます。


「っ……ふぅ…ッ」
 部屋に誰もいないのをいいことに、ユキの我慢の仕草は次第に大胆なものになっていた。ぴんと伸ばされた靴下の爪先はふかふかの絨毯を掻き回し、硬直と弛緩を繰り返す。
 膝上のスカートから伸びた白い膝が震えるようにぎゅっと寄せ合わされ、脚の付け根の隙間には手が挟みこまれて、直接下着の上から股間を押さえていた。
 尿意の波を乗り越えるためユキが身体を緊張させるのにあわせて、革張りのソファーがぎし、ぎしっ、と軋む。
「ぁ、はぅ……っ」
 唇をそっと噛んで声だけは押さえこみながら、断続的な波にひとつずつ抵抗してゆく。しかし、固く張り詰めた下腹部の中では、オシッコでぱんぱんに膨らんだ膀胱が一刻も早い尿意の解放を叫んでいるのだ。
 じんっ、と下着の股布に響く甘い痺れの誘惑に息を飲む。たとえいまはなんとか抗えていても、これは機械を相手にした際限のない綱引きのようなもので、いつかは疲れ果てたユキに限界がきてしまうのは明らかだ。
 じっとりと汗に滲んだ背中が、鈍く重い。
「はぁ……はぁ……っ」
 ぞわりっ、と背中を這い登った感覚をどうにか押さえこんで、尿意は波の合間にあるわずかな安定期を迎えた。いまだ緊張の続く下半身を庇いながらも、いくらか余裕のできた隙を狙ってユキは熱い吐息をこぼす。
(……どうしよう。もう、そんなに……もたない、かも)
 少女のプライドも、そろそろ我慢の限界が近いことを認めざるを得なかった。
 しかし、応接室は不慮の事態により密室と化している。閉ざされた錠前と嵌め殺しの窓に封じられて、ユキにこの部屋から抜けだす術はないのだ。
 それはつまり、ユキにはどうやってもこの爆発寸前の尿意を解放する場所がない、ということであった。
(もしかして、本当に、このまま……?)
 一向に開く気配のない扉を前に、ユキの脳裏を最悪の予想がよぎる。
 もしも本当に、誰にも気づかれないまま、ここで限界を迎えてしまったら――その想像はあまりにも残酷なものだった。
(い、嫌、そんなの……っ!!)
 しかし、一旦想像してしまえばそれはあまりにリアルな現実で、不可避の未来にも思える。
 いても経ってもいられない。これまではなんとか我慢してこれたが、このままいつまでも持つとはとても思えないのだ。
「んッ……」
 ユキは焦る気持ちのまま、下半身を庇って立ちあがる。片足だけに体重がかかり、じんっ、と膀胱が圧迫されて恥骨の下あたりをイケナイ感覚が走る。
 ぎゅっと目を閉じ甘い誘惑を堪えながら、ユキは慎重な足取りでドアへと向かった。
「あ、あのう、誰か、いませんかっ」
 これまで5回試して、5回とも開くことのなかったドア。ノブを回し、軽く握ったこぶしでドアを叩きながら、ユキは恥ずかしさをこらえて声を上げる。
「お願いします、誰か、ここ、開けてくださいっ……!!」
 控えめながらも切羽詰った声は、少女がどれほど逼迫しているかをはっきりと知らせるものとなっていた。事実、ドアを引きながらもユキの腰はちいさく左右に揺すられ、靴下の爪先は交互に持ち上げられてはぎゅっと寄せ合わせれている。
「すいません!! 誰か、いないんですか…!?」
 中腰のままわずかに突き出されたお尻が、くねくねと揺れる。
 乾いた喉に唾を流しこみ、ユキはかぁっと頬を染めながら自分の尿意を口にした。
「誰か……あの、わたし……お、……お手洗いにっ……!!」
 小さな女の子であるのならばともかく、思春期の少女にとって、トイレに関する台詞は、人前で口にするのをもっとも避けたい話題である。家の外で普通に口にすることすらためらわれるのに、よそのお屋敷で、しかも誰かに聞こえるように声をはり上げるのは、少女の人一倍繊細な羞恥心をおおいに刺激した。
 それに敏感に反応した尿意が、再度の活性化を始めてしまう。
「すみませんっ、本当に、お、お手洗い……行きたくて……ぁう……ッ」
 一旦は落ちついていた尿意の波が、再び少女の敏感な排泄孔へと迫る。膀胱がきゅぅと収縮し、膝が勝手に震えだしてしまう。押し寄せる尿意の波は一瞬で少女の下半身を飲み込み、荒々しく暴れまわる。
 いつしかユキの内股になった腿までが、細かな痙攣を始めていた。
「ぁくっ……だ、ダメぇ……ッ」
 ユキはたまらずドアノブにしがみ付き、もう一方の手をスカートの間に押しこんでぐっと押さえこむ。それでも飽き足らず、股間を握り締めるはしたない姿のまま、ユキの脚は力を失うままにゆっくりとしゃがみこみ始めてしまう。
「っ……ぅ、うっ、っく、ふぅ……っ」
(ガマン、ガマンしなきゃ……!!)
