「あー。ここにしまってたんだっけ。これももう一度読まなきゃ……」
整理ボックスの底から拾い上げた文庫本をぱらぱらとめくり、史香は額の汗をぬぐう。
数年前にしまい込んだシリーズものの第1巻だ。来月完結となる最終巻が出るはずで、その前に一度最初から読み直しておきたいと思っていたのである。
「…………」
ざっと眺めているだけの視線が、いつの間にか文脈を追い始め、やがてページをめくるペースもじっくりとしたものに変わってゆく。昔読んだときには分からなかった表現、思いもよらぬ場所に張られていた伏線。数年ぶりの懐かしさが、いつしかリアルタイムの感動と興奮に変わってゆく。
夏の陽射しが窓の端に強い影を残す、蒸し暑い部屋の中。Tシャツにハーフパンツというラフな着こなしの手足にうっすらと浮かぶ汗も忘れて、史香はしばし夢中になって頁をめくり――。
「って、そんな場合じゃないってば!」
思わず自分に突っ込みを入れつつ、史香はばたんと本を閉じた。
気付けば100ページ近くを読みこんでしまっていた。手にした文庫を、傍らの本の山の上に積み上げ、はあと吐息。
「……ホント、悪い癖だよね……」
無理な姿勢でいたせいか、背中が少し痛い。
本の虫――史香を表す上でこんなに的確な表現もないだろう。小さな頃からの本好きは、大きくなるにつれてますます度を増している。学校図書室の本はほとんど読み終えてしまっているし、近くの公民館の本も似たようなものだ。
休日は古本屋巡りか図書館で過ごし、慎ましやかなおこづかいは言わずもがな、近所の小さな子たちの家庭教師をして貯めたバイト代までもが、ほとんど本に消えている。
それでも一週間に10冊のペースで増えてゆく既読の山は、半年もすると本棚から溢れだすので、こうして定期的に本棚の整理が必要になる。部屋の床に溢れだした本はどれだけ積み上げてもやがてベッド近くまで迫ってくるため、仕方なしに処分せざるを得ないのだった。
本音を言えば全部保存しておきたいのだが、現状既に壁の2面が床から天井まで本棚で埋まり、クローゼットもぎっしりと本が詰まった収納ボックスで占領されているため、これ以上どこにもしまう場所がないのである。
「んー……これはまだ読むかなあ。……こっちは……」
そんな中から処分する本を選別する作業が簡単に終わるわけもなく、一度始めてしまえば半日以上かかることも少なくなかった。夏休みも半ばを過ぎ、特にすることもなかった月曜日と言う事もあって、史香は今朝から本格的な大掃除を試みていたのである。
処分することに決めた本を、二重の紙袋の中に詰め込んで。文乃はフローリングの上に積み上げた本の山の中で、こきこきと首を鳴らす。
「ふー……こんなもんかなあ」
大きく膨らんだ紙袋を三つ、よいしょと力を込めて部屋の隅へ。
時計を見ればもう午後の2時を回っていた。
整理を始める前に持ち込んだペットボトルのお茶は2時間も前に空っぽとなり、いまはむなしく床の隅に転がっていた。
朝食後、すぐに整理をはじめたわけだから、かれこれ6時間近くも熱中していたことになる。お腹も空くわけだった。
「んっ……」
そして――空腹よりもはっきりと感じる生理現象が、もう一つ。
積み上げた本を動かしている間にも、部屋着のハーフパンツの脚の付け根を、立て膝のかかとが、片手が知らず押さえてしまう。
部屋の中、誰の視線もないということで、大胆に押さえられた足の付け根、ハーフパンツの股間の布地にきゅうっと皺が寄せられる。
ぴったりと寄り添った太腿がせわしなく擦られて、フローリングがかすかに音を立てた。
