霧雨澪の世界探訪:ONEL編

 全国100万人の“ある趣味”愛好者の皆様、お元気だろうか。
 霧雨澪の世界探訪、久々の登場となる。掲載紙の廃刊や当局の規制強化など様々な問題が続く昨今だが、こうしてwebへと媒体を移してでもこのコラム連載を続けていけることを嬉しく思う。
 これもみな、読者の皆様の応援あってのたまもの。心より感謝を申し上げたい。
 さて、連載再開の初回とあって、都内近郊のお店のレポを記載させていただきたい。なにしろ本当に予算がなくて打ち合わせの交通費も出ずSkypeで行っているくらいであり――
 ごほん。こんなこと書いてるとまたボツを食らってしまうので本題に入ろう。
 今回ご紹介させていただくのはM区S町の特殊性癖喫茶《ONEL》。10年代の初頭に隆盛した、女の子との触れ合いを主に置いたお店である。
 無論ながら男性向けを念頭に置いているけれども、私のほかにもぽつぽつと女性客の姿も見られた。昔はこんなこと信じられなかったものだが、今ではこんな特殊性癖の中にも女性層が少なからずいることに、時代を感じるばかりである。
 いずれにせよ風営法関連の取り締まりが厳しくなる中、厳しい基準の中で我々に素晴らしい夢やときめきを与えてくれる名店を訪ね、多くの人々が集う訳だ。
 当該地区には同じような特殊性癖の店舗が軒を連ねるが、“ある趣味”に該当する店舗の中ではこちらONELは最も知名度が高い。
 ここはいわゆる“我慢系”に属しているお店だ。
 今更解説するまでもなかろうが、フロアー担当の女の子たちが、常に「我慢」している状態で接客をしてくれ、お客はその様子遠くからを愛で、眺め、趣を楽しむタイプの店舗である。
 なお、既にこの業界に詳しい紳士淑女の読者の皆様には耳にタコかもしれないが、お約束として注意事項を申し述べておく。
 これらの店舗はあくまでも、接客する女の子たちの様子を眺めるのがその目的であって、決して彼女たちにいやらしいことを要求するお店ではない。
 来店の際はくれぐれもお間違いなきよう。実際にしてしまうのは言語道断であるが、誤解を招くような行為でも、怖いお兄さんたちに厳しいお説教をされる可能性大である。
 さて。肝心の女の子たちの顔ぶれは折り紙付きの保証付き。条例ギリギリの14歳の子が10人以上が登録されており、その顔ぶれの広さにも驚いた。取材には(実益も兼ねて)4回ほど来店したが、どの回もいずれ劣らぬ魅力たっぷりの子たちが、可愛らしいウェイトレス姿でお出迎えしてくれた。
 これは私のリップサービスではなく本当の本気なので安心していただきたい。決して、ここで宣伝しておかないと次のお仕事がもらえないからとかそんなことはないので。信じて、お願い。
 昨今、“我慢系”のお店には、そう謳っているだけで実際には演技だけという、けしからんお店も少なくないわけだが(そして、昨今の規制強化の流れにおいてはこれを取り締まる方法はなく、衛生面から見てもまた致し方ない判断でもあろう)、しかし。しかし、である。
 この《ONEL》に限っては間違いなく演技ではないことに太鼓判を押したい。なにしろ店名からして「ONEリットル」。貴婦人の膀胱もかくやという、伝説の大台1リットル我慢を掲げているほどであるわけだから、その志たるや推して知るべし。
 ……なお、「おねしょ」を思わせる響きに、それらのダブルミーニングモあるのではないかとドヤ顔でインタビューしてみたが、まったくそんなことは考えてなかったとオーナーさんから説明され、赤面しきりの筆者であった。
 接客にフロアーを所狭しと行き来する女の子たちが、下腹部にある秘密の恥ずかしい貯水池をいっぱいにさせたまま、恥ずかしげに身をよじり、息を殺し、小さく膝を擦り合わせる様の素晴らしきことは筆舌に尽くしがたく(レポートの意義を根底から捨てていくスタイル)まったく素敵な光景である。
