2017年11月のしーむす!で頒布した同人誌を公開します。
現在DL版の販売もしておりますが、それと同じ内容です。
pdf版が欲しい方、気に入ったのでせっかくだから買ってやるぜ! という方、DL版のほうもよろしくお願いします。
ここから先は「泉会のおねえちゃん先生」に当初組み込まれていたお話です。
詩織が会の男の子達を連れて紳士用の公衆トイレに入ってからの展開や、バスの中ではオモラシせず、公園に到着した後でさらに我慢を強いられる展開などがありました。
本編に入れるとあまりにテンポが悪くなったので削除したものです。あの後どうなっていたのか、『もしも』の世界線にはこんなことがあったのだと思っていただけると良いかもしれません。
▼ EX1
死んでしまいそうな羞恥に唇を震わせながらの説得は、思いのほかうまく運んでいた。詩織の足元で俯いてハーフパンツを抑えている子供たちの姿もあったせいか、順番待ちをしていた男性たちはすぐに詩織たちを列の間に入れてくれたのだ。
ずらっと並んだ小用便器の一番奥を譲ってもらい、詩織は会の男の子たちと共に紳士用トイレの床を踏んでいた。
本当なら詩織は外で待っていたかったのだが、子供たちから目を離すわけにも行かず、付き添いとしてトイレの中に入っている。
(っ、……はっ…恥ずかしいよぅっ……!! 見ないでっ、見ないでよぅ……)
了解済みとはいえ、隠し切れない男性たちからの好奇の視線が詩織にちくちくと突き刺さる。それは今もなお現在進行形でオシッコ我慢を続けている詩織には酷な仕打ちだ。
ただでさえ大きくなりそうな腰の揺れを押さえながら、もう限界に近い状態で足踏みを続けている子供たちを励ます。
「おねえちゃん、まだ? お、オレもう漏れちゃうっ」
「ボクも……」
「だ、だいじょうぶ。あと十数えればすぐだから。ね?」
(は、早く、してっ……)
そうして焦る気持ちは、子供たちのためだけではなかった。小用便器に向かってチャックを下ろしている男の子の一人を急かしたくなる自分を抑えながら、詩織はぎゅっと汗ばんだ手のひらを握る。
とにかく、これが終わらなければ詩織はオシッコを済ますこともできないのだ。
「んしょ、んしょっ……」
掛け声をかけながら、白い陶器の前で男の子の一人がズボンを脱ぎ、足元まで下ろした。詩織は丸出しになったおしりから詩織はとっさに目を背ける。
泉会の『おねえちゃん先生』として、こんなことじゃいけないと思いながらも。
オシッコをする準備を終えた男の子たちの姿を前に、詩織は沸き起こる羞恥を堪えることができなかった。
じょじょっ、じょぼぉーーーーっ!!
ぶしゅるるるるるっ、じゅぼぼぼぼぼぼーっ!!
たちまち、激しい水音が便器を叩く。とても小柄な子なのに、我慢していたせいかすごい勢いだった。女の子よりも高い位置からのおしっこはその分だけ勢いも良く、タイル張りのトイレの中にも響き渡る。
猛烈な恥ずかしさで真っ赤になって震えながら、詩織はぎゅっと目を閉じる。本当なら耳も塞いで、できることなら今すぐにでもここを逃げ出してしまいたいが、ぎゅっと袖を握る男の子たちを振りほどくこともできなかった。
「ふぅぅー……っ……」
尿意を解放する男の子の吐息に刺激され、詩織の下腹部も激しくざわめく。
そして、それは一つだけではなかった。詩織の存在を背中で気にしながら、次々と男性たちの列もオシッコを済ませている。
(……お、オシッコ……だめ、あ、脚、動いちゃうっ……我慢してるの、気付かれ、ちゃううぅ……っ!!)
重なって響くいくつもの放水音に、詩織の膀胱も共鳴するようにざわつきはじめる。
文字通りの誘い水がじんじんと恥骨に響いて、詩織はきゅぅっと脚を交差させた。
(うぅっ……くぅうっ……!!)