実はもう数時間も前から文乃は尿意を感じていた。下腹部の乙女のダムは、貯水量がすでに危険水位を超えていることを、かなり前から警告していた。
それにもかかわらず、史香は目の前の本の整理を優先し――いつしか尿意は相当激しいものになっていたのである。床の本を持ち上げようと身体を曲げるだけで、じんっ、と甘い痺れが恥骨を走り抜け、ダムは放水警報を繰り返す。
(あー……ちょっと、やばい、かもっ)
本を段ボールの中に押し込みながら、片足立ちになってもう一方の脚をふくらはぎに擦りつけ、掴んだシャツの裾を下へと引っ張り下ろす。
ついにはその場で小さく足踏みをし、腰をよじる、まるで幼稚園の子のような、みっともない我慢のダンスまで始めてしまう史香。
こと本に関しては、夢中になると他の事をすっかり忘れてしまうのが史香の悪い癖であった。誰かとの約束や登校時間どころか、食事や睡眠まで無頓着になってしまう事も少なくない。本屋巡りをしていてトイレを後回しにしてしまったり、図書館で本を読むのに熱中しすぎて、閉館のチャイムと同時におしっこをチビリそうになっているのに気付き、トイレに駆け込んだなんてことも一度や二度ではなかった。
我に返ってみれば、まっすぐ立っていられないくらいの尿意を訴えていることにようやく気付き、史香は。もじもじと足を擦りあわせながら腰をあげる。
「ちょっと、休憩――」
いい加減おなかもすいたし、あとはご飯の後で、と。
そう思いながら振り返った史香はの言葉は、尻すぼみに消えていった。
「あ……」
部屋の出口、ドアの前には、たくさんの本の山と共にずっしりと大サイズの段ボールが計六つ、縦横に重ねて積み上げられていた。
……られていた、と他人事のように言ってはいるが、これは何を隠そう、史香自身が積み上げたものだ。普段、クローゼットの中にしまい込んでいる段ボールは、史香が小さな頃から大事に取ってある本が納められたものだ。今日は気合を入れて整理をしていたため、後で中身を確認しようとドアの前に並べていたものである。
内開きのドアの前にずしんと鎮座した段ボールは、まるで天岩戸を塞ぐ大岩のように、あるいはアリババの盗賊団が隠れた巨岩のように、部屋の出口を塞いでいた。
「あちゃー……」
そういえばそうだったと思いなおしてみるも、いまさら事情は変わらない。
内開きのドアの手前に段ボールが積まれているのだから、当然それをどけなければ部屋からは出られない。
つまり。
このドアの前を片付け終えるまで、トイレには行けないということだった。
「んっ……」
思わぬ事態に陥った史香の背中が、強い尿意にぶるりと震える。
じわり、と嫌な汗が背中を流れるのを、史香は感じていた。
じんっ、とハーフパンツの股間にイケナイ感覚が走り、史香はわずかな焦りと共に足を擦り合わせながら、段ボールの傍に歩み寄る。
「えっと……」
積み上げられた本の山を、動かすのももどかしく。本と本の間のわずかなスペースに爪先立ちになった史香は、段ボールの隙間からかすかに覗くドアノブに手を伸ばす。
体を横向きに、斜めに倒して伸ばした指先が、辛うじてドアノブの端に引っ掛かる。
「んぅ……っっく……ぅっ……!! ふぬっ……」
しかし、重い段ボールを手前に置いたまま、ドアを開けられるはずもなく。いくら力を入れたところで、わずかに開いたドアは、段ボールの山にぶつかって重い音を立てるのみだった。
それどころか、爪先立ちの上に無理な体勢で力を入れたのがいけなかったのか、満水状態の乙女のダムが、一気に決壊に向けて動き始めてしまった。
