授業中の我慢

 基本タイプの我慢の習作。
 もう何度も似たような話やってきた気はするけども。


 4時間目の授業は続いていた。
(……おトイレ、行っとけばよかった……)
 教室窓際の後ろから三番目。退屈な授業からこっそり逃れ、居眠りをするのに最適な席で、樫野瑠璃は張り詰めた下腹部をさすりながら30分前の愚かな自分の判断をしきりに後悔していた。3時間目の体育の授業で普段の倍もお茶をがぶ飲みしたお昼ご飯のあと、友達とのお喋りに夢中になって予鈴にも気付かなかったのは、本当に間抜けとしか言いようがない。
 挙句、授業前に連れ立ってトイレに立つクラスメイトを、付き合い悪いなあとばかり見送っていたりしたのだから目も当てられない。
 思い返すもあの時の自分に文句のひとつもぶつけたくなるが、そんなことをしても、現在瑠璃を追い詰める状況は一向に改善しないのも明らかだった。
 教壇の上、教師が黒板にびっしりと細かい字を書きつけてゆく。午後一番の歴史の授業は、普段なら退屈で、眠気を誘うことこの上ないが、今日に限っては忍び寄る睡魔に抵抗する必要はなさそうだ。より切実な、差し迫った事情が、少女の下腹部に押し寄せてくる。
(……あー……もう、私の馬鹿……っ。なんで、トイレ行かなかったんだろ……)
 募る尿意にすりすりと足を擦り合わせ、瑠璃は教科書も広げず、教師の話も上の空で、教室の時計を睨むように見つめる。
 お昼休みの1時間を挟み、午後最初の授業は50分。終了まではあと20分以上も時間を残していた。時計の文字盤は変わらず、のろのろと針を動かすばかり。
「んっ……」
 一向に進まない時計の針とは対照的に、脚の付け根にじんじんと響くむず痒い感覚はみるみるその存在感を膨らませていた。じれったさのまま落ち着きなく腰を揺すり、膝を重ねるようにして脚を寄せ合わせる。椅子の上でモジモジと左右に揺すられる腰は、典型的なオシッコ我慢の様相を呈していた。
 スカートの奥で、うねるように尿意が波打つ。黄色い濁流を危険水位のはるか上までたたえた乙女のダムには、なお刻一刻と注水が続けられていた。膨らむ水圧に下腹部は張り詰め、太ぷたぷと揺れるオシッコが出口を求めて揺れる。
 床の上で上履きがきゅっきゅと小刻みにリズムを刻み、爪先がぐりぐりと押し付けられる。
 机の上でシャーペンを握る手は頼りなく汗ばみ、肘はきゅっと身体に寄せられて、瑠璃のペン先はノートの上に浮かんでふらふらとさまよう。
 左手はといえばもう15分も前から机の下に潜り込み、下腹部を撫で、脚の付け根を行き来し、スカートの前を押さえこんでいた。
(うぅ……トイレ……トイレ、行きたい…オシッコしたい……っ)
 切なる欲求は、ストレートな要求を少女に突き付ける。この尿意からの解放。しかしそれは現状、不可能に近い無茶な提案である。
 縮こまるように身体を丸め、不安定に細めた肩が左右に揺れる。瑠璃の視線はあたりを落ち着きなく戸惑い、さまよい、10秒に一度は教卓上の時計に向けられていた。しかしいくら時間を確認する頻度を増やしたところで、時計の針の動きは変わらない。
 むしろ、注視すればするほど、気にすればするほど、もどかしいほどに遅くなっているかのように感じられる。
(オシッコしたい……!!)
