2010-07

小説

夏休みの夜のお話。

ぶうん、と生温い排気ガスを吹かして走り去ってゆくバスが、見えなくなって。鈴は額に浮いた汗をぬぐう。 2時間に1本しか表示のないバス停の前では、荷物を肩から提げた姉の花梨が、時計を見ていた。「まだ歩くの、お姉ちゃん?」「うーん。迎えに来てるは...