お姉さまと一緒のお話・2

「……ごきげんよう、彰子お姉さま。結衣さんも」
「ええ、ごきげんよう」
「ご、ごきげんよう、っ、姫子さんっ……」
 笑顔と共に姫子たちが見送られ、ぎい、と閉じられたドアの中。
 ようやく姉と二人きりとなった結衣は、ついにはしたなくも耐え切れず、ぎゅううっとスカートの前を握り締めてしまう。濃緑の布地に折られたプリーツが、大きな皺に激しく乱され、脚の間に巻き込まれた布地が惨めなほどにねじられる。
 まるで、脚の付け根に雑巾をあてがって、思い切り絞っているかのようなありさまだ。とても礼園の生徒――それも、下級生からの憧れの的である生徒会役員の姿とは思えない。
「あ、あっ、あ、あっ」
 結衣は口を小さく「ぁ」の形に開き、空気を求めるようにぱくぱくと震わせる。どくん、どくんと身体の奥で波打つ猛烈な潮の満ち干に小柄な身体をよじり、湿った唇は色鮮やかな桜色に、何度も引き結ばれては空気を求めて開くのを繰り返した。
「っ、っ……」
 ひり付くようにうねる衝撃に、結衣の身体がちいさくくねる。
 それは、まさに今、結衣のもうひとつの秘めやかな場所――乙女の大切な場所で繰り広げられている光景に寸分違わぬ動作だった。
 熱くうねる濁流のようにダムの出口に押し寄せる水圧が、結衣の仕草からこの一年でなんとか身に付けた『お嬢様』の成分を奪い去ってゆく。
「ふふ、結衣? もう我慢できないのね……そんなに恥ずかしい格好をしてしまって」
「あ、ああっ、ごめんなさいお姉さまっ、ごめんなさいっ……!! でも、も、もうダメです、もうっ……む、無理なんですっ!!」
 耐え続けていた限界を叫ぶ声が、立て続けに結衣の口をついた。
 身を揺すりながら、最愛の姉の前ではしたない姿をさらしてしまうことに死にたいほどの羞恥を覚えながらも、結衣はそうやって限界を訴えるしかなかった。
 もはや薄紙一枚ほどのぎりぎりでなんとか踏みとどまっている我慢は、とっくにロスタイムに突入しており、いつ危機に瀕する「乙女」を打ち破ってもおかしくない。
「お、お願いします……お姉さまっ……お、……ぃ のっ」
 くねくねと身を振り、左右に括った髪の房を揺らして、結衣は『その言葉』を口にしてしまう。礼園の生徒であれば、そのような素振りを見せることすらはしたないと眉をひそめられるような――その言葉を。
「お、お手洗いの……許可を、くださいっ……お姉さまっ、あ、っ、ぉ、お願いしますぅ……っ、お、お手洗いにっ、いかせてくださいぃっ……!!」
 目前に迫る崩壊の瞬間を前に、わずかな身じろぎすらできない無力な少女はただ、そうやって惨めにも破裂しそうな排泄器官を押さえ込み、ただただ必死に懇願するしかなかった。
 それ自体が意思を持って疼くほどに膨らみきった下腹部の水風船を抱え込み、もはや結衣には一刻の猶予も残されていない。
「ふふ、こんなにお腹を張りつめさせて……とっても我慢してるのね」
「あぁ、だめ、お姉さま……っ」
 すい、と身を寄せた章子は、制服の上から結衣の下腹部を撫でる。
 ぱんぱんに膨らんで、ぱちんと弾けてしまいそうなその部分は、もう風が撫でるただでさえ辛いのに、そこをそおっと絶妙な力加減の指先で刺激され、結衣は思わず頤を上げ、小さな悲鳴を放ってしまう。
「ふぁ……んんっ……んぅ……」
 結衣の頬にさっと朱がさす。
 まだ、姫子たちが外に出て行って僅かな時間しか経っていない。彼女達は部屋の前で何かを話しているかもしれない――それなのに、こんな恥ずかしい声を上げてしまうなんて――!!
