2012-11

小ネタ

路地裏のお話。

(ヤバい……) もう12月にもなろうというのに、汗が首筋を伝う。 朝が寒かったのでいつもより厚着をしてきたのも良くなかった。コートならぱっと脱ぐこともできるが、タイツはそうもいかず、汗ばんだつま先が靴の中で気持ち悪い。 気ばかりが焦るものの...
小説

喫茶店のバイトのお話。

駅前の繁華街から通りを二つ離れた雑居ビルの1階、軽食喫茶『エポック』のカウンター。肩下の髪を地味なゴムで左右に括った少女が、かつてない危機に陥っていた。 化粧気の薄い、幼い容貌を切羽詰まった焦燥と苦痛に歪め、律歌は荒い息を必死にこらえながら...