「ふぁ…っ!?」
ひくん、とハーフパンツの奥、下着の中でおんなのこの出口が収縮し、硬く張りつめた下腹部が強い尿意を訴え始める。
びく、と眉を震わせ、史香は咄嗟に目を閉じてしまう。
「ぅあ……っ」
史香はすぐに、ドアを開けるのを諦めて、足の付け根を思い切り両手で握り締めなければならなかった。恥ずかしい場所にぎゅうぎゅうと手を重ね当て、爪先立ちのまま太腿を強く擦り合わせる。ハーフパンツの付け根に押し込まれた指が、ぎゅうっとオシッコの出口を押さえ込み、皺を寄せて握り締める。
不安定になった爪先が本の山を押し、崩れ落ちた数冊の文庫本が地面に散らばる。
「っ……あ……ちょっと……ま、っ………くぅうっ、あぁんっ」
普段の史香なら、まず人前で見せることはない、女の子みたいな鼻にかかった甘い声。
女の子の出口を激しくノックする恥ずかしい熱水の圧力に耐えかねて、史香は身体を激しくよじり合わせる。乙女のダムがきゅうんと疼き、ひくひくと収縮の前段階を見せ始める。
「っ……」
史香はそのまま本の上に膝をついてしまいながらも、きつく息を詰め、なおも思い切りぎゅうぎゅうとあそこをねじり押さえる。
そうして、――およそ、5分。
はあはあと大きく息をつきながら、史香はゆっくりと、手の力を緩めていった。
(……よかった、……おさまった……っ)
ぶるる、と尿意の波の『揺り戻し』が下半身を震わせる。
懸命の我慢の甲斐あって、どうにか波を乗り越えることができた。
きつく閉じ合わせた足の付け根は、なおもちりちりとむず痒さを訴え、ますますかたく膨らんだおなかはハーフパンツの上からでも解るほどではあったが――まさかのオモラシの危機が、ひとまずは去った事に史香は安堵する。
しかし、じわじわと高まる水圧は下腹部のダムをいっそう強く張り詰めさせ、はち切れんばかりに溜めこんだ恥ずかしい熱水でさらに薄く引き伸ばされていた。
乙女のダムが再び放水を始めようとするのは時間の問題であり、今度のそれは即『決壊』につながりかねないのは明らかだった。
繊細なバランスの上で危うい均衡を保っている下腹部を庇うように、かたく張りつめたおなかをハーフパンツの上から撫でさすり、史香は、背中にじっとりと汗を浮かばせて、目の前の段ボールを見上げる。
「ど、どうしよ……これ……」
もちろん、このまま全部の本の整理を終えるまで我慢するなんて言うのが無理なのは明らかだった。下腹部はきつく張りつめ、ルーズなはずのハーフパンツのゴムまで、軽くおなかに食い込む感覚がある、
今すぐにトイレに駆け込みたいと叫ぶ下半身は、塞がれているドアを前に、話が違うとばかりにさらに激しく尿意を訴え、史香はいよいよもじもじと腰を揺すってしまう。
「と、とにかく、急がなきゃ……」
だが――そうしているだけで、部屋の出口が開く訳ではない。史香はわずかに震える手で、段ボール周りの本をどけ始める。
……が。
いくら余裕がないとは言っても、まさか、本をぽいぽいとそこいらに放り投げるわけにもいかない。しかし床に膝をついての動作は、危機的状況にある下腹部には猛烈な負担をかけた。
脚の間に手を挟み、ぎゅうっとハーフパンツを引っ張り上げる。
突き出したお尻がくねくねと揺れる。
「ぅ……ぁ、くぅ……ふ、ゅ……っ」
悩ましげに寄せられた眉が、きゅうっとよじり合わされ、びく、と指先が硬直する。
片手に本を握り締めたまま、もう片方の手でオシッコの出口を握り締め、数十秒――動きを止め。はあはあと荒い息をつきながら、作業を再開する。
