魔女の性格が突如ここで、千夜一夜の多倉見悦子シリーズをパクリインスパイア。
ここまでのは原作に忠実に最初から書いてたらまとまりきらなかったので、適当に区切って特区用に新しいのを書き直した結果。
「うふふ……あっははははは!!」
再びお城に帰ってきた魔女は、物売りの変装を脱ぎ捨て、肩を震わせて大笑いを始めました。
白雪姫をだまして売りつけた魔法の下着は、ひとりでにぎゅうぎゅうと結び目を硬くして締め付ける魔法の紐です。それを思いっきり締め付けてきましたから、もう魔女にだってほどくことはできません。まして白雪姫が気付いた時にはもう遅いのです。
「うふふ、うふふふ……いい気味ですわ、白雪姫。これであなたは、どうやっても絶対にお手洗いにはいけませんわよ!?」
なにしろトイレに入っても、下着をはいたままなのですから、おしっこができるわけがありません。
とうとう白雪姫にオモラシをさせることに成功したことを確信し、魔女はこみ上げてくる笑いをこらえる事ができませんでした。
今度こそお姫様失格な大惨事を繰り広げているであろう白雪姫のことを思い、魔女は秘密の部屋に戻るなり、魔法の鏡を呼びます。
「さあ、鏡よ鏡!! これでどうかしら!? 間違いなく白雪姫をオモラシさせてやったわよ!? お姫様失格の白雪姫と、このワタクシ、どちらが世界一可愛い女の子なのか、答えなさい!!」
『……お答えいたします』
波立つ鏡に浮かび上がった魔法の鏡の顔は、いつものとおり厳かに、答えを告げました。
『やはり、それは白雪姫様にございます』
「―――っだぁああーーッッ!?」
鏡の言葉を聞くが速いか、魔女はありったけの力で近くにあったテーブルを蹴飛ばしいてしまいました。
ごん、と重い音がして、魔女の足が変な方向にひん曲がります。
「ひぎぃ!?」
重い樫のテーブルの脚を思い切り蹴飛ばしてしまったせいで、痛む向うずねをさすりながらぴょこぴょこと跳ね、魔女は涙目になって鏡を怒鳴りました。
「ぁ痛つつ……うぅ。いったい、なんでそうなりますのっ!? あ、あなた本当に魔法の鏡ですのっ!?」
『お疑いなど滅相もない。私は魔女様にお仕えする魔法の鏡でございます。いついかなる時も、いつわりなど申しません』
「じゃ、じゃあどうして、そんなに白雪姫のかたを持ちますのっ!? おかしいじゃありませんの、どう見たってワタクシのほうが美しく綺麗でしょうっ!?」
『はい。その通りにございます。魔女様がお美しいことは間違いなく真実にございましょう』
応じる魔法の鏡は、いつもどおり冷静に返事をします。
その何事にも動じない口調が、かえって魔女をいらだたせるのでした。息がかかるほどに鏡に顔を近づけて、魔女はつばを飛ばしながら叫びます。
「だったら、ワタクシはきちんとお手洗いにもいけないようなオモラシ白雪姫にも劣ると言いますの!?」
『いえ。そうではございません。……白雪姫さまは変わらず、美しく気品に溢れ、穢れを知らぬまことのお姫様にございます』
「はぁ!? いったいどこに目をつけているのかしら!? ワタクシはたったいま、白雪姫に絶対に一人では脱げない魔法の下着を穿かせてきたところですのよっ!?」
『では、こちらをご覧くださいませ』
鏡が言うと、また波間のように揺れた鏡の表面に、ぼんやりと光景が浮かび上がってきます。
鏡に映し出された白雪姫は、またあの小さな小人たちの家にいました。
白雪姫はどこかほっとした安堵をみせながらも、小さく俯いて、細く空いたおトイレのドアの向こうから、顔を半分だけ覗かせていました。
ざああーっ、と威勢良くながれる水の音を背後に、ドアの前に並ぶ七人の小人たちに、何度も何度も目を伏せてお辞儀を繰り返しています。小人たちの手には縫い物に使う糸切りハサミが握られており、おトイレのドアの前には切られた下着の結び紐が落ちています。