尿意と羞恥の必死の綱引きを続ける詩織の隣では、もう一人の男の子がまだかな、まだかなと首を傾げながら我慢のステップを繰り返していた。
あどけなさゆえに羞恥に囚われず、我慢のしぐさを隠すことがない男の子たちの振る舞い。それに触発されるように、詩織の股間にもじんじんと熱い雫の疼きが伝播してくる。この仕打ちはいまだに楽にならない詩織の膀胱をいっそう震えさせるいい材料だった。
ちょぽぽぽぽ……ちょろ、ちょろろっ、
すっかりおしっこを出し終えた男の子が、なおも雫を便器の中に振り絞る。
泉会の小さな子たちはどうしても動作のひとつひとつに時間がかかる。切羽詰まった下腹部がしくしくと尿意を訴え、詩織はもたもたと後始末をし、ズボンを上げているている男の子を手伝ってしまいたくて仕方がなかった。しかし、ひとりでトイレをすることも彼らにとっては立派な勉強。『おねえちゃん先生』の詩織が邪魔するわけにはいかない。
(はやく、はやくっ、はやくぅっ……!!)
詩織の膀胱はさっきよりも遥かに重みを増していた。ちょっと油断するだけで排泄孔がひくひくと痙攣を始めてしまいそうだ。
婦人用トイレで列から外れることなく、ちゃんと順番どおり進んでいれば、詩織は本来ならもうとっくにトイレを済ませられていたはずだ。筋違いとは言えども、子供たちに恨み言を言ってしまいそうになる。
順番を変わる男の子たちを見ながら、詩織はぎゅっと唇を噛んだ。
――と。
「あ……」
詩織の目に飛び込んできたのは、小用便器の反対側に並んだ個室の姿だった。8つある個室のうち6つには鍵がかかっているが、残りの二つはドアが開け放たれ、中の様子を覗かせている。
薄青いタイルに囲まれたそこは、ついさっきまで詩織が切望していた『オシッコをするための場所』だった。
(……だ、ダメっ……!!)
そのことに気付いてしまった瞬間、詩織の下腹部を強烈な疼きが襲う。恥骨を伝って降りてゆくむず痒さが股間の先端に集まり、固く閉じ合わされた排泄孔に集中した。
オシッコが、出る。
これまでとは段違いの、大津波だった。
「ぁ……ふぅっ……く、ぅ、あっ……」
決壊の緊急警報に屈しそうになる恥骨の上のダムを押さえ込むため、詩織はぎゅっと背筋を伸ばし、膝を交差させながらぐいぐいと腰をねじる。
「んぅ……ぁあぁ……ッ」
出口のうち側にぶつかって、おなかの中で黄色い濁流が渦を巻き暴れだした。波打つオシッコの水面に合わせて、きゅきゅっとおしりが揺れる。
目の前の個室の誘惑が、詩織の羞恥心を越えて脚を動かさせる。まるですぐ隣の子たちのように、小刻みに始まってしまった我慢のステップを押さえ込むことができない。
(だ、ダメ……が、ガマンっ……しなきゃ……)
ここは女の子のためのトイレではないのだ。大勢の男の人がすぐ目の前に並んでいて、詩織のことをじっと気にしている。ここで個室に入れば、詩織がドアの向こうで何をしているかなんて簡単に知られてしまう。音消しをしたって丸分かりだ。
個室の中は、詩織の知っているものとそう大して違っているわけではない。大勢の人が使うせいで大分汚れていたが、和式の便器が横向きにあるだけのシンプルなものだ。幸いなことにトイレットペーパーは山のように用意されていて、万一の心配はせずに済みそうだ。
違いと言えば、女の子に特有の生理現象を始末する場所がないことくらいだが――そんなものはもうどうでもいい。
(どう、しようっ……お、オシッコ、オシッコでちゃうっ……!!)