 より一層の危険な体勢が、おおいに少女の排泄欲求を刺激した。今にも溢れ出し、にじみ出てしまいそうなオシッコを堰きとめようと、ユキは立てた靴のかかとにぐいっとあそこを押し付け、はしたなく腰を揺すって堪える。
 漏らしてしまうわけにはいかない。
 ここは断じてトイレではない。汚してしまうどころか、みだりに触れる事すら許されないような、高価な調度品に彩られた部屋なのだ。もしもガマンしきれずにオシッコを漏らし、絨毯やソファーを汚してしまうようなkとおがあれば、どう考えてもユキのお小遣いで弁償が利くようなことにはならないのである。
「ッ……」
(だ、だめ!! ホントにもう、出ちゃう…ッ!!)
 しかし、少女の下腹部は、理性の制止を無視しすでにオシッコの準備を始めつつあった。じんじんと麻痺する股間では、すでにじゅ、じゅぅっ、とイケナイ水音が響き始めている。
「ぁああ……っ!!」
 立て続けに襲ってくるオシッコの誘惑が、制服の下でユキの下着を汚してゆく。
 スカートの上から指を立てて必死に股間をさすり、ユキはもはや自分の身体が我慢を続けられないことを悟った。
(だめ……我慢できない……っ!!)
 どうしよう。
 どうしよう。
 必死になった少女の視線が応接室を巡る。無論、こんな場所にトイレなどあるわけがない。だが、このままオシッコを出してしまうわけにはいかなかった。少女の意思を無視して、いまにも吹き出そうとしている熱い水流。いったん出始めてしまえば最後、もうそれを止めることは不可能なのだ。
 限界を迎えたユキが選んだのは――
1.花瓶
2.灰皿
3.植木鉢


1.花瓶
 壁に飾られていたガラスの花瓶だった。
 花を活ける事よりも、その精緻な細工を楽しませるためであろう美しい曲線を描いた花瓶をつかむと、ユキは片手でパンツを膝まで引きずりおろし、壁際に駆け寄ってドアを背に腰を落とす。
「ごめんなさい、ごめんなさいっ…」
(で、でももう我慢、できないんですっ……!!!)
 花瓶に活けられていた花を引っこ抜き、しゃがみ込むと同時、ユキはオシッコの出口に花瓶をあてがった。
 一瞬送れて、激しい水流が少女の股間から吹き出し、花瓶の中へと叩きつけられる。
「ぁ、ふぁあっ……」
 括約筋を振るわせるびりびりとした衝撃に、思わず声が漏れる。
 激しい勢いで排泄される熱いオシッコの奔流を、細く小さなガラスの入れ物が受け止めた。容器の底にぶつかって泡を立て、飛沫を飛ばして溜まってゆく薄黄色の液体。まるで――病院でシビンを使っているかのよう。本来ならばトイレの個室で誰にも秘密に行われるはずの、少女の排泄という行為が、いっさいの虚飾を剥ぎ取られて剥き出しにされていた。
(やだ、っ……す、凄い音しちゃう……止まらない……っ!!)