しゅんと俯く白雪姫を、小人たちはいいよいいよとなだめていました。それはおトイレに間に合わなかったことではなく、はしたなくも買ったばかりの下着の紐を切ってもらったことへのお礼でした。
『このように、白雪姫様は、魔女様のおっしゃるような、はしたない真似はいっさいなさっておりません』
「ま、またですのっ!? またあの連中が邪魔を――!!」
『ですから、今日も、世界で一番可愛い女の子は、白雪姫様にございます』
猛烈な尿意に耐え抜いて、小人たちが帰ってくるまで我慢を貫いた白雪姫からは、お姫様として十分な高潔さと心の強さが窺えます。その美しさは、すこしも損なわれてはいませんでした。
ちゃんとおトイレを堪えきったことの自信からか、白雪姫は昨日よりもいっそう綺麗にすら見えます。
「きぃーーーーっっ!?」
だんだん、と足が痛いのも忘れて、魔女は床を踏み鳴らします。
『魔女様。本当のお姫様というものは、俗世とは違う、穢れを知らぬ高貴な血筋にあるものです。いかなる苦境にあろうとも、それを失うことのない、汚れなき心。それがまことのお姫様というものでございます』
「っ、ワタクシが卑しいというのですか!? 無礼なッ」
『いえ、決してっそのような――』
「ええいうるさい、うるさいですわよっ!!」
ぴしゃりと言い返し、魔女は鏡に物売りの変装を投げつけ、ずかずかと大股で部屋を出てゆきます。
「もう勘弁なりませんわ白雪姫っ!! こうなったら、意地でもあなたに恥をかかせてさしあげますからねっ!! 覚悟なさいっ!!」
高らかに叫ぶと、魔女は自分の部屋へと駆け戻り、沢山の本と、薬草と、得体の知れない薬を集めて、大きな鍋にくべて煮込み始めました。
「……ふふふ……見てらっしゃい、白雪姫っ!!」
煮えたぎる大釜の中身をのぞきこんで、魔女は高らかに笑うのでした。
「……お綺麗なお嬢さん、喉は乾いていないかえ? とってもおいしいリンゴだよ。おひとつどうかね?」
またもあれから一週間。魔女はリンゴ売りの老婆に姿を変え、森の中の小人たちと白雪姫の家を訪ねていました。ちょうど庭の掃除をしていた白雪姫に声をかけ、言葉巧みに、森の中へと誘いだしていたのです。
幸いなことに、老婆の変装でつくったしわがれ声をのおかげで、白雪姫はまったく魔女に気づいていないようでした。
「わあ、とってきれいなリンゴですね……真っ赤で、とてもおいしそう」
「よければ、お嬢さんにひとつあげるとしようかね」
「ええっ、いいんですか?」
「なに、まだ小さいのに一生懸命おうちの仕事をして働いているからね。ご褒美だよ」
と、魔女は下げたバスケットを探ってみせ、
「……おや、そう言えばこんなものがあったかね。リンゴよりこっちのほうがいい。お嬢さん、喉は乾いているだろう?」
魔女の大釜で煮込んだ、特製の秘薬がたっぷりと入ったリンゴジュースを、魔女はバスケットから取り出してみせました。
さっきから、白雪姫が庭のお掃除でたくさん汗をかいているのを、魔女はしっかりと観察していました。きっとよく冷えたジュースはさぞおいしそうに映ることでしょう。
けれど、白雪姫は小さく首をかしげて言いました。
「あら? おばあさん、どこかでお会いしたことがありましたかしら?」
「ふえッ!? な、ななななな、なにを言うんだい、そんなことはないよッ」
「そうですか? でも、だったらどうしてわたしがここで暮らしているって知っているのかしら?」
白雪姫のもっともな指摘に、魔女は口から飛び出しそうになった心臓をおさえようと、両手で口をふさぎました。
あわてて言い訳をさがそうと、魔女はきょろきょろと周りを見回します。
「そ、そりゃあ……ほれ、そうだ!! 小人たちから聞いたのさ!! いつもいつも、一生懸命働いてくれて、白雪姫はとっても頑張り屋だってねぇ!!」
「あら、おばあさん、わたしの名前も御存じなのね?」
「あわわわ!? い、いやほら、小人たちがそうやって自慢するのさ!! あいつらはお調子者だからねえ!!」