 思春期の少女の心を占めるのは実に切実な欲望。切羽詰まった生理現象はいよいよ少女の下腹部で牙を剥く。口から摂取され、吸収されて健康な少女の身体を潤した水分は、やがて少女の身体を巡る長い旅の果てに、再び下腹部の一カ所に集まってゆくのだ。朝、家を出る時にトイレに行ってから、瑠璃の身体は新鮮なオシッコをたっぷりと作って、次々に膀胱に流し込んできているのだろう。
 もういい、もう十分たと叫ぼうとも、一方的に乙女のダムに注ぎ込まれ続ける。行き場を失くして激しく暴れる尿意はいよいよ膨らみ、少女の余裕を失わせていた。
「は、んっ……」
 唇を噛み、漏れそうになった息を飲み込む。隣に座る生徒が不思議そうに顔を上げるが――すぐに授業に集中しようと顔を戻した。歴史の授業は板書も多く、聞き逃すとあっという間に先に進んでしまうのだ。
 それどころではない瑠璃は教科書にしてもう3ページも前から置いてきぼりだった。
 歴史の授業を担当する教師はどのクラスでも厳しくて有名である。理不尽に生徒を怒鳴ることはないが、宿題を忘れたりするのはご法度だった。質問に答えるか発表の時以外は私語も許されず、言うことを利かない生徒は厳しいおしかりを受ける。
 先週の授業では、ついふざけていた男子達が厳しく叱られ、授業の終りまで立たされていたくらいだ。とてもではないが淡々と板書をし、渋く低い声で授業をする教師を遮って手を上げ、『先生、おトイレ行きたいです』なんて言えそうな雰囲気ではない。
 できそうにない、と考えただけで、きゅんと瑠璃の下腹部が疼く。おなかの中で、恥ずかしいオシッコをなみなみとたたえて揺れるダムの重みが一段と増したように思えた。なお下腹部を硬く張り詰めるさせて募る尿意に、瑠璃は覚悟を新たにする。
(やっぱり、がまんしなきゃ……)
 そもそも、女の子が4年生にもなって授業の最中に皆の前でトイレに行くなんて、普通はあってはならないことだ。きちんと休み時間もお昼の休憩もあったのに、トイレに行かなかったのは瑠璃の責任なのである。
 ちゃんとトイレのしつけが出来ていないのだと言っているのと同じことだった。
(あと20分……えっと、1分60秒だから、1200秒……だから、っ、百まで、12回数えれば、おしまい……っ)
 拙い計算をして、いち、にい、と数を数え始めるが、余裕のない頭の中ではただ数を数えるくらいの簡単なことも上手くいかない。一年生だってできるだろうに、三十くらいまで数えたところで思考が息切れし、ぐうっと押し寄せてきた尿意の波に身体を硬くしている間に、どこまで数えたかも分からなくなってしまった。
 仕方なく、適当に数字を切りあげて続きを始めるが、それもすぐに込み上げてくる衝動を堪えて、途切れてしまう。
(ごじゅう、なな、ご、ごじゅう、ごじゅうはち、っ……)
 飛び飛びになる数字を数え、焦る気分のままに教卓の上の時計を睨む。もう60まで数えたのだから、1分くらいは進んでいなければおかしいはずだが、長針の位置はまるで変わっていないように思えた。本当にこの教室は時間が流れているのだろうか。そんなことまで疑いたくなる。
(は、はやく、早く授業、終わってよぉ……っ)
 ペンを握っていた手が、そのまま机の板を握り締めた。
 いまや下半身に留まらず、瑠璃の身体は全身でトイレをねだっている。小さな椅子の上に身体を縮こまらせ、身体の中心をきつく押さえて、足を寄せ、おしりをモジ付かせる。ぎしぎしと軋む椅子が立てる音が切なげな吐息に混じる。
(オシッコ、オシッコ、オシッコしたい……オシッコ、でちゃう…!!)