「ぁ、あっあっ」
 しかし、スカートの上から脚の付け根の『おんなのこ』を押さえ込む手のひらは、わずかでも力を緩めればそのまま崩壊に繋がりかねない。ゆえに、結衣は腰を揺らし身体をよじる以外に、彰子の手から逃れるすべをもたなかった。
 それをすべて知った上で、彰子は結衣の尿意を弄んでいるのだ。結衣は必死に唇を噛んで、それ以上の悲鳴が口からこぼれないようにする。吐息がますます荒くなり、少女の耳までが真っ赤に染まる。
「素敵よ。とっても可愛いわ……結衣」
「ぉ、お姉さまぁ……っ」
 耳元で囁かれる甘い言葉に、結衣の胸が高鳴った。
 憧れのお姉さまに可愛い、と告げられ、心はまるで天にも昇るほどの歓喜を覚える。もしこんな切羽詰まった時でもなければ、そのまま嬉しさで気絶しかねないほどのものだった。けれどそんな幻想に浸ることも許さないほどに、切羽詰まった女の子の衝動が結衣の恥ずかしい場所に集中してゆく。
「ぁ、あっ、お姉さま、もう、もう本当に……お願いします……、お手洗いに、いかせてください……っ。こ、このままじゃ、ここで……っ」
「ここで? ……ふふ、“ここで”どうしたのかしら?」
「っ……」
 殊更に。煽るように囁いてみせる彰子の言葉に、きゅう、と結衣の身体が悲鳴を上げる。鼓動は激しく高鳴り、胃の奥がぎゅっと縮んで、それらの動きすら下腹部へのいけない衝撃となって響く。『おんなのこ』が身悶えし、きつく押し当てた手のひらの内側でぷくりと口を開けてしまいそうになる。
 けれど、彰子の言葉は絶対だ。結衣は答えなければならなかった。
 うつむいたまま、蚊の鳴くような声で――結衣は、訴えを絞り出す。
「こ、ここで……ぉ……オ、モラシ、し、してしまいます……っ」
 口に出した瞬間、かぁと顔じゅうに火がついたような羞恥が沸き起こった。
 このまま、はしたなくも耐えきれず限界を迎えて、滝のように恥ずかしい水を迸らせ、床に盛大な水たまりを築き上げてしまうその瞬間を幻視したかのように、結衣の腰がじわぁと熱くなる。
「お、おねぇ、さま……っ」
「うふふ……そんなはしたない事を言ってしまうなんて……いけない子ね、結衣」
 ぱくぱくと、酸素を求めて小さく開閉する結衣の口を、そっと彰子の指先が押さえこんだ。全てが彰子の思うがままだというのは、とっくに結衣だって理解している。けれどその上でなお、彰子はこうして、結衣にトイレを我慢させては、恥ずかしく身悶えし、懸命に腰を震わせ脚をすり合わせるその姿を見て楽しむのだ。
 一番最初の大失敗から、半年。結衣はこれまでにも何度も、こうして大好きな彰子お姉さまに焦らされ、弄ばれ――気の遠くなるような我慢を強いられてきた。
 彰子は結衣の限界を実によく見極めており、ぎりぎりの、本当にぎりぎりの限界のところで結衣を解放するのだ。がくがくと震える脚で、結衣が懸命にトイレへと急ぐとき、彰子は実に素敵な笑顔を浮かべ、満足そうに微笑んでいる。
 最後の最後にトイレへの許可を与えられたというのに、一歩も動けず、床をスカートを、下着をびしゃびしゃに濡らしてしまった経験も一度や二度ではない。
 今日も結衣は、彰子によってお手製の紅茶をたっぷりと採らされて、4時間近くもトイレに立つことを禁じられていた。
 この半年、休み時間の度にトイレに立っていたころに比べると、結衣の排泄器官ははるかに強靭なものとなっていたが――それでも、成長期の少女の身体は容易く限界を迎えてしまうのだ。
「お姉さまっ、……も、もう、本当に……駄目です…っ。お願いしますっ……、お、お手洗いにっ……お手洗いに行かせてくださいっ……!!」
