社会見学バスの話・45 花藤涼子その4

 バスの中には、女の子のおしっこ特有の匂いが充満していた。
「はぁぁあああ……っ」
 あの真面目で規律を絵にかいたような涼子が、うっとりと潤んだ表情でバケツに跨り、腰をくねらせて艶めかしい声を上げている。
 それに伴って股間から噴き出す猛烈な噴水が、バケツの中に激しく叩きつけられる。黄色い水面には泡まで立ててじょぼじょぼと響く下品な水音と、飛び散る飛沫は締めきったバスの中の空気を汚染してゆく。
 スイッチが入りっぱなしのマイクは、防水加工もあってしぶとく動き続け、涼子のオシッコの音をリアルタイムで、臨場感たっぷりに中継し続けていた。
「オシッコ、、気持ちイイ……っ」
 何時間にも及ぶ限界我慢と尿意に下腹部を、股間を嬲られ続けていたのだ。虐げられていた排泄器官はついに訪れた解放の時に歓声を上げ、生真面目な少女に至福をもたらしていた。制服のスカートに、下着にじゅわじゅわと熱い水流が溢れ、羞恥のオモラシ色に染め上げてゆく。
 ここがどこか、自分がどうしているのかすらはっきりと認識できず、ただただ排泄の解放感に我を忘れ。涼子は皆の眼前に、大迫力で女の子が本当の勢いで迸らせるオシッコを見せつけているのだった。
「っ…………」
「……ぁ、っ……」
「……、ふッ、くぅ……っ」
 4列に並ぶ座席シートの上、張り詰めた下腹部を押さえ、制服のスカートの股間を恥ずかしく握り締めて身悶えする少女達が揺する腰の動きはさらに激しく、緊張はなお高まる。
 動く密室に閉じ込められて数時間。渋滞の高速道路をゆっくりと進むバスの振動は、下腹部を不規則なリズムで揺さぶってゆく。28人の少女達の膨らみきった羞恥の水風船がたぷんたぷんと波打ち、2-Aの少女達は次々に身を震わせ、切なげな喘ぎをこぼした。
 すぐ間近で響く激しい水音と、バケツの中の水面に叩きつけられる飛沫。バスの座席シートの上に身をよじり、今なお激しい尿意と戦い続ける少女達にとって、涼子のバケツオモラシは、すべてはここをトイレ――オシッコをして良い場所だと誤認させる、あまりにも危険な環境だ。
 しかし窓を開けるものは少なかった。衝撃的なまでの、涼子のオモラシ――バケツを跨いでのオシッコは、車内の生徒達からごっそりと気力を奪い去ってしまったのだ。
 そしてまた、汗ばむこの季節、サービスエリアに入る車線では窓を開けている車も多い。窓を開ければオシッコの匂いがあたりにも撒き散らされ、バスの中の危機的状況が知らされてしまう可能性も強かったのだ。
「あああ……ふぁあ……っ」
 バスの廊下、バケツを跨いでのオモラシ――本来なら最悪の結末となるはずの体勢のまま、涼子はその場を動かない。バスの通路の真ん中で、バケツに腰かけるように座り込んだままへたりこみ、放心したように宙をみつめたままだ。白い頬は上気してほんのりと紅く、潤んだ口元が薄く開閉し、目元はとろんととろけてすらいる。
 いまなお漏らしたてのオシッコが制服のスカートの色を濃く変え、おしりの側だけでなく前までも無残なほどにオモラシの染みを広げてしまっていた。靴は最初のおチビり水流でがぼがぼと音を立て、ソックスまで無惨に色を変えている。下半身をまるまるオシッコのプールに飛び込んだような有様だ。
 バスが揺れるたび、涼子は『はあんんっ』と声を上げ、バケツの中にはじゅじゅ、じょぼぼぼぼっ、と断続的な放水音を響かせる。
 涼子のオモラシは、五分以上が経過してなお続いていた。
 乙女の水門は限界を迎えて全開状態になってしまったものの、酷使された排泄器官は麻痺したように熱く痺れ、ほとんど感覚がない。溜まりに溜まったオシッコで限界までその壁を薄く薄く引き延ばされ、ぱんぱんに膨らんでいた乙女の膀胱は、いざ解放の瞬間を迎えてもすぐには元通りに収縮しきれず、だらしなく収縮を繰り返しながら、断続的に残った中身を噴き出させていたのだ。
 敏感になった排泄孔は、少女の呼吸やかすかな緊張にも反応して、はしたない水音を噴き出させる。バケツの中にはなみなみと注がれた涼子のオシッコが、泡立つ黄色い水面を揺らし、バスの進行と共に波立たせる。
 恥辱の中でオモラシをしてしまったにもかかわらず、一度で完全にオシッコを終える事ができないまま、涼子はいまだにオモラシを続けているのだ。
 死ぬよりも辛い恥辱に違いなかった。
「んぁ……っ」
 涼子がか細い悲鳴を上げると、じょぼぼぼぼぼおっ、と熱水が水面を直撃する恥ずかしい音が響き渡る。防水マイクが拾い上げた涼子のオシッコ音は、バスの中にある六つのスピーカーから増幅されて、少女達が必死に塞ごうとする耳に響いてゆく。バスの中が涼子のオシッコで満たされていくかのようですらあった。
「あう……っ」
 びくびく、と涼子が身体を折り曲げる。緊張した下腹部からぶじゅううううっ、と激しく噴き出したオシッコがバケツの中に注ぎ込まれ、大きなバケツの水位がなお増してゆく。
 止めようと思ったって止まりはしない。もっとも繊細で敏感な思春期の少女にとって、あまりにも残酷に。己の意志すら無視して下半身が奏でつづける羞恥の音に、涼子は静かに涙を浮かべていた。

タイトルとURLをコピーしました