社会見学バスの話・31 下半身露出・オモラシ行列

「っっ……!!」
 騒然となる高速道路の一角で、じゅわあっ、と足の付け根の水門が開いてしまう中、佳奈は咄嗟に両方の手のひらで、むき出しになっていた脚の付け根を覆い隠した。
 今まさに噴出しようとしていたオシッコの熱い奔流が『ぶじゅううっ』と手のひらにぶつかる。火傷しそうに熱い雫が指の隙間からぱちゃぱちゃと飛び散ってゆく。
(だ、だめ………えぇえっ……!! 見られちゃうっ、オシッコしてるとこ見られちゃうっっ!!)
 渾身の力を込めて、お尻の穴にもきゅうっと力を篭め、排泄孔を懸命に締め付ける。同時に、佳奈は車道の人々からの視線を振り切るように身体をよじった。
 しかし、隠れる場所などない。
 出かけていたオシッコはなおも手のひらの中でぶじゅっ、ぶしゅうっ、と断続的に吹き上がる。
(と、止まって、止まってぇ……っ!!)
 左右の手のひらを重ねて、お椀のようにして、佳奈は女の子の大事な場所を押さえこんだ。
「ぁ、あっあ……だめ、……」
「はぅぅぅ……っっ」
 それは他の生徒達も同じだった。懸命に腰を揺すり、大事なところを押さえこみ、くねくねと身体をよじり合わせる。咄嗟の判断で下着を穿き直すことができた少女はまだ運のいい方で、下着を汚れないように足首に引っ掛けていた大半の少女達はそんな余裕すらなく、直接股間を手のひらで握り締めるしかなかったのである。
 同じ制服を着た9人の少女たちが、下半身を露出させ、白い肌もまぶしく腰を揺する姿に、渋滞の中からどよめきが上がる。その熱波は波紋のように高速道路を広がっていった。
 出しかけたオシッコを途中で止めるのは、女の子にとって死力を尽くしても難しいほどの熾烈なものだ。
 まして、我慢の限界を迎えての放出の寸前だっただけに、その『おあずけ』の破壊力は途方もない。思春期の繊細なプライドなどあっさり突き崩さんばかりの勢いで、少女達の乙女のダムは揺さぶられ続ける。
「んぁあぁ……ッッ」
「はぁ、はぁっ、はああぁっ」
 足元には恥ずかしい水滴がぽたぽたと飛び散り、指や内腿を伝ってゆく。時折、我慢できなくなった水門から『ぶじゅぅうっ』とはしたない音をさせてしまう少女がおり、それに連鎖するようにおチビリは伝播してゆく。
 あたりには我慢し続けたオシッコの匂いがたちこめ、それが呼び水になってますます決壊寸前の乙女のダムを緩くしてゆく。
「くぅ、うぅぅう……ッッ」
 なおもオシッコを絞り出そうとする膀胱を懸命に抑え込み、佳奈はなんとか視線を上げた。どこでもいい、早く隠れて――見られない場所へ。猛烈な尿意に押し潰されそうになりながら、回らない頭でなんとかそれだけを考えようとした。
 しかし、
(でるっ、で、でちゃう、おしっこオシッコおしっこ!! おしっこでるっ、でるうぅ!! 手、離したら……で、出ちゃう……ッ)
 猛烈に膨らむ尿意は爆発するかのようyに少女の下半身を支配し、乙女の膀胱は身震いして強烈な収縮の気配を見せる。行き場のなくした羞恥のレモンティを絞り出さんと震え、はりつめた下腹部はもうわずかな我慢すらでできないと叫んでいた。ぶじゅぅっ、と限界を訴える排泄孔が、あそこに重ね当て押さえこんだ手のひらの中へと恥ずかしい水流を注ぎこむ。
 それを受け止めた佳奈の手のひらから、ばちゃ、と恥ずかしい雫があふれ落ちた。
 最後に後始末をするはずだったポケットティッシュが袋ごと地面に落ち、オシッコの水たまりに沈んでゆく。
(っあ……ぁ、やだ、やだああ!! みられちゃ、ぅ、いやぁああア!!!ッ)
 恥も外聞もなく歯を食いしばって懸命に踏ん張る、少女。
 ちかちかと明滅する白黒の視界の先に、佳奈はバスの姿を見つけた。さっきまで自分たちを乗せていた、2-Aの高速バス。
