社会見学バスの話・65 前園里佳子

 ……そう。バスを降りてすぐにトイレへと向かうことができた彼女達は、まだクラスの中では恵まれている方だった。バスの前部座席に座っていたためどうにかバスを降りることはできたものの、そこで身動きできなくなってしまった生徒達が少なからずいたのである。
 里佳子もその一人だ。一緒に並んでいたクラスメイト達と励まし合い、下腹部を庇うようにしてどうにか乗降口のタラップを降りたものの、もはや一歩も動けずにその場にしゃがみ込んで、動けなくなってしまったのだ。
 ショートカットに眼鏡の落ち着いた服装。いつも窓際の席で静かに本を読んでいる彼女は、普段変化の乏しい表情を珍しく強張らせ、緊張の面持ちでスカートの上から膝の間に両手を押し込んで、ぎゅうっと握り締めている。
 言葉少なの唇もきつく噛み締められ、荒い吐息を懸命に押さえ込もうとしていた。
「…………、っ……」
 クラスメイトの皆がはやくはやくと騒ぐ中でも、一人じっと静かに座席に座り、口数少なく尿意に耐え続けてきた里佳子。その、いつも沈着冷静な面持ちは苦悶と羞恥に歪んでいた。
 時に、無表情すぎるだなんてからかわれたりもするが――里佳子だってやはり年頃の少女である。表に出ないだけで、その胸中は激しい動揺と羞恥に揺れ動いているのだ。
 眼鏡のレンズには大粒の涙が落ち、溢れる雫は頬を伝う。肩上で切り揃えられ、ヘアピンで留められた髪は頬に張り付き、必死に涙をこらえる少女の赤い顔をわずかに隠す。
 身動ぎの為に出てしまいそうになる声を堪えようとぎゅっと口元に押し当てられた手のひらが、はあはあと荒い吐息に湿る。
「っ……!!」
 きゅんと下腹部に強い刺激。同時に脚に付け根、恥骨の奥に熱い刺激が走った。
 無口な本人に代わるかのように、里佳子の『おんなのこ』がぶじゅうぅ、と激しい水音を響かせてしまったのだ。
 恥ずかしい水門が噴き上げる水流が下着と押さえ込んだスカートにぶつかってくぐもった音を響かせる。押さえようとした里佳子だが、一旦押し破られた水門はもう堰き止めきることはできない。里佳子がぎゅっと息を堪えるたび、恥ずかしいオシッコの出口はだらしなく緩みじゅじゅじゅぅじゅうっ、と激しい水流を迸らせる。
 じゅっ、じゅじゅじゅぅう……ぶじゅじゅうぅううっ、じゅッ、
 ぶじゅっ、ぶしゅるぅうぅぅううううう!!
 握り締めた下着にぶつかり手のひらを熱く湿らせる雫は、奔流のように堰をきって溢れ出す。噴射するオシッコの勢いはみるみる激しくなり、里佳子のダムの決壊がいよいよ本格的な事になったのを知らせていた。
「ぅ、ぁ……っ」
 俯いた里佳子の眼鏡のレンズがどんどん曇ってゆく。歪む表情がみるみる赤くなり、少女は耳の先までまるでゆで上がった様に真っ赤になってゆく。
 片膝をついてしゃがみ込んだ里佳子のスカートは、既に股間を中心に大きな染みを広げ、ニーソックスにまでびしゃびしゃに濡らしていた。立てたひざの隙間に押し込まれた手のひらが、忙しなく下腹部の先端部分を包み、懸命に押し揉む。しかし酷使され支えを失った排泄孔は、口を開けて本来の役目のままに女の子の恥ずかしい水流を噴き出させるばかりだった。
「あ…ぁ…、ぁ……っ……」
 脚とおしりを伝い地面に注がれるオシッコは、アスファルトの上に広がりながら、里佳子の足元を勢いよく流れ始める。

タイトルとURLをコピーしました