 彰子とて、そう何度も何度も部屋を汚されることを好む筈もない。そう信じて懸命に許可を求める結衣だが――そうして必死に尿意に抗う表情や仕草こそが、彰子の嗜虐心をますますそそる姿なのだとは、まだ思い至っていなかった。
 そして今日、彰子はまた、とんでもないことを言い出したのだった。
「ふふ、もう我慢できないのかしら?」
「っ……」
 唇を噛み、懸命にこくこくと首を振る結衣。それを見て彰子はくすりと頬笑み――ふと、結衣の背中の方に視線を向けて何かを思いついたようだった。
「そうね、あまり我慢させると、身体に悪いし」
「じゃ、じゃあっ……」
 ぱあっ、と顔を輝かせる結衣。しかし彰子は身体を浮かせるとサイドボードへ手を伸ばし、結衣の目の前に、『それ』を差し出してみせる。
「じゃあ、結衣。これに出してしまいなさい?」
「え……っ」
 その言葉の意味が分からず、結衣は呆けたように声を上げていた。
 目の前に突き出されたのは、さっきまで薔薇の花束を生けていたガラス製の花瓶だった。手の込んだ細工模様に彩られたそれは、触れるのも躊躇われるほどに曇り一つなく、上品で希少な気配を漂わせている。
 姫子たちが花束を受け取っていったため、今は空っぽとなった花瓶の取っ手を持ち、結衣の身体を抱きよせるようにして、彰子はもう一度、結衣に言いつける。
「我慢できないのでしょう? 結衣。いいのよ、ここに出してしまいなさい?」
「っ…………」
 『これ』をトイレ代わりにしろと――彰子はそう言っているのだ。結衣の耳が拒否した言葉を、無慈悲にも再度言い聞かせるように、彰子は結衣の耳元に唇を寄せる。
「ふふ。だって、結衣、もう立てないのでしょう? 途中で間に合わなくなってしまうわよ?」
「そ、そんな……嫌です、お、お手洗いに……っ」
「これが結衣のお手洗いよ。結衣がどんなに我慢しているのか、調べてあげるわ」
「お、おねえ、さまぁっ……」
 ほとんど悲鳴のように叫んで、結衣はいやいやと首を振った。どんなに慕う姉の前だとしても、見せたくない姿というものはある。たとえ彰子が心から望むことだとしても、それは誰にも秘密にしなければならないはずのものだった。
 だが――そうやって懸命に抗い、羞恥を訴える結衣の姿を、なによりも彰子は楽しむのだ。
 抵抗できない身体を後ろから抱かれるような格好にされ、結衣の背中から手を伸ばした彰子は、結衣が懸命に押さえつけている下腹部を、手のひらの上からそっと撫でさする。
「ふふ……結衣、だめよ? こんなにここをカタくしてしまうなんて……」
「ぁあっ、だめ、だめぇ……」
 憧れの“お姉様”の手によって、張り詰めた下腹部がやわやわと揉みこまれてゆく。撫でられればわかるほど、恥ずかしい液体を溜めこんで膨らんだ下腹部は、敏感に反応してしまうのだ。
「お願いしますっ……お姉さま、っ、ちゃ、ちゃんとした……お手洗いに…ぃっ」
「あらあら……一人じゃ出来ないのかしら? 仕方ないわね、手伝ってあげるわ」
「ふぁああ!?」
 きゅうっ、と一際強く下腹部を圧迫され、思わず結衣が悲鳴を上げた瞬間。するりとスカートが腰上まで捲りあげられる。さらには大きく足を広げられ、両手も強引に押さえつけられ、結衣は下着一枚の下半身を、はしたなくも無防備な大股開きの格好をさらしてしまっていた。
「い、いやぁぁあっ、嫌です、お姉さまっ、だめ、だめ……っ」
「ふふ……どうして? あんなに我慢できないと言っていたのに」