怪しまれまいと必死に言い訳をしながら、魔女はローブの下でだらだらと滝のように流れる汗をこっそりぬぐいます。
人を疑うことを知らない白雪姫が、こんなにも慎重なのにはわけがありました。小人たちは、先日やってきた物売りの正体をひどく怪しんでいて、白雪姫にうかつに外を出歩かないほうがいいと助言していたのです。
白雪姫はその言いつけを守って、小人たちが森に出かけている間も、しっかりとお留守番をしていたのでした。
でも、どうやら考えすぎだったようだと思った白雪姫は、魔女に深々と頭を下げます。
「……ごめんなさい。おばあさん、わたし、なんだか変なことを言ってしまったみたいです。リンゴジュース、いただいてもいいですか?」
「あ、あああ、ああ。いいともいいとも。たっぷりお飲みなさい」
ようやく白雪姫が警戒を解いてくれたので、魔女は慌ててさっきのジュースを差し出しました。
(ふふふ、忌々しい白雪姫。このワタクシ特製のおクスリ入りリンゴジュースで目にもの見せてあげますわ……!! 見ていらっしゃい、これさえあればあっという間ですわ……!!)
胸のドキドキを押し隠し、魔女はじっとジュースのグラスを受け取った白雪姫を見つめます。
「とってもいい香り……それにすごく良く冷えてて、素敵ですね……どうやって作っているんですか?」
「え、ああ、そんなのは……いろいろさ。ねえ?」
(いいから早く飲みなさいってのに!! さあ、ほら、一息に――ぜんぶ、ごくごくっと!!)
焦る魔女の気持ちを知ってか知らずか、白雪姫は目を閉じて、リンゴジュースのいい匂いをたっぷりと胸に吸い込みます。
「はあ……素敵ですね。おばあさんが一生懸命お世話してそだてたリンゴだから、こんなに素敵な香りがするんですね、きっと」
「そ、そうだとも。ほら、はやくおあがり。さあ早く!!」
「ええ……でも、なんだか飲むのが勿体ないみたい」
「そんなことないともさ!! ほれ、ぐずぐずしないて早く飲むんだよ!!」
なかなかグラスを口にしない白雪姫に、魔女は焦る一方です。あと一息だというのにうまくいかず、魔女はじっとりといやな汗が背中に広がるのを感じていました。
(んもぅ、本当にじれったいっ……そんなくだらないことはどーでもいいんですのよっ!! 早く飲みなさいってのにっ……!! ほら、はやく、全部、ごくごくごくって――!!)
小さな唇が、透明なグラスにちょんと当てられて、ゆっくりとその中身が傾き――
(ああ、さあほら、そのまま、全部、一気に!! ごくごくっ、ごくごくっ、ごくごくっ!!)
けれど、リンゴジュースがちいさなあかい唇に触れるか触れないかの寸前で、不意にその手を止めて、白雪姫は言います。
「……でもおばあさん、こんなに良いものをお金も払わずにいただいてしまって、本当にいいんですか? やっぱり、お代を払わないとだめなんじゃ……」
「っ、んなことはいいから早く飲みなさいませこのうすのろ白雪ッ―――あわわわ!! じゃなかった、いいんだよ、あたしはほれ、お嬢さんの喜んでくれる笑顔さえあれば、それでいいんだよ……っ!!」
思わず本音が飛び出しかけ、慌てて魔女は口をふさぎ、声色を使いなおします。
「……あのう、おばあさん?」
「な、何でもないよ、何でもっ。ちょ、ちょっとのどの調子がねえ……」
わざとらしくごほごほと咳をして見せる魔女。もはやローブの下は汗でびっしょり。白雪姫とはもうまともに目も合わせられず、魔女は目深にローブのフードを引きおろしてそっぽを向いてしまいます。
けれど、
「じゃあ、いただきますね」
白雪姫は再度グラスを手に、ゆっくりとそれを――口に運びました。
こく、こく、こく。
白くて小さな喉がゆっくりと鳴り、グラスの中のリンゴジュースがみるみる白雪姫の喉をおちて、お腹の中へと流れ込んでいきます。
(やった!! やりましたわ――!! ついに、ついに飲ませましたわよっ!!)