 大自然の欲求を懸命に堪えながらも、お仕事の最中はそれを押し隠し、笑顔全開の可愛らしさを貫き、けれどよくよく視線を凝らせば、手はぎゅっと握りしめられ、膝はぴたありと寄せ合わされて。そのコントラストはまさに甘美、極上の姿態と呼んで差し支えあるまい。
 特に、お客さんがふと途切れた瞬間、テーブルの控えに回っているフロアー担当の少女たちが壁際に並び、一様に激しい欲求に追い詰められ、小さなおなかを苦しめられ――けれど、十人十色の仕草で我慢をしている様は、もう圧巻と呼ぶほかない。
 ……もし、もしも。仮定に仮定を重ねた繰り言ではあるが、もしも彼女たちの振る舞いが演技であったとしても(そして、それ自体はもはや責められることではない昨今だが)、そのレベルは超高水準。必ずやご満足いただけることだろう。
 さて。こちらONELの女の子たちの制服には、それぞれ大きめのネームプレートに、特製の「容量表示」が行われており、これが “我慢系”の品質保証となっている。ニヒリズムを気取ってあくまで自己申告と切って捨てることもできようが、このあたりのきめ細かな演出は実にマニア心をくすぐるものだ。
 「640mlの優奈ちゃん(仮名)」や「580mlの明日香ちゃん(仮名)」が、膝をモジつかせ、腰を小さく揺すり、脚を震わせながら、トレイ上のコーヒーやジュース、ソーダフロートを波立たせて運んでくれる様は実に実に、まったくもって素晴らしいものだ。
 なお、このネームプレートの容量表示、月一回の正確な「計量」に基づくものだそうで、取材時にお話ししてくれたニューフェイス、「490mlのきららちゃん(仮名)」は先月の計量で自己ベストを更新したばかりなんです、とこっそり教えてくれた。
 ONELで常時掲示されている女の子のランキングはこの計量容量に基づくもので、総容量ランキングのほか、12時間の複数回平均ランキング、勢い評価ランキング、急上昇ランキング、新人ランキングなどと様々に分類されている。
実に様々な角度からの分析は、オーナーの拘りの集大成とも言えるもので、お目当ての女の子の新たな一面を知ることができる。眺めているだけでも楽しいので、来店の際はぜひご一読をお勧めする。
 少し話が横にそれるが、この系統のお店でのバイトは、強制的に括約筋や膀胱のトレーニングになることから、お花摘みの近い女の子たちにとっては悩み解消のための思わぬ副次効果をもたらしてくれているという。なんとも、世知辛い世の中で久しぶりにいいお話である。
 閑話休題。
 さて、こちらONELでは、今年から始まった新たなサービスがある。
 それこそが今回の目玉、「○○ちゃん謹製レモンティ」である。実にいかがわしいネーミングからご想像頂けるように、まったくもってけしからんメニューである。皆様のご期待を裏切らないものであることを保証しよう。
 このサービス、当日シフトに入っている女の子の指名とともにオプションで注文できるもので、要は注文が入って初めて作り始める特性のレモンティだ。
 もちろん担当するのは指名した女の子である。わざわざフロアーを離れて用意してくれるとあってその特別感もひとしおだ(ついでに値段も)。
 しかしお財布へのダメージなど内容を見れば些細なこと。取材に来た時点で自腹は覚悟の上である。私がお願いしたきららちゃんが席を外してしばし。どこを見回しても眼福ばかりの店内で待っていると、やがてほんのり顔を赤くしたきららちゃんが、ワゴンに乗せたガラス計量器とグラスを持ってきてくれる。
 ワゴンの上に鎮座するこの背高のっぽのガラス容器。科学の実験の経験がある方はご存じだろう、計量に使うメスシリンダーである。まあ要するに、目盛りがついていて、中にどれだけの液体が入っているのかがひと目でわかるガラス容器だ。
この中にあたたかーいレモンティがたっぷり入っているのだが、これがなんと、指名した女の子のネームプレートにある容量表示とぴったり一緒である。
 頑張って作ってくれたというきららちゃんに合掌、平身低頭して感謝の意を示すばかり。