 くい、とガラス容器の縁がが結衣の下着の股布部分へと押し付けられる。布地一枚だけを隔てたすぐその下、出口のすぐそこまでをぱんぱんに満たした恥ずかしい液体が、結衣の『おんなのこ』を刺激する。
「くぅぁ……っ……」
 唇を噛み、か細い括約筋だけにありったけの力を込めて懸命に崩壊に抵抗する結衣。しかし汗に湿る白い下着の奥で、大切な『おんなのこ』が悲鳴を上げ、出口がぷくりと膨らみ始めてしまう。
「ぁ、あっ、あっだめっ……出ちゃうぅっ!!」
 漏れちゃう――あまりにもはしたない叫び。結衣には見えていないが、悶え喘ぐ少女の姿に、彰子の瞳には一層妖しい輝きが濡れ煌めいていた。
 細い妹の身体の中に、限界まで溜め込まれた羞恥の熱水――それが勢い良く溢れガラス容器の底を激しく叩く瞬間を求め、彰子はさらに結衣を追いつめてゆく。
「うふふ。……結衣? もう我慢できないのなら、ちゃんと言って御覧なさい?」
「ぁ……ぁっ、あっ……」
 もはや応答できる様子のない結衣は、それでも必死に首を横に振って抵抗する。学園の生徒として――いや、もっと根本的な乙女のプライドとして、姉の部屋の、それもベッドの上で、花瓶をトイレの代わりにして排泄するなど、赦せるような行為ではないのだろう。
「それとも、このままお部屋と服を汚してしまう方がいいのかしら?」
「っ、ち、ちが……ぁっ……」
 声を絞り出すように、結衣は彰子の手のひらに爪を立てる。きつく食い込むその痛みは、しかしむしろ彰子の興奮を煽るだけだった。かわいらしい、飾り気のない白の下着が覆う、ふっくらとした下腹部。その下に繋がる、脚の付け根の最も敏感な場所。ぷくりと膨らんではきゅっと収縮を繰り返す出口へ、再度花瓶の縁を押し当てる。
「ふあああああ!!」
 ちりちりと身を焦がすような尿意は、その刺激で一気に燃え盛る炎へと変わる。
 ガラス容器の縁が、下着の上から大事なところに押し当てたまま、上下に動かされていた。恥ずかしい出口の場所を探るように、硬く冷たいガラスの縁に敏感な『おんなのこ』を刺激され、結衣は悲鳴を上げた。
 今にも弾けてしまいそうにぱんぱんの乙女の水風船を刺激され、はしたなく腰を揺らし、ひくひくと下着をよじらせてしまう。
 排出口を堰き止める最後の抵抗すら、もはや無意味だった。股布部分の中心にぽつりと小さな染みが浮かび、それがじわじわと大きく広がってゆく。
「やっ、あぁ、ぁっだめだめぇえぁっ」
 がくがくと肩を震わせ、結衣は腰をよじり身を波打たせて押し寄せる尿意の大波を堪えようとする。それでもなお、彰子は結衣が脚の付け根を押さえこむことを許さなかった。
「うふふふ。……もう駄目みたいね?」
「ぁ、あっあ……ぁっ!!」
 背中から抱きかかえられ、大きく脚を広げられて。可愛らしい下着を丸見えにしたあられもない姿。大股開きの脚の付け根には、彰子の手にしたガラスの容器。
「ほら、さっきよりもここがもっと硬くなって……」
 はち切れんばかりに中身を詰め込んでぷっくりと膨らんだ結衣の下腹部を撫でさすりながら、彰子はさらに笑みを深くする。緊張に強張り、柔軟さを失った下腹部は、もはやこれ以上、少女の体内に水分を蓄えておくことを放棄していた。
「ね? ……結衣がおしっこするところ、見せて頂戴?」
「ちが、っ、違うんですお姉さま、そのっ……そうじゃ、なくてっ……あぅっ!?」
「……ああ。下着を汚してしまうのが嫌なのかしら? ふふ、だったらいいわ、……ほら」
「あぁあっ!?」
 彰子は結衣の下腹部を撫でていた手を離し、結衣の下着の股布部分に指をひっかけると、真横にすべらせるように引っ張った。
 結衣の『おんなのこ』が、一気に露わになる。
