2013-04

小説

dans la prairie 05

家から交差点の横断歩道をみっつと、歩道橋をひとつ。 背の高い塀とそこから伸びた高い木の梢に囲まれたT字路は、見通しが悪い割にカーブミラーもなく、向こうから誰かがやってきてもすぐには気付けない。交通量があまりないことから放置されているが、色褪...
小説

dans la prairie 04

さっそく主題を取り違えてる気がしないではない。「あった……!」 広い公園の片隅に目的の建物を見つけ、観冬はぱあっと顔をほころばせる。スキップ混じりの小走りで向かう『そこ』は、素っ気ない灰色のコンクリート剥き出しで、面白い事など何もないですよ...
小説

dans la prairie 03

雨の続く6月。今日もまた昨日と同じような雨が続き、代わり映えのないネズミ色の空がビルの谷間を覆う。 織江は傘の柄を握る手に力を込めながら、雨の通学路を早足で歩いていた。 靴底が水たまりを跳ね散らかし、防水の十分ではない足元にはいくつも飛沫が...