 ひとたび心が我慢の限界の警告をしてからは、それまでとは違い加速度的に尿意が高まり始めていた。瑠璃の脳裏を清潔な女子トイレの、綺麗な個室、白い便器がよぎる。それだけできゅうんと下腹部の水風船が握り絞られるような錯覚すらあった。
 オシッコでちゃう……限界を叫び傾いてしまった心は、みるみる想像の中のトイレに縛り付けられてしまう。たとえ頭の中でさえ、一度トイレを前にした女の子の身体はみるみる我慢がきかなくなっていた。
 トイレに行きたい。オシッコがしたい。背筋がぴくんと震え、脚の付け根がじわっと熱くなる。見る間にオモラシの予兆が押し寄せ、瑠璃は戦慄した。遠浅だったはずの尿意があっという間に高潮に襲われ、水位を増してゆく。
 ほんの10分くらい前までは、精々『トイレに行きたい』くらいだったのが、いまや瑠璃の頭の中を占めるのは途中を全てすっ飛ばして『オシッコ出る』『オシッコ漏れちゃう』である。
 もはやペンすら手にする余裕も無く、瑠璃は両手で足の付け根を握り締める。ぎゅうぎゅうと体重を乗せてあそこを握り締めていなければ、いまにもダムが崩れ、水門が開いてしまいそうだった。
 敗色濃厚、全面降伏も時間の問題――すでに授業もそっちのけで、瑠璃は教室の片隅、ひとり孤独に激しい尿意との戦いを繰り広げていた。
 そんな時だ。
「――以上だ。では、これから小テストを行う」
 言うが早いか黒板を消し始めた教師の発言に、クラスのあちこちからええーーっと非難の声が上がる。授業終了まであと10分と少しという残り時間で、突如振って湧いたテスト発言に、横暴だと生徒達たちがにわかに騒がしくなる。
「教科書とノートを机からしまうように。問題用紙を配る」
 しかし、些細な抗議など時間稼ぎにすらならなかった。問答無用とばかりにテスト用紙を配り始める教師の有無を言わせぬ姿勢に、クラスの皆も渋々ながら従っていく。
 一転、静まり返る教室の中で――瑠璃だけがそれどころではない。
(あ、あっ、あ……で、出る、でちゃう…だめえ…っ)
「――え、……ちゃん」
(が、我慢しなきゃ……がまん、しなきゃっ……あと、あと12分っ……)
「ねえ、瑠璃ちゃん、前、前」
「っ、え……!?」
 後ろから背中をつつく声にはっと顔を上げれば、テスト用紙を手に前の席のクラスメイトが少し不満げに瑠璃を見ていた。
 今まさに尿意のビッグウェーブとの戦いの真っ最中で、瑠璃は周囲の事など全く耳に入っていなかったのだ。教師の言葉すらほとんど聞き流していたが――気付けば瑠璃を除くクラスの全員がテストの準備を終え、机の上に筆箱と問題用紙だけを並べ、緊張の面持ちを浮かべている。何もしていないのは瑠璃だけだ。
「ご、ごめんっ」
 ほとんど反射的にテスト用紙を受け取り、自分の分を取って後ろに回す。ほぼ白紙のノートと、開いてもいなかった教科書を乱暴に机の中に突っ込んだ。
「よし、では始め」
 瑠璃が準備を終えたのを見て、教師がテストの開始を宣言した。クラスの机の上で一斉にテスト用紙が翻り、ペン先の音が踊る。
 いつしか本物のテストと何ら変わりない、ピリピリとした緊張が教室を支配していた。授業終わりの小テストと言いながらも、成績にはちゃんと関係する大事なテストなのである。お調子者の男子までが、真剣な顔で答案に向かう。
 そんな雰囲気の中――瑠璃だけがまるで、それどころではない。
(だ、だめ……、っ、も、もう、ガマン、できな、っ……ぁあっ)
 まさにいまこの時が、一瞬たりとて気が抜けない我慢のまっ最中だったのだ。全身全霊をかけて、襲い来る尿意とせめぎ合っていたその最中に、無理して動いてしまったのが、一気に瑠璃の形勢を不利にした。
 ぐるぐると下腹部で蠢く熱い衝撃が、股間の先端、脚の付け根の中央へと集まっていく。限界まで伸び切った膀胱が、反動のようにぎゅうと身をよじり、ぱんぱんに詰まった中身を絞り出さんと収縮を始める。
「ぅあ、……っ」
 必死に、必死に我慢をしてきた。窮地に陥ってから、たった20分――授業が終わるまでのほんのわずかな時間。けれど瑠璃にとってそれはまるで永遠にも感じられた。挫けそうな心を支え、女の子の大事な部分に両手を援軍として送り込み、必死になって残り時間を、解放までの瞬間を数えて、なんとかここまで耐えてきたのだ。
 まさに、奇跡といってもいい10分間だった。
 しかし、授業の終了まではまだあと10分もの時間がある。これまで耐えてきたのと同じだけの時間を、ますます強くなる尿意に耐えて我慢し切る――そんなことはどう考えても不可能だった。
 たかだか10分、600秒。けれどその10分が、もはや耐え切れない。
(漏れ、ちゃう…っ)
 4年生にもなって教室でオモラシなんて――必死にそう自分に言い聞かせようとするが、瑠璃の身体はそんな事お構いなしにオシッコの準備を始めていた。脚の付け根の奥がじわりと湿り、オシッコの出口がぷくりと膨らむ。押さえ込んだスカートの奥、下着を突き抜けて噴き出す熱い水流が、椅子の上にぶつかり、天板を伝ってばちゃばちゃと盛大に床に飛び散る――
 最悪の形での終局が瑠璃の頭をよぎる。
 ここまで我慢したのに――悔しさに、情けなさに、恥ずかしさに涙が滲む。辛うじて瑠璃が縋りつく女の子としてのなけなしのプライドも、なお激しく荒れ狂う尿意の前には無力だった。高まる水圧に負け、耐えかねたように水門が押し開けられる。我慢の限界、想像の中のトイレに、瑠璃の意識が吸い寄せられる。
 瑠璃がいよいよ屈辱の中、女の子の生理現象に屈しそうになったその時。
「――終わった者から休憩とする。用紙を前に提出し、他のクラスの迷惑にならないように」
 まるで、天啓のように。教師の言葉があった。
 薄れかけた意識を覚醒させる、頭に突き刺さるようなその一言に、瑠璃は瞬時に我を取り戻した。
 終わった者から、休憩。
 他のクラスの迷惑にならないように。
 二つの言葉が意味することは単純。テストが終わったら、休み時間にしても良いということだ。つまり、
(――終われば、トイレに行ける!!)