 誰にも見せたことのない場所を、一気に明かりの下に晒されて、結衣はパニックになった。
「ぃ、嫌っ、お姉さま、は……恥ずかしいですっ……!!」
「うふふ。……素敵よ結衣。とっても可愛らしくて……赤ちゃんみたい。そう言えば、こんな明るいところで見せて貰うのははじめてかしら……?」
 彰子は残る指先を伸ばして、緊張に強張る乙女の部分をつんつんとつついた。お姉さまに『おんなのこ』を悪戯されて、結衣はさらに声をあげてしまう。
「はぁあああんんっ!?」
「あらあら……結衣は可愛らしいけど、ここもまだ子供なのね……?」
「あ、あっ、あああぁ……っ」
 憧れの“お姉さま”にそこを見られて、優衣はもう言葉もない。
 これまでにも何度か、お姉さまに可愛がっていただいた経験はあったが――こんな風に明るい中で、はっきりと見られてしまったわけではなかった。
「うふふ……こんなにひくひくさせて……いやらしいわ、結衣」
 真横にずらされた股布の奥。もはや何も遮るもののなくなった少女の秘裂から、しゅるしゅると雫が滴り始めていた。小指と薬指でずらした下着を保持したまま、彰子はまだ硬いその割れ目を押し開くようにして、排泄のための部位をくつろげる。
 水流の噴射を遮らないように広げられた『おんなのこ』。そのすぐ真下にはガラス容器が傾けて配置され、万全の準備を整えていた。
 脚の付け根に押し当てられたガラス容器の感触につられて、股間の先端からじゅじゅうっと噴き出した熱い雫が花瓶の底に溜まってゆく。
「っあ、ぁ。ああっ、だめ、お姉さま、だめぇ!!」
「ほら……もう大丈夫よ結衣。いつ出してもいいわ。……ね?」
「だめっ、だめ、だめえっ!! お姉さまやめてぇえっ、出ちゃう、ホントに出ちゃいますうっ!!」
「うふふ……ほら……しー、しー……」
「あ、あっあだめ、だめぇだめえええ!!」
 我慢、我慢、必死に食い止めようとしていた排泄欲求が、少女の意思を無視して膨らんでゆく。トイレの合図でもある“しー”――耳元で囁かれる禁断の言葉に、もはや本能はあらがえない。
 膨らんだ排泄孔はぱくりといやらしく口を開き、身体が反応を始めてしまう。憧れのお姉さまの前で失態をさらすことへの羞恥が、少女の心をきゅうと締め付ける。
 同時に、まるで幼児のようにおしっこをさせられることへの被虐心がぞくぞくと背中を這い上がる。猛烈な羞恥と、崩壊の衝撃が少女の思考を焼いてゆく。
 我慢に我慢を重ねていたものが、ついに扉を突き破って溢れだす。
「ぁ、ああぁ、ぁっあ、あああああぁああーーーーっ!?」
 ぶしゅっ、ぶじゅぅううううっ!!
 まるで、噴水のように。
 放出という言葉では足りはしない。噴出――噴射とでも呼ぶのが相応しいだろう。下腹部に限界まで注ぎ込まれ、長時間に渡って煮詰められていた尿意の元が、堰を切ってほとばしった。
 しっかりと結衣の出口に押し当てられたガラスの花瓶の中、猛烈な勢いで薄黄色の液体が噴き上がっては波打ち、ホースで水を撒くような野太い水流が透明な容器の中にぶつかってゆく。
「あぁ、。ああぁっだめ、だめ、止まって、止まってぇ……」
 憧れの彰子お姉さまの目の前で、しかも、お花摘みのための場所――トイレでもなんでもない、寮の一室で、花瓶の中にお手洗いをするなんて。
 猛烈な羞恥に顔を覆って悶える結衣だが、決壊した乙女のダムはそんな事情などお構いなしに、ガラス容器の底めがけてのたうつように激しい水流を注ぎ込んでゆく。
 じゅぶじゅぶじゅぅううううううーーーっ、
 じゅぼぼぼっぼぼっ、じょごごごごぉおおおおおおーーーっ!!