魔女は飛び上って喜びたいのを、必死に堪えていました。うきうきと足が動き、方が踊り、おばあさんの扮装はいまにも解けてしまいそうです。
魔女の特製リンゴジュースには、ひとたび口にすればそれだけでたちまち猛烈におしっこがしたくなってしまう秘薬が入っていたのでした。
(うふふ、さあ、もっと、もっとお飲みなさいまし。ごくごくっ、ごくごくっ、うふふふふふ……!!)
一口飲めばたちまちオシッコでおなかがたぷたぷと揺れて動けなくなり、二口でおチビリをしながら一目散にまっすぐトイレに駆け込み、三口も飲めばもうまる一日はトイレから出てこられなくなるほどの、特製のリンゴジュース。
それを白い喉がこくこくと飲み干してゆくのを、魔女は胸の中で万歳しながら見つめていました。
効き目は、たちまちあらわれました。
「ふぁ……っ!?」
ドレスの腰がびくびくっと震え、甘い喘ぎ声が白雪姫の口を飛び出します。慌ててコップからさくら色の唇を離し、口に手をあてた白雪姫ですが、ぞわぞわと背中を這いあがる猛烈な感覚に、たちまちドレスのスカートの下で両脚をくねらせ始めてしまいます。
どこからともなく身体の中にこぽこぽっと湧き出した恥ずかしいお湯が、際限なく白雪姫のおなかのティーポットに注ぎ込まれてゆくのをはっきりと感じ取り、白雪姫は震えあがりました。
「あら、どうしたんですの?」
魔女は笑い出したいのをいっしょうけんめい堪え、なんでもない風を装って白雪姫に意地悪な質問をします。
「い、いえ、そのっ。あ、あの、これっ……」
「ああ、そんなに残してしまうんですの? やっぱりお姫様には、そんな貧しいものはお気に召さないのですかしらねぇ……?」
お婆さんの喋りも忘れて、すっかりいつもの口調になっている魔女ですが、いまや白雪姫は完全にそれどころではなく、自分が騙されているのだ、と言うことにも気づけません。
「そ、そんなこと、ないですっ……と、とっても、美味しい、ですよっ」
(……の、残したりしたら、おばあさんに失礼よ……、の、飲まなきゃ……っ)
今すぐにぎゅうぅっとスカートの前を握りしめ、『おひめさま』を抑え込みたいのを必死に我慢して、白雪姫は笑顔を作ります。
(だ、大丈夫よ……あとひとくちくらい……)
恐る恐る、こくり、とジュースに口をつけると、たちまちお腹の奥底にこぽこぽこぽっと音を立てて恥ずかしいお湯が注ぎ込まれていきます。唇がコップに触れるたび、すさまじい勢いで尿意が高まり、白雪姫のおなかはぱんぱんに張り詰めていきます。
(うふふ、ごくごく、ごくごくっ。……ああ、いいですわよ白雪姫っ、もっともっと、はしたなくお飲みなさいまし!! ふふふ、そうすればそれだけ、あなたのおなかのなかは恥ずかしいオシッコでたぷたぷ、ぱんぱんですわ。……ごくごく、たぷたぷ、ごくごく、たぷたぷっ、うふふふふふふふ!!!!)