 我慢に我慢を重ねた上での排泄は、遠慮のない勢いで花瓶を満たしてゆく。ざっと1リットルは容量のありそうなガラスの容器を、またたくまに埋め尽くしてゆく自分のオシッコをはっきりと見せ付けられて、ユキは顔から火が出る思いだった。
 招待されたお屋敷の応接室で、飾られていた花瓶をトイレの代わりにして我慢しきれずにオシッコをしてしまうことの罪悪感が、少女を責めさいなむ。
 だが、オシッコは一向に弱まらない。小さな入れ物を埋め尽くしてしまわんとばかりに、少女のオシッコは花瓶のなかへと注がれ続けていった。
(え……う、嘘、も、もう……こんなに…? ……そんな、いつもこんなにいっぱい出ないのに……っ)
 いつしか、花瓶の縁近くまで水面が上昇していることに気づき、ユキは顔を青ざめさせた。今なおオシッコは出続けており、まだまだ終わりそうにないというのに――花瓶のほうが先に限界を訴えている。ガラスの容器は、まるでさっきまでのユキの膀胱のように、もうオシッコを溜めておけないと叫んでいた。
(だ、だめ、だめ……止めなきゃ……溢れちゃう……っ!?)
 不幸な事実であった。
 長時間の我慢の末に、ユキの膀胱を限界まで満たしていたオシッコの量は、ユキ自身が想像していたよりもずっと多かったのだ。しかしそれでも、本来この花瓶の容量ならばユキのオシッコをすべて受け止めることも可能だったろう。――もし、花瓶が完全に空っぽであるならば。
 花を活けていた花瓶には当然のように水が入れられており、そのせいで花瓶の実質的な容量は見た目よりもかなり少なくなっていた。もともと中身が入っているところへ、さらに勢いよくユキのオシッコが注がれたのだから、許容量を超えてしまうのも仕方のないことだった。
「だ……やだ、だめ、だめえ……」
 慌てて括約筋を絞るが、もはやオシッコが止まるはずもない。膨らんだ風船がしぼむように、あとは最後まで出きってしまうまで止まらないのだ。動くこともできず、で続けるオシッコを止めることもかなわずに、ユキはただ身体を硬直させるばかりだった。
 じょぼじょぼとオシッコを注がれ、泡立ちながらぐんぐんと上昇する花瓶の水面が、その縁にかかり、表面張力で盛り上がる。
「だ、だめ……え!!」
 ユキは咄嗟に股間に手を伸ばすが、指で押さえてなおオシッコは止まらない。花瓶に収まるはずだったオシッコはユキの手のひらに受け止められ、指の間からぱちゃぱちゃと溢れて飛び散ってしまう。あんなにも大きな花瓶をいっぱいにしておきながら、ユキのオシッコはまだ普通の女の子が一回に済ますくらいの量を残していた。
「や、やだ……オモラシ……こんなのっ……」
 人の何倍もオシッコをしてしまう恥ずかしい女の子――それがユキのコンプレックスだった。
 花瓶を溢れさせてなお余りあるオシッコを、余すところなく絨毯の上に振りまいて――ユキはぐったりとうなだれ、ぐちゃぐちゃになった床の上にへたりこんだ。
 END.


2.灰皿
 ユキは、ためらわずテーブルの上の灰皿を掴んだ。テーブルのすぐ傍、絨毯の上にそれを置くと、念入りに周囲を見回して誰も見ていないことを確認する。
(っ、ごめんなさい、あとでちゃんときれいにしますっ……も、もう本当に我慢できませんっ……ぉ、オシッコ、これに、ちょっとだけさせてくださいっ!!)
