2010-06

小説

長靴いっぱいの話。

どんより澱む暗い空。 もう一週間も降り続く雨は、今日も止む気配がない。誰もが傘を差して行き交う灰色の雑踏の中、水色の長靴がアスファルトの上の水溜りをぱちゃりと跳ねさせる。 長靴とお揃いの水色の傘の下、手に提げた鞄をかたかたと揺らして、紺野梓...