魔女の視線に押されるように、とうとう白雪姫は悪魔のリンゴジュースをコップに一杯、ぜーんぶ飲み干してしまいます。
(あぁあああっ……だ、だめっ……)
まるで、お腹の中にもうひとつ心臓ができてしまったみたいでした。こぽこぽと湧き出すおしっこで、みるみる下腹部が硬く石のように張りつめてゆきます。じんじんと痺れるように、『おひめさま』の出口へと響き渡るイケナイ感覚に、白雪姫は小さくくねくねと腰を振りだしてしまいました。
スカートの下で膝がこつりこつりとぶつかりあい、お尻もちょこんと後ろに突き出されて、不安定にゆらゆらと揺れ動きます。
「うふふ、白雪姫さま? どうですかしら、もう一杯いかがですの?」
「えっ……」
やっとのことで空にしたコップを手にしたまま魔女にそう聞かれて、白雪姫は凍りついてしまいます。
「とっても美味しいって誉めてくださるんですもの。ワタクシも嬉しいですわ。うふふ、ほぉら、遠慮せずにお代りをお上がりになってくださいませ? うふふ、うふふふふ……」
「え、あ、あのっ……で、でもっ……」
白雪姫のおなかはおしっこでパンパンで、今すぐおトイレに全速力で駆けこんでしまいたくなるほどなのです。もうこれ以上一滴も口にできそうにありません。
「うふふ、さあ、どうぞ、白雪姫さま?」
「あ、ぁッ……だめえ……ッ!!」
差し出された“おかわり”を前に、白雪姫の唇が、小さな小さな声で思わず拒絶の叫び声をあげてしまうのも、もちろん魔女は聞き逃しません。
これまでのどんなものよりも、差し迫った危機を訴える白雪姫に、魔女は笑い出したい気分でいっぱいです。
「どうかなさいましたの?」
「い、いえ……っ い、いただき、ます……っ」
(……せ、せっかくの、おばあさんのご好意ですもの、む、無駄にしちゃいけないですっ……)
「んっ、んくっ……んぅ……」
「うふふふふ、うふうふふ、どうですの? 美味しいですかしら?」
「っは、はい……っ」
白雪姫はけなげに、二杯目のジュースを口に運びます。
あまりにも思い通りの展開に、魔女はもうこみ上げてくる笑いを抑えることができませんでした。
「うふふ、どうぞたんとお召し上がりなさいまし。まだまぁだいっぱいおかわりがありますわよ? うふふ、うふふふふふ!!」
「ぅあ……や、だっ、ぁ……」
きゅんきゅんと疼く白雪姫の下半身は、たちまちのうちに猛烈な尿意に支配されてしまいます。もう、頭の中はおしっこと、おトイレのことでいっぱいです。
(だ、ダメ……も、もう飲めないぃ……っ)
ジュースを半分ほど残したところで、白雪姫はとうとう音をあげてしまいます。
コップをかたん、と取り落とした白雪姫は、不恰好にお尻を突き出し、両手をぎゅうっと脚の根本に押し当ててふらふらと後ずさります。
「ぁ、あっ、あ、あっ」
白いドレスに皺がよるのにも構わずに、白雪姫はぐいぐいと身体をねじり、脚の間につっこんだ手のひらでぎゅうぎゅうと『おひめさま』を揉み始めてしまいました。
(うふふふふ、あーっはっはっは!! 思い知るがいいですわ。……御覧なさい、なんてみじめな格好ですかしら!! ワタクシの眼の前で、あんなにみっともなく、お手洗いを我慢して――!! うふふ、これでもうお姫様失格、間違い、ナシですわねっ!! あーんな姿、とても世界で一番素敵な女の子なんて言えませんわね!! ほほほ、おーっほっほっほ!!)
とうとう、目の前でせわしなげに腰を揺すり始めてしまった白雪姫を見て、魔女は笑い出したいのを必死に堪え、胸の中で勝ち誇っていました。
(あっはははは!! どうですの、あんなにみっともなくハズカシイところを握りしめちゃって!! もじもじ、くねくね、はしたないったらありませんわ!! うふふ、あんなになってまでおしっこを我慢して……いい気味ですわね。でも、まだまぁだ辛くなりますわよ? だってあんなにごくごく飲んでしまったんですもの。もっともっと、お腹がたぷんたぷんのぱんぱんですわ。……さあ、もっとそのみっともない格好を見せてくださいませ? もじもじ、くねくね、たぷたぷ、たぷたぷ……うふふふふふ!!!)