 そしてまた、きららちゃんの「いっぱい出ちゃった(茶葉の出が良かった)」「すっごく我慢した(慌てずじっくりお茶葉を蒸らした)」「恥ずかしいな(これはまあ本音かもしれない)」といった感想を、耳打ちしてもらうサービスまである。これがなお興奮をかき立てる。いや興奮しないはずがあるものか。
 ……なお、誤解なきように言っておくと、これは本当にただのレモンティなので、妙な応答をしてはいけない。あくまでONELは条例を守る健全な飲食店である。このお店はエロが目的では無いので、女の子に露骨な言葉をかけることは、即犯罪である。
 変な気を起こそうとしたところで、条例でしょっ引かれてしまうだけなので(オーナーさんとしても、お店や女の子を守るために断固とした処置をとるということである)、紳士淑女の嗜みとして、きちんと普段通りのお茶を飲むように頂くこと。
 まかり間違っても、「○○ちゃんのジョボジョボ出したて●ョンベン最高ー!!」などと騒いではならない(まあ気持ちは分からなくないが、あくまで紳士的に。こういった言動でも笑って許してくれる子もいるが、何事もやりすぎはお店としても女の子としてもNGである場合が多い。注意しよう)。まあ、私とて心に一物を抱える身、こんなものを見せられてしまえば同好の士として自分を解き放ちたくなるのは嫌でもわかるけれども。
 しかし、今は何かと肩身の狭い時代である。お店が続いていくかどうかにだって直結してしまう。
 そういうのは、お店でのマナーを守り、きちんと退出してから、どうか仲間内だけでひっそりと「いいよね…」「いい…」と楽しんでいただきたい。
 むろん、レモンティが美味しいのであればそのことは素直に、丁寧に女の子たちに伝えよう。あくまでも紳士的に、淑女として恥ずかしくない振る舞い、言動を心がけること。本音と建前、いかな場所でも優雅にあることが我らが“ある趣味”の紳士淑女である。
 ここでひとつ裏話。実のところこの新メニュー、元々月に一度のファン感謝デーとして企画した「計量測定日」のイベントとして発案されたものだという。ONELの女の子たちのランキングについては既に述べた通りだが、これを「公式に」測定する日を作ってファンに感謝をしようというものだったらしい。
 TVの深夜バラエティの生着替えなどで使われている簡易的なスクリーンを設け、女の子が自分専用に名前を記した計量容器を手にその裏側へと移動。音を立てて注ぎ込んだレモンティをなみなみと満たして登場し、その量を比較する――というもの。
 勿論、公式のイベントとしてファンを招き公開されているので、実際に女の子がその場で「計量」できるわけがないのだが(編注:14歳以上の女子が、公衆の面前で排泄行為を行うのは条例違反である。念のため)、聞くだに夢の膨らむイベントではなかろうか。
 スクリーン一枚を隔てた向こうに、シルエットを覗かせた女の子たちが、自分専用の計量容器に勢いよくレモンティを注ぎ込む――まったく、想像するだけでもさぞかしイケナイ気分を引き立てることであったろう。
 しかも、メスシリンダーに注ぎ込まれるレモンティの量は、事前の「計量」で明らかにされている女の子たちの最大容量きっかりそのままだという拘りようであるというから、まったくもって素晴らしい。はよ。誰か実現はよ。
 いやはや、実に素敵なイベントであると思うのだが、実現間近という段階になって、当局の介入で誤解を招くとして開催告知の直前に差し止めとなってしまったという。現在、オーナーと自治会が状況設定を変えて開催できるよう、粘り強く交渉を重ねている最中であるらしい。
 これまでのお話を聞いてこの素敵イベント開催を支援したいという紳士淑女の皆様は、是非こちら、ONELまで来店して応援してあげて欲しいものである。
 ……さて。そろそろ紙面も尽きつつある。霧雨澪の世界探訪、今回はこのへんで。次回もお会いできることを楽しみにしている。
(文責:霧雨澪)
 (ツイッターより改稿再録)

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