がくがくと詩織の膝が震える。まるで詩織を招き入れるかのごとく、ドアを開けて待ち構えている個室から目を離せなかった。そこに飛び込んでズボンごと下着を引き摺り下ろし、便器をまたいで思う存分に尿意をほとばしらせる想像が頭から離れない。
詩織の下腹部はじわりじわりと浸透する尿意に炙られ、猛烈に排泄を欲している。ここでおしっこをせずに我慢すると言う選択肢はありえない。
(で、でも……こんな、男の人のおトイレでなんか……できないよぉっ……)
高まった尿意は断続的に波を作り、押し寄せてきた。詩織は唇をかんで波に耐える。ぎゅっとエプロンの前を握り、膝を交差させてきつくきつく脚を閉じ合わせる。
「ゃ…だっ」
きゅん、と膀胱の疼きが激しくなる。少女のおなかをたぷたぷに満たしたおしっこが、外に出させろとごぽりと渦を巻いているかのようだった。
(オシッコ、オシッコしたいのにっ、したいのにっ……もう、そんなに我慢できないのにぃっ……)
詩織にはどうしても紳士用トイレを使う決心はつかなかった。こうして紳士用トイレの中で待っているだけでも恥ずかしくて気絶してしまいそうなのだ。それを、男の人も使っているトイレで、オシッコなんて。
「ぁ、あぅ……っ、ふ……」
紳士用トイレの入り口からは、今もまだずらっと続いている婦人用トイレの行列が見えるこの後でまたもう一度、婦人用トイレの行列に並ぶのかと思うと、気が遠くなりそうだった。
(でも、そ、それしか……もう……)
他に選択肢はない、と詩織が覚悟を決めたときだった。
「……おねえちゃん?」
気遣うような声に、詩織ははっとなって顔を上げる。
我に返った詩織の前で、子供たちがじっと顔を見上げていた。詩織が二の足を踏んでいるうちに、いつの間にか男の子たちは全員用を済ませていたらしい。詩織は慌ててぎゅっとエプロンの前を押さえ込む。
「ど、どうしたの?」
「おねえちゃん、さっきから笛、なってるよ?」
「え、?」
ぴりぴりぴり……
言われて耳を済ませる詩織にホイッスルの音が聞こえてきた。駐車場で吹き鳴らされるそれは、泉会のバスが出発する時間を告げる、休憩終了、集合の合図だ。
つまり。
時間切れ、出発。
もうオシッコをしている時間などない。
(う、……そ……)
詩織は顔から血の気が引くのをはっきりと感じていた。
「おねえちゃん、行こ? バスに乗り遅れちゃうよ」
「早くしようぜーっ!!」
子供たちが口々に詩織を急かす。もうオシッコをするな、と言うように。
もう限界はそれほど遠くない。歩くのだって辛いくらいに、おなかはぱんぱんに張っている。
おトイレが、したい。
(で、でも……)
からからの喉に唾を流し込んで、詩織はのろのろと脚を動かした。
ここでもう一度列に並んでいたら、バスの出発は大きく遅れてしまうだろう。先生にもみんなにも迷惑をかけてしまう。
この期に及んで、詩織は自分の尿意よりもみんなのお手本であることを優先させなければならなかった。
(行かなきゃ……っ、我慢、して……戻らなきゃ……)
泉会の『おねえちゃん先生』として。
これ以上わがままを言うわけには、いかないのだから。
(本編に続く)
▼ EX2
「はぁっ、ふぅっ……ぅっ……っく……」
あれから1時間。
へっぴり腰でふらふらと、公園の通路を歩く詩織の姿があった。
結局、詩織は長い長い我慢の時間を乗り切り、どうにか公園までおしっこを出さずにいることができた。度重なる大波に晒されて、いったい何度もうダメだと思ったことだろう。
それでも辛うじて回避できたのは、少女としてのプライドと、泉会のみんなのお手本となる立派な『おねえちゃん先生』たろうとする心があったからこそだった。
尿意は相変わらず激しいままであったが、どうにか小康状態、安定期に入ったようで、今はついさっきまでの猛烈な大波はおさまっている。
しかしダムの水位は一時よりさらに増していることは間違いなく、さらなる危険水域を突破しようとしていた。