「ふ、っ、あ、あぅ、あっ……ぁあっ……」
汗に湿る指で、ぎゅうっとスカートの上から『おひめさま』を握り締め、白雪姫はなんとか平静を保とうとします。
けれど、細くて白い脚は歩くこともできないほどにがくがくと震え、こみ上げる波を押しとどめるので精一杯です。まっすぐ立っているのも難しく、膝が勝手に動いて、足踏みまで始めてしまうほどでした。
「あぅぅううっ!?」
靴の先がわずかに草にひっかかるわずかな振動すら、強烈な刺激になって白雪姫を襲います。押さえ込んだ手のひらの奥で、おしっこの出口がぷくんと膨らみ、今にも熱い水流をほとばしらせんばかりにひくつきます。
「うふふ、くすくす……あらあら。こぼしてしまって勿体ないですわ。……もう一杯いかがですの?」
「い、いえ、そのっ、も、もう十分ですからっ!!」
「あら、残念ですわ。……もっともぉっとお召し上がりになっていただきたかったのに。うふふ、うふふふ……」
「っ、あ、あの、っ」
「はい? なんですの?」
ぎゅ、ぎゅ、と足踏みを繰り返す白雪姫に、魔女はしらじらしく答えます。
「す、すみません……っあ、あのっ、え、えっとっ」
「あら、どうなさいましたの? すごい汗……どこかお具合でも悪くなりましたかしら? うふふ、うふふふ」
「っっ……!?」
意地悪な魔女に声をかけられて、白雪姫の顔はみるみる真っ赤に染まりました。
まっすぐ立てないほどのおしっこの猛威に、がくがくと膝を震わせながら、白雪姫はどうにか言葉を押し出します。
「白雪姫さま? やはりまだとてもお喉が渇いてらっしゃるんじゃありませんかしら? 御遠慮なさらずに、もう一杯お飲みになってくださいまし」
「ッ、い、いいです!! もういいですっ!!」
限界を訴える下腹部の衝動のまま、白雪姫は叫んでしまいます。魔女はわざと、大げさに傷ついたふりをして見せました。
「あら……そうですわね。……やはり、ワタクシのジュースなんて、高貴なお姫様のお口にはあわないのですわね……ごめんなさいまし、白雪姫さま?」
「っ、ち、ちが、違うんですっ!! そ、その、す、すいませんっ、きゅ、急にっ――」
「急に? 急に、どうなさいましたのかしら。うふふ? うふふふふ!!」
「あ、ぁっ、あっ……」
まさか、いくら本当のことでも、人前で堂々とおしっこがしたくなったんです! なんて言えるわけもありません。ましていま口にしたばかりのジュースが原因だとは、純朴可憐な白雪姫にはまったく思いもよらないことでした。
あくまで、白雪姫にしてみれば、お婆さんのジュースを飲んでいたら、突然猛烈におしっこがしたくなってしまった、ということでしかないのですから。
(そ、そんなことをしたら、お婆さんに失礼ですもの……っ、で、でも、も、もうダメ……は、はやく、はやくお手洗いに……っっ!!)
お姫様のプライドと、尿意の板挟みになって言葉に詰まってしまう白雪姫の、ふぅ、ふぅーっ、という荒い息が、静かな森の中に響きます。
そんな事をしている間にも、白雪姫の『おひめさま』には。次々と湧き出した恥ずかしい熱湯が溢れんばかりに流れ込んでいきます。もうとっくに女の子の秘密のティーポットはいっぱいになっているというのに、あとからあとから押し寄せてくるその量はとどまるところを知りません。
「ぁっあ、そ、そのっ、っ、あ、え、ええと……っ」
うつむいた顔を真っ赤にしながら『おひめさま』を押さえ込んで、くねくねもじもじとおしっこ我慢のダンスをはじめてしまう白雪姫。
「ごっ、ごめんなさいっ、あ、あの、急に、ご、ご用事が、っ」
精一杯のそんな言い訳も、ドレスのスカートを必死になって握りしめながらでは、説得力がありません。魔女はくすくす、と笑いながら、白雪姫にさらなる意地悪な言葉を投げつけます。
「うふふ、あらあら。白雪姫様はダンスもとぉってもお上手なんですのね? 舞踏会に備えていっぱい練習してらしたのかしら?」
「っ、あ、、ち、違いますっ、その、こ、これはっ……」
「謙遜なさらなくったっていいですわ。とってもお上手。1、2、3、1、2、3……うふふ、うふふふふ!!」
左右の足踏みにあわせてくねくねと揺れる腰を、魔女は手拍子までしてはやし立てます。白雪姫はもう耳まで茹だったように真っ赤になって、必死に動いてしまう脚を止めようとするのですが、限界を超えてなおあふれ出てくるおしっこを堪えるのにはじっとしていられません。
(うふふふふ、そうですわ、もっともっと、もっともっと恥ずかしい格好をなさいませ。スカートをぎゅうぎゅう押さえて、おしりをもじもじ揺すって、脚をくねくね絡ませて!! うふふ、そして最後には、じわじわ、たぷたぷ、もっといっぱい、一杯に恥ずかしいおしっこを溜めこんで、じゅわじゅわ、びちゃびちゃ、じょぼじょぼぼ!! ありったけ、ぜーんぶオモラシしてしまうがいいですわ、白雪姫っ!!)