 オモラシ寸前の瑠璃にとって、単純なその事実だけが稲妻のように閃き、脳裏に焼き付いた。まさに天啓のごとく、少女の心はその恩寵にひれ伏し縋りつく。
 瑠璃は飛び付くように、机の上に裏返していたままのテスト用紙をひっくり返した。
 小テストというにはいささか重すぎる、びっしりと文字の並ぶ文章題の問題が5つ。10分で解くための全5問のテストだというには随分難易度が高そうにも思えた。
 けれどもう瑠璃にはそんなものはどうでもいい。教師の思惑も、成績も、何も関係ない。
 これに全部答えれば、トイレに行ける。その事実だけで十分だった。
 瑠璃はスカートの付け根を握る手を左手だけに減らし、震える手でペンを持った。恥ずかしい水門を外から押さえる力が半分になり、一気に尿意が激しさを増す。それを誤魔化すように、瑠璃は左手で激しく股間を押し揉んだ。背中が揺れ、大きく椅子が軋む。後ろで友人が不審げに顔を上げる。
 けれど瑠璃は気付かない。背中に目は無いし、なによりも今はテストだ。
 震えるペン先で名前を書き込む。慌てて書いたせいでひどく歪んだ「かしのるり」の五文字の下に、出席番号を書きなぐる。
「つ――」
 問題文に目を通しても、全然頭に入って来ない。あてずっぽうで回答欄を埋めていく。この際間違っていようが、全然見当違いだって構わなかった。
(全部、答えだけ書いちゃえば――)
 問3の選択問題を全部『ア』で埋め、問4の文章題に差し掛かったその時。
「んぁあっ……!?」
 猛烈な尿意の波が瑠璃を襲った。びくとペン先が跳ね、回答欄に歪んだ線をなぞる。宙に浮いたペン先が虚空にふらふらと文字を刻み、咄嗟に引き寄せた肘で下腹部を押さえる。おヘソの上近くまで、触れるだけでジンと尿意が腰骨に響いた。
 机の下でぎゅうっと左手が足の付け根を固く握り締め、もじもじと忙しなく激しく太腿が擦り合わされる。はあはあと熱い吐息が少女の唇を震わせた。
(で、でちゃ、っ……!?)
「んぅ、んんんっ、んーーっ……」
 ぴったりと寄せ合わせた太腿を激しくすりすりと擦り合わせ、瑠璃は噴水のように弾けんとする熱い濁流を、すんでのところで堰き止めた。無理に出口を押さえこまれ、行き場を失くしたオシッコがびく、びくと少女の下腹部を激しく震わせる。
(で、でる、でるぅ……んっ、ダメ、我慢、ガマン、して…っ、これ、終われば、トイレ、行けるの……っ!!)