 胸の中で懺悔をすると、ユキはスカートをたくし上げて灰皿の上にしゃがみ込んだ。
 こんなものをトイレにしてしまうことの罪悪感はもちろんある。恥ずかしくて死んでしまいそうだった。だが、それ以上に切羽詰った尿意がそんな感傷を許さない。
 ユキは下着を膝の上まで下ろし、深く腰を下ろして、灰皿に開いた小さな穴めがけ、破裂しそうな尿意を一気に解放する。
 ぶしゅっ、じょじょじょじょぉおっ!!
 勢い良く吹き出したオシッコが、吸殻一つない灰皿に注ぎ込まれる。たちまち泡を立て、飛沫を散らす自分のオシッコを、小さな入れ物が飲み込んでゆくのを、明楽は真っ赤になって俯きながら確かに感じていた。
 灰皿は、要するにタバコを吸った時に出るようなごみを捨てる場所――汚いものを捨てるために用意されているものだ。だから、どうしてもどうしてもオシッコが我慢できなくて、どこかで出してしまわなければならないなら、せめて誰も触らないような場所に出してしまうべきだと、ユキは判断したのだった。
「はぁああ……っ」
 長い我慢からの解放がユキの背中をぞくぞくと震わせる。開け放たれた水門から、薄く黄色に染まったオシッコが激しく灰皿に注ぎ込まれてゆく。
 トイレではない場所での排泄は、限界の少女に異様な興奮をもたらしていた。
 しかし――そんなユキの誤算は、自分の我慢し続けたオシッコの量に対して、この灰皿の大きさを見誤ったことにあった。
「え――や、やだっ」
 ふと灰皿を見下ろしたユキは、全く予想外の光景に狼狽する。
 まだまだ勢いの衰えないまま、ユキのオシッコは出続けているのに、たっぷりと泡立つオシッコを受け止めた灰皿は、早くも一杯になろうとしていたのだった。
「そ、そんなっ、ま、まだ全部出してないのに……もういっぱいになっちゃう……!? だ、だめ、止めなきゃっ」
 そう。本来ならトイレで思う存分できていたはずのオシッコだが、ユキがその代わりに選んだ灰皿には当然、容量があり、自由に好きなだけオシッコを済ませられるわけではなかったのだ。ユキが長い時間をかけて我慢し続けたオシッコは、小さな灰皿のなかに全部収まるとはとても思えないほどに多かった。まだ半分も出きっていないのに、灰皿はすでに水面ぎりぎりまでいっぱいになってしまっている。
 じょ、じょぼっ、じょぼろろろぉ……
「や、やだ、止まらないっ……だめ、オシッコやめないとダメなのにっ、あ、ああっ、待ってっ!!」
 排泄器官を抑えようと腰をくねらせるも、オシッコは蛇のように左右にのたうつばかりで、吹き出す勢いは全く弱まらない。灰皿には受け止めきれない少女の恥ずかしいお湯が、あっさりと灰皿の縁を乗り越えてあふれ出した。
「や、やだ、だめ、だめえ……!!」
 一度、女の子が始めてしまったオシッコが途中で止まるわけもないのだ。
 ユキの脚の付け根から吹き出す薄黄色の液体は、止めようとするユキの意思を無視して絨毯に広がってゆく。熱い雫がじょぼじょぼと絨毯を色濃く染めてゆくのを、ユキはただ黙って見続けるしかなかった。
 END.


3.植木鉢
 
 ユキが選んだのは、植木鉢だった。
 両手に余るほどの大きさの巨大な植木鉢――たっぷりと土を詰めて部屋の隅にでんと構えた観葉植物のそれは、確かに力強くユキのオシッコを受け止めてくれそうに思えたのだ。
「ごめんなさい、ごめんなさいっ……」
 誰にともなく謝りながら、ユキは部屋の隅へと駆け寄ってゆく。同時にスカートの中に手を突っ込み、下着を膝まで引き摺り下ろしながら。
 観葉植物にしがみ付くように身体を幹に寄せ、蟹股に脚を開きスカートを大きくたくし上げて『ぐいっ』と腰を突き出す。ちょうど、出たオシッコが観葉植物の根元に注ぎ込まれるように股間の位置と角度を調整する。
(わ、私、凄いカッコしてる……っ)
 まるで、男の子の立ちションのようだった。……いや、それよりも酷いかもしれない。誰かに見られでもしたら、木の根元にオシッコをしていたという以外、絶対に言い訳のきかない明らかな排泄の姿。
(ぁああ……だめ、出ちゃうっ!!)