そうしてとうとう、白雪姫がきつくきつく握りしめている白いドレスに、変化が訪れます。
「あ、あっあ、あっあ、ダメっ、ダメっ」
ぱくぱくと、言葉にならない悲鳴を上げる白雪姫のくちびるの動きに合わせるように、白くなるくらいに握り重ねられた手のひらの周り、スカートの布地に、じわ、じわ、じわわぁ、と薄黄色い染みが広がってゆきます。
「嫌、いやぁ、あぁあ……っっ、で、出ないで、出ないでェ……っ」
悲痛な叫びと共に、白雪姫はなんとか決壊を押さえ込もうとしますが、揺すり動かされる腰からはまるで入れ物のふちを乗り越えて溢れるように、『おひめさま』からはじゅわ、じゅわぁ、と熱い雫がこぼれ、引っ張り上げられた下着にぶつかって脚の付け根を濡らしてゆきます。
「ぁ、あっあ、あっ、あーっ……っ!!」
じゅっ、じゅぅう、じゅるるぅ、ぷじょっ、
じょわぁっ、ぷしゅるるっ、しゅううう……っ!!
まるでおチビリの音の見本会のよう。白雪姫のダンスにあわせて、ドレスの下で熱い水流が次々とほとばしり、下着と内腿を大洪水にしてゆくのです。
疑うことを知らない、汚れなき純真なお姫様の身体を、その内側から、特製リンゴジュースを介して魔女の悪意が塗り潰してゆきます。草むらのそばで始まってしまったオモラシは、もはやとどまることを知りません。
「だ、だめぇ、お、お手洗いっ、い、いかなくちゃだめなのに……っ、あ、あっ、あっ、で、っ、でちゃう、でちゃうぅ……ぅうっ」
ぷじゅじゅじゅぅっ、じゅわ、ぴちゃじょぼっ、じょじょじょおぉおおっ、
じゅじゅっ、じゅうぅぅぅぅ、ばちゃびちゃばちゃじょぼぼっ!!
口にしたリンゴジュースよりもずっとずっと多いおしっこが、バニエで大きく膨らんだふわふわのスカートを、びちゃびちゃくしゃくしゃに濡らして脚に張り付かせ、そのまま脚元に飛び散ってゆきます。お腹から下だけが河にでもい落っこちたような有様でした。
白雪姫の小さな身体じゅうから、ありったけの水分がを絞り取るように。魔女特製の秘薬は、いよいよ猛烈にその効果を発揮してゆきます。
「ああ……っ、やだ、っ、こんな、違います、違うんですっ、こんなの、っ……」
ますます激しくなるオモラシの大洪水。
井戸が壊れてしまったようにばちゃばちゃと音を立てて滴り落ち、泥を跳ねさせ泡立てる激しい激しい白雪姫のオモラシに、魔女は声をあげて笑い転げます。
「うふふ、うふふうふ、うふふふふ!! あらあら、オモラシですの? うふふ、お姫様なのに、こんなところで、お手洗いではないところで、オモラシなさって、うふふ!! あはは、おーっほっほっほ!!」
「っ、……っ!!」
とうとう、白雪姫をお姫様の座から引きずり下ろしたことに、魔女はいつまでもいつまでも笑いながら、うつむき泣きじゃくる白雪姫をはやし立て続けるのでした。
(初出:書き下ろし)