 問題用紙に齧りつくように背中を丸め、瑠璃はペンを取った。
 五十文字以内で答えよ――ほとんど判別不能の文字で回答欄を埋める。無意識のうちに瑠璃がなぞった文字は、『オシッコが出ます』だった。
 最後の問5の問題は回答欄に辛うじて丸だけを書き入れ、瑠璃はテスト用紙を握り締めるようにして席を立った。スカートの前を押さえ、前屈み、おしりを突きだしたみっともない姿で、並ぶ机にぶつかりながら、ふらふらと覚束ない足取りで教卓へと歩み寄る。
 教室内を見回っていた教師が顔を上げた。テスト開始から2分も過ぎていない。あまりにも早い回答者に、彼も不審に思ったのだ。
 瑠璃はそんな教師の疑念にも構わず、くしゃくしゃのテスト用紙を卓上に叩きつけるようにして置き、教室のドアへ向けて一目散に走り寄ろうとする。
 しかしそれとほぼ同時、
「んぁああ……っ!?」 
 まるで瑠璃の行く手を阻むかのように。させんとばかりに再びの尿意の大波。否、それはあと少しというところで瑠璃がわずかに気を緩めてしまったがゆえの必然だった。押さえ込んでいた尿意が一気に膨らみ、瑠璃は声を上げてしまう。
 教卓の前での突如の悲鳴に、クラスメイト達は何事かと視線を向けた。
 しかし瑠璃はそんなもの見えていない。テストは終えた。もうおしまい。授業はおしまいで、瑠璃はトイレに行っても良いのだ。
 はやく、はやく、早くしないと間に合わない。一秒でも早くトイレ。けれど押し寄せる尿意は容赦がなかった。瑠璃は教卓にしがみ付くようにして、懸命にオシッコを押しとどめる。
 ちょうど、授業で指されて黒板に向かい、クラス全員に背中を向けて見せつけるかのような姿勢になった。教卓にしがみ付くようにして、激しく内股になり、ぎゅっと左手で股間を押さえたスカートのおしりを左右に振り立ててしまう。
「ぁ、あっあ。あ、だめ、でる、でるぅ…っ!!」
 我知らず恥ずかしい尿意を口にし、ぎゅうぎゅうとスカートの前を押さえ、必死に膝を擦り合わせ、行進のようにその場足踏みを繰り返すような有様で、一歩もその場から動けない。
 もじもじと腰を揺すり激しくスカートの前を握り締める様は、全身で『おトイレしたいです』と叫んでいるに等しかった。呆気にとられる教室の一同を前に、瑠璃は全身でオシッコ我慢ダンスを披露してしまう。
「あ、あっあ、あぁっ」
 それでもなお、瑠璃は諦めず教室のドアへ進もうとする。しかしもう歩くのも難しい。がくがくと膝が震え、教壇の上でとうとうしゃがみ込んでしまう。
 スカートがめくれ、白い下着が覗く。同時、瑠璃の女の子の部分から、じゅじゅじゅぅうと恥ずかしい音と共に、強い水流が噴き出した。
「はぁあああ……っ」
 水門をこじ開けた恥ずかしい水流が一気に少女の体の外へと迸った。下着の股布に勢いよくぶつかり、弾ける熱い水流が、瑠璃の脚の内側にばじゃあと撒き散らされる。
 股間の先端に火が弾けたようだった。ぶるぶると背中が震える。背筋を黄色い稲妻が走りぬけ、頭の中で白く閃光が輝く。
 耐えに耐え、我慢し続けていた女の子のオシッコが、激しく噴き出して教壇を打った。脚の付け根を突き抜け恥骨に響く途方も無い解放感。足元がもつれ、身体が傾ぐ。同時に仰け反った背中から、大きく前へ――下着を突き抜け、噴射する猛烈な水流。白い下着が黄色く染まり、スカートまでが色を変える。
 御開帳――そんな言葉が浮かぶほど大胆に、見せつけるように瑠璃はオモラシをクラスの皆に披露してしまう。
 それでも、我慢に我慢を重ねた待望のオシッコを、足元に噴き出させる快感に、瑠璃は思わず嬌声すら上げてしまっていた。教卓の上、皆にも見えるようにしゃがみ込んで、オモラシを始めた瑠璃の唇が甘く喘ぎをこぼし、白い喉が上下する。上気した頬はほんのりと紅く、激しくオシッコを迸らせながら腰をクネらせる様は艶めかしくすらあった。圧倒的なオモラシの迫力に、もはやクラスメイトはおろか教師まではテストもそっちのけ、視線を離せない。
 便器どころか、教壇を、教卓を、教室の床をトイレにしてしまいながらも、瑠璃のオモラシは終わらない。我慢していた時間と同じだけ、ずっといつまでも続くのだと言わんばかりに、瑠璃のオシッコはテストの沈黙の中に沈む教室の中に広がってゆく。
 (初出:書き下ろし)

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