 自分たちを置いて行ったバス――けれど、いまはたったひとつ、周囲からの視線を覆い隠す自分たちの居場所。
「も、戻らなきゃ……っ」
 うわごとのように呟いて、佳奈は強引に腰を持ち上げた。
 出かけていたオシッコがまたぶしゅうっと、股間を握りしめた手のひらの中に注ぎ込まれる。脚に絡む下着を持ち上げている余裕なんか微塵もなかった。
 信じられないことに、佳奈はあそこを握り締め、ガニ股になったまま走り出したのだ。
 それに続いて、他の生徒達も似たような恰好――何も身に着けていない脚の付け根を、両手で押さえ込んだままでで駆け出してゆく。
 その根底には、このまま置いて行かれるかも知れない――そんな恐怖があった事も確かだろう。
 ここで渋滞の列の中に取り残され、好奇の視線にさらされながら、最悪の事態を迎えるのだけは避けなければならない。
「ぁあぅ……あ、だめ、で、出ちゃう、出ちゃううッ」
 9人の少女達は足元にじゅっ、じゅぅうとオシッコを噴射させながら、よちよちと進もうとする。
 まるで、滑稽なアヒルの行列だった。
 足首に絡めたままの下着。腰上にかかったままのスカート。剥き出しの股間を両手で握りしめながら、健康的な太腿をオモラシで汚し、アスファルトには水滴をあふれさせながら、ガニ股にになって必死にバスを追いかける少女達。
 そんなあられもない姿が、この渋滞の大行列の中で注目を浴びないはずがない。
「わあ……っ」
「お、おい、カメラ、カメラ持ってねえ!?」
「うわ、すっげえ……」
 国民的アイドルでも目の当たりにしたかのように。周囲から、歓声にも似たざわめきが広がる。
 思春期の少女達の恥辱の姿――オシッコを漏らしながら、ガニ股になってバスを追いかけるという、あまりにも衝撃的かつ刺激的な光景に、その場にいた多くの男性達は、すっかり心を奪われていた。
 普通、まず見ることのできない、思春期の少女達の排泄シーン。しかもそれが10人近い数だ。
「あ……ぁっあ、ぁ」
 しかも少女達の顔は紅潮し、息は荒く、目元は涙を滲ませて。
 ずり下がった下着がまるで足枷のように足首に絡み、思うように走ることもできない。渋滞の車の中で、佳奈は剥き出しの股間を握りしめていた。
 ぶじゅっ、猛烈な水流が手のひらの中にぶつかる。まるで水圧で指を切ってしまいそうに思えるほどの強烈な噴出で、オシッコが飛び散る。
 衆人環視、白昼の屋外で、下半身裸のまま足の付け根を握りしめながらオモラシをする少女に、どよめきが起こる。
 まるで受け皿のように重ねた手のひらの中に、思いきりオシッコを始めてしまう。指の隙間から、手のひらから黄色い滝があふれ落ちて脚元に降ろしたキュロットを直撃する。
 余裕もない状況で焦る少女達は、スカートもほとんど捲れて、オシッコで濡れ張り付いた下着が丸見えの子までいた。白い肌に張り付いた布地は、自分が絞り出したオシッコにたっぷりと濡れ透け、薄黄色に染まっている。
 しゃがみ込んだ弾みに思い切り地面にぶじゅじゅじゅううっ、とオシッコを叩きつけてしまい、あるいは噴き出す熱い水流を、お皿のように股間のすぐ下で構えた手のひらで受け止めるようにして。
 さらには、きつく握り締めた指の隙間から、四方にオシッコの飛沫を飛び散らせながら。
(嘘、嘘よ、こんなの…ッ)
 涙と悔しさと、羞恥で気が遠くなりかける。
 バスの外でオシッコをすることを選んだ少女達は、ほとんどその目的を達する事も出来ないどころか、あり得ないほどの羞恥を受けながら、バスを追いかけることになってしまったのだ。

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