尿意の波を受け流しながらでは、思うように片付けもはかどらない。
床に積まれた本の山を動かすにはどうしても四つん這いになっての作業が必要であり、その体勢は、貯水量の限界に迫る乙女のダムにとって、もっともイケナイ姿勢のひとつだ。
そして――普段でも、気合いを入れて両手でなければ運べないような段ボールだ。おぼつかない足取りと、へっぴり腰でもち上がるはずもない。
まして、史香の左右の手のどちらかは、ほとんどひっきりなしに足の付け根を押さえ込むのに使われている。そんな状況で重い荷物など持ち上げようものなら、その結果は明らかだ。
押し寄せる波のタイミングを見計らって、なんとか両手を自由にし、ダンボールに手をかけ、力を篭めてはみるものの、太腿はぴったりと寄せ合い擦り合わされ、大きく後ろに引けた腰で地から仕事なんて出来るはずもない。
「よ、い、しょ……ひぁっ!?」
おなかに力を入れようとしたその反動だけで、きゅうんと女の子の出口が悲鳴を上げる。ぷくうっ、と膨らんだオシッコの出口から、ぴゅるっ、と熱い雫が押し出され、下着にじわっと広がってゆく。
「っ……………」
歯を食いしばって、それ以上の崩壊を押しとどめながら、史香は激しく腰を揺すり立てる。
何度も限界に近い我慢を経験して、鍛えられた括約筋も、酷使されすぎてすり減ったように力を失いつつあった。
ほんの少し力んだだけでこれだ。思いきり力を入れようものなら、間違いなくこの場でオシッコが始まってしまうだろう。
は、は、と息が荒くなり、背中の汗がますますひどくなる。
下腹部は次第にずきずきと鈍い痛みすらともない、猛烈な尿意をさらに加速させてゆく。
「んぁ……っ、あっあ……っ」
とうとうじっとしていることもできなくなって、史香はその場で大きく、行進のような足踏みまで始めてしまう。
「あ、っあ、まずい、ってば……っああぅっ……」
どうしよう、どうしようと口の中で呟きながら、困惑と焦躁の中、余裕を失くした史香は足の踏み場のない狭いフローリングの上をぐるぐると歩き回る。
万が一にだって、オモラシなんて許されない。
いい歳してそんなことできるわけがない、という乙女としてのプライドだってもちろんあるが、ここは史香が長年かけて集めた、書庫なのだ。大切な本が山と積み上げられた部屋には、わずかな水気だって致命的なモノになりうる。絨毯でも敷いてあればまた話は別かもしれないが、床は一面のフローリング、勢い良く噴き出した水流は、一体どこまで広がってしまうか想像もつかなかった。
そして、本の山の中には親戚や学校から借りてきたり、預かっているものも含まれているのだ。もし我慢できなかったら、そんな大事なものまでオシッコで水浸しにしてしまうことになる。
「っ…………」
部屋のドアを塞がれたまま、時間だけが過ぎ去ってゆく。
いよいよ切羽詰まった尿意は、史香の理性までも大きく追い詰めていった。
「で、……ちゃう……っ」
きゅうんと疼く下腹部に、懸命に押さえ込んだ手のひらの奥。じわりと熱い感覚が染み出してゆく。既にハーフパンツの一部にまで色の変わった部分が見えるほどだ。
「あ……ぁ、あっ、……だ、め……っ」
ぱくぱくと、酸素を求めるように史香の唇が喘ぐ。
藁をもつかむ思いで懸命に巡らせた視線の端に、ちらりと、空っぽのペットボトルが映った。
恐らく、いま史香を苦しめているこの恥ずかしい熱水の素となったであろう、お茶の入っていた透明容器。
――最悪、あれなら床を汚さずに、オシッコを済ませる事ができるんじゃないか?