 容器の底を打っていた水流は、すぐに水面を泡立てかき混ぜるさらにみっともなくもはしたない音に変わる。
 乙女の秘所が響かせるにはあまりにも下品な排泄音は、部屋の中に余すところなく響き、ガラスの容器の中をたっぷりと満たしてゆく。
 ぴったりと結衣の股間に押し当てられたガラス容器の中に、みるみるうちに薄黄色の液体が泡立ちながら水位を増していった。水位はあっという間に花瓶の容量の半分を過ぎ、八分目を超え、容器のなかをいっぱいに満たしてゆく。
「いやぁああ………ぁあ……っ」
 じゅぅうううっ、じょぼぼぼっ、じゅごぉーーーーー……ッ
「うふふ……結衣、すごい音よ……?」
 熱っぽく興奮した彰子の囁きが結衣の耳朶を打った。喉を震わせ、しゃくりあげ始めてしまう結衣だが、興奮と緊張はさらに排泄を加速させていた。
 ほんのりと湯気さえ立たせそうな液体をたぷんと揺らし、ずっしりと重くなった花瓶を動かして、彰子はくすくすと微笑んだ。
「あっという間にこんなにいっぱい……ずっしりね? ふふ、こんなに沢山、おなかの中に溜まっていたの? ……我慢できなくなるはずね」
「あああっ、あぁ、っ、だめ、だめ、止まってぇ……っ」
 彰子の声も聞こえないまま、必死に出口を絞ろうとする結衣だが、堰を切ってダムの底から溢れ出した水流は、いくら身悶えしても左右に揺れるばかりだ。みるみるうちに水面は容器の縁まで迫ってくる。
「やだっ、やだあ、お姉さまの前なのにッ、見られてるのに、おしっこ……止まらな……っ」
 誰にも秘密にしていなければならない、羞恥の姿。
 厳重に施錠し、音消しと消臭設備の整えられた個室の中でこっそりと行われるべき、乙女の排泄行為が――あろうことか寮の一室の中、ベッドの上で繰り広げられている。
「あらあら……」
 じょぼっ、ぶしゅっ、ぢょっ、びちゃびちゃっ……
 ついに花瓶の縁を超えて溢れた恥水が、床へとこぼれ出した。せっかく用意してもらった自分専用のトイレだというのに、それでも処分できないほどの恥ずかしいお湯を、みっともなくも溢れさせて――結衣は声もなく、涙に濡れた顔を左右に振り立てる。
「うふふ……結衣? どうしたの? まだ出るのかしら?」
「あ、あっ、いや、違うの、違うのお姉さまっ!! こんなの、こんな、いつもはこんなにいっぱい出ないんですっ。わたし、こんなにおしっこ沢山出したりなんかっ……!!」
 懸命に括約筋を引き絞ろうとする結衣だが、それは噴出し続けるはしたない噴水の勢いに間断をつける程度のことでしかなかった。じゅぼぼっ、じゅごぉーっ、とガラス容器の中に叩き付けられた水流は、そのまま一気に縁を乗り越え、泡立った暖かい液体を溢れさせてゆく。
 じょぼぼぼぼ、びちゃびちゃびちゃっ、ばちゃっじょろろろぉお………
 ほんのりと白い泡を浮かべた薄黄色の液体は、少しだけ傾いた容器からびちゃびちゃとこぼれ出してゆく。
「こんなに大きな入れ物なのに、まだ納まりきらないなんて――結衣ったら、いったいどれだけ我慢していたのかしら?」
 決して少なくないはずの花瓶の容積を軽々といっぱいにして、なお溢れて。
 結衣のはしたない『おんなのこ』が噴き出させる琥珀色の水流は、ようやく噴出量を弱らせ始めていた。
 ぱちゃぱちゃと軽くなった水音が、滴る雫が、徐々に勢いを失ってゆく。
 持ち上げた腰を波打つように上下させ、ひくひくと排泄孔を引きつらせて、結衣が奔流をせき止めた頃には、ガラス花瓶を溢れさせてなお床にも大きなおしっこの水たまりができていた。
「うふふ……結衣、凄かったわね……こんなにいっぱい。手まで汚れてしまったわ」
「っ、やだ、お姉さま……っ」
 なみなみと、縁から溢れんばかりに乙女の羞恥を注ぎ込まれたガラスの花瓶を、結衣の顔の高さまで差し上げて。微笑む彰子に結衣は顔を反らし、俯いてしまう。
 透明な容器は、わずかに泡立つ黄色い液体をこれでもかとばかりになみなみとと湛えていた。
「床もこんなに汚して……はしたないわ。」
「ごめんなさい……御免なさい、お姉さまぁ……っ」
「うふふ……いいのよ、結衣。我慢できなかったのでしょう?」
 くすくすと笑いながら、彰子は花瓶をゆっくりと傾けた。
「あ……いやあ、……っ」