動く密室だったバスを脱出できたのだ。一刻も早くトイレを探さないとならない。詩織は気付かれないようさりげなく下腹部を押さえ、股間にかかるおしっこの重みを和らげながら道を急ぐ。
案内板の矢印が、『♂♀トイレ』の文字を指して並んでいる。
公園のトイレはふたつあり、そのひとつは公園の反対側に、もうひとつは管理棟のすぐそばに設けられているようだった。
「あとちょっと……だけ……がまん、がまんっ……」
口の中で小さくつぶやき、自分に言い聞かせるようにして、詩織はまっすぐに白い管理棟の建物を目指す。少女の下腹部ではぐらぐらと秘密のティーポットが沸騰し、いまにも中身をこぼしてしまいそうだった。
「うぅ、っく……っ」
ざわり、と落ちつきを保っていた水面がざわめく。間もなく尿意が膨れ上がり、波立って詩織を襲った。
もはや一刻の猶予もない。立ち入り禁止の芝生を横切って、詩織は全速力で管理棟へと走り寄った。膝をくっつけた小刻みの内股でもどかしく、管理棟の裏に設けられたトイレのドアに飛びつく。
かなり古い建物なのだろう。汚れも目立ち、あまり清潔とは言いがたい。おまけにスペースの都合なのか、男女共用のつくりらしかった。個室のすぐ真後ろに、男性用の小便器が並んでいる。
潔癖な詩織にはあまり好ましくないトイレだ。もしいつもなら、多少不自由したところで使う事はないだろう。
しかし今は違う。オシッコをできるなら、たとえどれだけ汚くても構わなかった。
「ま、間に合ったぁ……」
――がこん!!
安堵と共に、詩織がノブを引いた瞬間、帰ってきたのは硬い手応え。
無常にも、少女が耐えに耐え続けた尿意を解放できる部屋にはかたく鍵が掛けられ、
『故障中 使用厳禁』
の張り紙があった。
「う、嘘ぉっ!!」
詩織は思わず悲鳴を上げていた。やっと解放されるはずだったオシッコはたちまち少女の下腹部で暴れまわり、猛烈な尿意が排泄器官を占領する。中腰になり、おしりをはしたなく不恰好に突き出して、詩織は力任せにドアを引く。
だが、いくら力を込めてもドアノブは金属音を立てるばかりで、曇りガラスのドアは開く事はない。使うことができないトイレを前に、窓に張られたトイレのマークは、詩織を嘲笑うかのように少女の尿意を急き立てた。
「やだ…っ、開いて、開いてよぉっ…!! なんで閉まってるのっ……もう、オシッコ出ちゃう、でちゃうよぉ……っ!!」
いくら尿意を訴えても、かたく閉ざされたドアは開かない。すぐそこにオシッコをするための設備があるのに、オシッコをしてもいい場所があるのに、詩織はそれを許されないのだ。
必死になってドアと無謀な格闘を繰り広げる詩織に、背後から声が掛かる。
「ちょっと、どうしたの?」
振り返れば、そこには眉をひそめて詩織を見つめる新藤先生の姿があった。
「あ、と、トイレ……おトイレ、が……っ」
うまく回らない舌で、詩織は自分の尿意を訴える。
こんなところで尿意を叫ぶなんて、普段の詩織にはあり得ない行為だ。しかし、限界寸前の排泄欲求に、もはやなりふり構っていられる状況ではなかったのだ。
もっとも、いくら叫んだところで新藤先生がトイレの鍵を持っているはずもなく、かりにもしその可能性があったとしても、故障したトイレが使えるようになるわけではない。
オシッコのことで頭がいっぱいの詩織にはその程度の判断すらできなくなっていたのだった。
新藤先生はやっぱり、というような顔をして溜め息をつく。
「なぁに、まだできてなかったの?」
「は、はいっ……」
頷く詩織の様子を見て、新藤先生は指を立て、告げた。
「あのねぇ、さっきも言ったと思うけど、それくらいのこときちんと自分で管理できなきゃダメよ。ここに来る前のところに公衆トイレあったじゃないの。どうしてそこで済ませてこないの?」
「だ、だって……」
「ああもう、くちごたえしないの。前原さん、あなたは少し自覚が足りないわよ」
