2008-12

WetMarchen

第10夜 ピーター・パン

「よぉーしウェンディ、今日は何をして遊ぼうか。かくれんぼはこのまえやったし、鬼ごっこも飽きたなぁ。またフック船長でもからかってこようか?」 満天輝く星空の下、今日もピーターはご機嫌でした。今日は一体どんな楽しい遊びをしてやろうかと、いたずら...
ノーション

霧沢学院・3

『オシッコをしない女の子』――ノーションの楽園である霧沢学院の3年生が活気付き始めるのは、夏休みも過ぎた9月半ば。暑い盛りが過ぎて空が澄み渡り、夕焼けが空に映える秋口の頃だ。 夏季休暇を終え、学期末試験の終わった学院では、中等部の3年間を通...
小説

サンタクロースの話。

「っ、つ、次は……っ」 白くて大きな袋が、雪の積もった煙突からにゅいっと突き出した。深い夜空の下に、白い息がほうっと吐き出され、続いてほんのり赤く染まったほっぺたの少女が屋根の上に姿を現す。 屋根の上の新雪を踏みながら、赤と白の衣装をまとっ...
小説

みんなのお手洗い:バケツ編

「……っ、その、ごめん、私、……トイレっ!!」 少女の小さな、けれど我慢の限界をまざまざと知らせる切羽詰った叫びは、締めきられたバスの中に響く。 足元を庇うようなふらふらとおぼつかない足取りで、バスの後部座席を覆うカーテンへと向かう彼女を、...