 床に向けて、花瓶の中に溜まっていた恥ずかしい液体がぱしゃぱしゃとまき散らされてゆく。
 溢れさせた分と、花瓶に出した分。両方合わせれば一体どれだけの量になるだろう。寮の床一面を汚す薄黄色の水たまりは、ほんのりと結衣の匂いを立ち込めさせていた。
 結衣の脚から汚れた下着を引き抜き、
「ねえ、結衣?」
 囁くように。耳元に唇を寄せて、彰子が言う。結衣はぞくりと背中を震わせた。
「……まだ、我慢しているのよね?」
「っ………」
 息を飲む結衣の脚の付け根に、再びガラス容器が押し当てられる。結衣の放出した恥ずかしい液体で暖まった容器の縁は、さっき感じさせた冷たさはなく、むしろさらなる解放を促すようにほんのりと温かい。
「我慢しないで、って言ったでしょう? 全部、出してしまいなさい?」
「ぁ……あ……」
 もう限界だった。懸命に、必死になって塞き止めていた最後の力が、お姉さまの囁きでぷつんと途切れる。
 こんなにもはしたない姿、これ以上見せていたくはないのに――まだ、たくさんおしっこが出そうなのに。
「おねえさま……ぁあっ」
 ひくっ、と震えた結衣の『おんなのこ』が、再び激しく薄黄色の水流を吹き上げる。
 じゅっ……じゅわぁあぁあああっ、じょぉおおおおっ……
 力強く噴出を再開したはしたない噴水は、空になったばかりのガラス容器の底を打った。
「あらあら……まだこんなに出るのね? 結衣ってば、一体どれだけ我慢していたのかしら」
「………っ!!」
 いつまでもおしっこを出し続けてしまう恥ずかしい身体。我慢の利かないだらしない排泄器官。いうことを聞かない『おんなのこ』。
 死んでしまいたいほど恥じる心とは裏腹に、波打ちほとばしる水流は止まらない。さっき花瓶を一杯にしたばかりだというのに、またも結衣の身体は熱い水流を絞り出し、花瓶の中を勢いよく満たしてゆく。
 じょぼぼぼ……じょろろろろおぉぉお……
 流石に先程までのような猛烈な噴射力こそないが、彰子にゆっくりと下腹を撫でさすられ、結衣はまた『はうっ』と身体をすくませる。じゅぅううっ、と太い水流を塊のようにガラス容器の中に噴き付けてしまい、結衣はがくがくと背中を震わせる。
 我慢からの解放はとめどもなく、終わりなく続き、苦痛からの解放感は大きなうねりになって少女を襲っていた。
 中断をはさんで二度目の排泄だというのに、終わる気配もなくガラス容器の中に注がれ続ける恥ずかしい噴水は、またも花瓶をいっぱいにしてしまっていた。
 ゆっくりとガラス容器の縁から床へと溢れだしてゆく黄色い滝を見て、彰子も目を丸くする。
「……あ、あっ……いやぁあ……っ」
「凄いわ……またこんなに出しちゃうなんて……」
 結衣の熱に当てられたか、彰子の声も上擦っていた。
 どう少なく見ても、数百cc以上は入るだろう花瓶を、2回もいっぱいにして、なお余る量を溢れさせているのだ。結衣が身体を震わせるたび、じょじょっ、じょぼぼっ、じょごごっ、と絞り出された羞恥の液体は勢いよくガラス容器の水面を打ち、そのままぱちゃぱちゃと床の上に飛び散ってゆく。2回目の排泄も、量だけで見れば1回目とほとんど変わらないだろう。
「違いますっ、ちが……こんなに、いつもはオシッコ出ないんですっ!! 今日はずっと我慢しててっ……ずっとずっと、おトイレ行きたくて……ッ こんなに、しないんですっ……」
 ぐすぐすと泣きながら、それでも結衣のお手洗いは止まらない。
 本来なら最低でも3回くらいに分けてトイレで済まされるはずだった排泄が、彰子の目の前、ガラス容器を受け皿にして撒き散らされてゆく。
「素敵よ、結衣」
「……おねえさま……」
 ついに床上に噴き上がる琥珀色の水流を見ながら、彰子は花瓶と結衣の脚を押さえる手を離し、うっとりと、結衣の唇に自分の唇を重ねていた。
 床上に広がる水たまりの中央には、縁ぎりぎりまで黄色いオシッコを注がれたガラス容器が残され、そこに結衣の噴射する水流が降り注ぐ。
 乙女の身体が溢れさせる羞恥の泉の中、ほんのりと泡を残しながら置かれた花瓶は、太陽の光にきらきらと輝いていた。
 (初出:書き下ろし)

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