新藤先生は完全にお説教モードで、詩織の言葉になど耳を貸してはくれなかった。まるで自分はオシッコなんてしないかのような口ぶりで、必死に我慢を続けている詩織の子とを責めたててくる。
(そんな……だって、みんなのこと案内しなきゃいけなかったし、ひとりだけトイレに行ってる時間なんてなかったよぅっ……)
目の前にトイレを発見し、天の助けとばかりに駆けこもうとした詩織に用事を言いつけて押し留めたのは何を隠そう新藤先生だったのだ。詩織がどれだけオシッコを我慢しているのか知っていたはずなのに。
「第一、なんなのその格好は。あなたもういい歳でしょう? 女の子が人前でそんな格好して、はしたないじゃない。……子供じゃないんだから、そんなんじゃみんなの前で示しがつかないでしょう?」
新藤先生は、もともと正式な資格がない詩織が園の手伝いをするのを快く思っていないそぶりがあった。これまではなんとかうまくやってきた詩織に対し、これ幸いとこれまでの不満をぶつけているのだった。
「ほら、そんなにモジモジして!! いったいあなた、ここに何しに来たの? 遠足の付き添いでしょう? オシッコしに来たんじゃないわよ?」
「ち……」
違います。違うんです。違うんです。
否定の言葉は、詩織の喉で潰れて形になりはしない。さらに腰をよじらせる詩織を見て、新藤先生はまた溜め息をついた。
「いつもそうじゃない。前原さん、あなた本当にお手洗い近いのねぇ……もっと訓練しなきゃだめよ。子供達につきあってると、お手洗いのひまなんてなくなっちゃうこともあるんだから」
詩織は現在進行系でその訓練の真っ最中なのだ。
我慢の限界なんかとっくに超えて、きっと今詩織の膀胱には、いままでした事もないくらいたくさんのオシッコがたぷんたぷんに詰まって、ぱんぱんに膨れているに違いない。
「いいわね。今後はちゃんとしなさいよ? わかった?」
「っ……くうぅ……」
「ほら、返事はどうしたの?」
「は、はいっ……」
ぷるぷると震えながら、詩織はぎゅっと俯いて返事をする。悔しさもさる事ながら、お説教の際中にまたオシッコの波が襲ってきて、我慢をするので精一杯だったのだ。
一通り言いたい事を言って満足したのか、新藤先生はくるりと背中を向けて去ってゆこうとする。しかし途中で何かを思いだしたように足を止めて、詩織に釘を刺してきた。
「ねえ、まさかとは思うけど、その辺で済ませようなんて思わないでね? ここは会長のご親友の市長さんに無理を言って使わせてもらっているの。ヘンな事して汚したりしたら、来年から遠足ができなくなっちゃうんだからね?」
「あ、……はいっ…」
(うぅぅうう……っく……そんなぁっ……じゃ、じゃあ、どうすればいいのっ!? も、もう我慢なんか無理だもんっ。できないよぅっ!!)
半ば本気で、管理棟の裏の茂みで済ませてしまおうなんて思っていたところに、ピンポイントの直撃。詩織はさらに募る尿意を抱えて途方にくれてしまった。
もう、今すぐこの場でさえもトイレがしたいのに、オシッコをする事は許されない。
憧れのはずだったエプロンは、まるで詩織を縛り付ける鎖のように重かった。
「くぅ……ふぅっ……っ、はーっ、はぁーっ……」
(オシッコなんか出ない……オシッコなんか出ない、オシッコなんかしたくないっ……)
おなかをさすりながら、もう余裕のない下腹部の余分な力を抜き、大きく深呼吸。自己暗示をかけるように詩織は頭の中で繰り返す。
皆のお手本となるように、『おねえちゃん先生』はきちんとしていなければいけない。
もう1ヶ所のトイレは遥か彼方だ。オシッコを塞き止める括約筋は酷使されて悲鳴を上げ、そこまでもつのかどうかも解らない。
けれど、ここでオシッコをすることはもう叶わない。
(…お、お姉ちゃん、なんだから……っ)
その一言に縋り付くように、もう限界の心を奮い立たせて、詩織はおなかが収まるのを待ち、そろりそろりと早足で立ち去る。
その間、少女の視線はずっと管理棟の裏の茂みに注がれていた。
(続く…?)