 オシッコをするためのポーズをとっているのだから、もう我慢が利くわけもない。
 ぶしゅっ、じょぁああああああ!!
 背中をそらせて股間を前に、開かれた脚の付け根から、大きく弧を描いて飛沫がほとばしる。
 さすがに男の子ほど上手くはいかないにしろ、広げた脚の間から放たれた野太い水流は、少女の股間から排泄されるものとは思えないほど勢い良く激しく吹き出して、植木鉢の上に叩き付けられる。
(だ、だめ、木にひっかけちゃわないようにしなきゃ……)
 ユキは排泄の開放感に震える腰を動かしながら、股間の位置を調節する。湯気を立てるほどのオシッコが、木の根元めがけて注ぎ込まれ、植木鉢の表面に激しく泡を立てた。
 いじましいほどの、うまくオシッコをするための努力を経て少女が放つ水流は苔むした木の幹をあっという間に汚し、乾いていた根元の土を泥に変える。
 じょぼ、じょぼぼぼぼぼぉ……!!
「ふぁあ……」
 とんでもないことをしているという罪悪感は、オシッコからの開放感で薄れていた。長時間強いられた我慢を終えた瞬間の心地よさは、まるで快楽にも近いもの。思う存分オシッコのできることの幸せを噛み締め、ユキの“女の子”は遠慮なくオシッコを出し続ける。
 我慢し続けたオシッコも、こうやって木の水やりになって養分になるから、少しでも役に立つだろうと自分を誤魔化し、ユキは鉢植えへのオシッコを続ける。
 しかし、ユキは不幸にも知らなかった。
 鉢植えというものは基本的に水を溜めておくようなものではない。植木鉢に水が溜まれば、すぐに根が腐ってしまうためだ。そのため植木鉢の土には保水能力など皆無に等しく、注がれた水のほとんどは底からこぼれてしまうものなのだ。それだけに鉢植えへの水遣りは定期的に行われねばならない。
「え……や、な、なに!? これっ」
 ユキのオシッコはたちまちのうちに植木鉢の中を通過して、受け皿をいっぱいにしていた。出続けるオシッコはそのままの勢いで植木鉢のしたからあふれ出してしまっている。
 そして――人間の排泄物はそのままでは植物の肥料になることはない。発酵させなければその成分のほとんどは有益どころか害のあるものでしかなく、さらにユキがしたばかりのオシッコは体温に近い温度まで暖められた、植物にとってはほとんど『熱湯』に近いようなものだ。
「や、やだっやだやだっ、なんで!? お、オシッコ、全部こぼれちゃうっ!?」
 唐突にユキのオシッコを浴びせかけられ、てきめんに観葉植物の葉がしおれ出す。鉢植えの土を通過して絨毯にこぼれるユキのオシッコは、泥に汚れた茶色になってなお大量だった。
 動揺し腰を引いた途端、ユキのオシッコは制御を失いばちゃばちゃとあちこちに飛び散った。絨毯や観葉植物、それどころか部屋の隅のカーテンや家具までを区別なくびちゃびちゃに汚してゆく。ただのオモラシよりも数倍たちの悪い、オシッコの大災害だ。
「だ、だめぇ……止まって……やだぁ……」
 ユキが押さえ込んだ両手の下で、なおもばちゃばちゃと吹き出すオシッコは、やがて大きく少女の体と、その足元の地面を侵食していった。
 END.
(初出:書き下ろし)

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