ラベルもはがしていないペットボトルの飲み口に、恥ずかしいところを押し付けて、猛烈な勢いで吹きだすオシッコをその中に注ぎ込んでいる自分――
普段なら思いつきもしない想像が、史香の頭をよぎる。
あり得ない想像に慌てて頭を振る史香だが、もはやそんな方法での排泄の誘惑すら否定できないほどに、尿意は限界に差しかかっていた。
健康な少女の身体の隅々を巡り、長い時間をかけて抽出された水分が乙女のダムを満杯にするまでに注ぎ込まれ、押さえこんだ下着の下で排泄孔はぴくぴくと蠢き、羞恥の噴出の瞬間のカウントダウンを刻み始める。
「ぁぁあ……っ!!」
史香が硬く身体を竦ませ、ぶるぶると腰を震わせる。
同時、少女の脚の付け根では、じわっとハーフパンツの染みが一気に広がり始めた。これまで色を変え、湿っていた程度だったそこが、一気に水気を増し、つついただけでしたたり落ちそうなほどの水分を溢れさせる。
きゅうん、と強烈な圧力で、少女の理性を打ち破るかのごとく、自律神経が少女に排泄を命じる。脚の付け根に、猛烈な水圧が押し寄せ、おんなのこの出口が打ち破られる。
「だめェ……っ!!」
ハーフパンツの股間を硬く握り締め、史香は、強引にドアへと突進していた。段ボールを突き飛ばさんばかりの勢いで、無理やりドアノブを掴み、力任せに引き寄せる。
が。足元も確かめずに大きく踏み出していたことで、史香の爪先はちょうど不安定な本の山を踏んづけていた。
「っ!?」
半分斜めになっていたハードカバーの本は、ずるりと滑り、史香は大きく脚を広げる格好で前に倒れ込んでしまう。
きゃ、と悲鳴を上げる暇もない。
史香は反射的に、股間の手を離し段ボールを掴もうとしたが、ドアに押されて不安定になっていた箱は、大きく傾いてどさりと中身をまき散らした。
同時に、しっかり閉じ合わせていなければならなかったはずの足が、強引な開脚状態で本の山の上に直撃する。
転倒の衝撃と共に。
じゅ、ぶじゅっ、じゅぶぶぶじゅじゅじゅぅううぅうっ!!!
猛烈な水飛沫の音を響かせ、脚の付け根の排泄孔が、凄まじい勢いで水流を噴射させた。ぷくりと膨らみ、そのまま大きく広がったオシッコの出口から、猛烈な勢いの黄色い奔流がほとばしり、下着の股間をみる間に侵食して、ハーフパンツを水浸しにする。
鍛えこまれた排泄器官が可能にする、完全遮断からの一斉放水。噴き出したオシッコの勢いで、文庫本の薄いページがくしゃりと押し流される。
「あ、あっああぁあっ、あーっ……っ」
腰を打った衝撃と、耐え続けていた尿意の解放による快感が、がくがくと史香の腰を震わせていた。背筋を走り抜ける心地よさに呂律が回らず、思考までもがまとまらない。
はち切れんばかりに膨らんでいた中身を、思い切り股間の先端から噴き出させ、はしたなくも強烈な音を響かせる。膨らみ切っていた膀胱が、元の大きさに戻ろうと強烈な反動で収縮するのにともなって、史香のほとばしらせるオシッコの勢いは、まさに異常とも言えるほどだった。
常から、我を忘れて読書に熱中し、トイレに行きそびれて超時間の我慢を繰り返していたからだろうか。史香の排泄器官は、同年代の少女の平均を大きく超えて強靭なものであったのだ。それゆえ、我慢の限界を迎えた時の被害もまた、尋常なものではなかったのである。
じゅ、じゅじゅじゅっ、ぶじゅぅっ!!
びちゃびちゃびちゃっばちゃちゃ……っ!!
「ぁ……や、やだ、ぁっ」
観る間に本は水浸しになり、床上にも水たまりが広がってゆく。なおもじゅじゅじゅぅと激しく壊れた蛇口のような放水音は、本の上に落ちた史香のホットパンツの股間だけではなく、広くおしりの上、腰上近くまでびしょびしょに濡らしてゆく。
史香は、這いずるように四つん這いになって、少しでも本の山から離れ、これ以上の被害を広げないようにする。しかし、ハーフパンツは既に限界を超えて水浸しであり、噴き出したオシッコは少しも吸収されないままびちゃびちゃと床に噴き付けられてゆく。手と膝をついたまま、高く上げたおしりからオシッコを迸らせる様子は、まるで犬か猫の用足しのようだ。
そうしてフローリングに飛び散ったオシッコは、これまで無事だった本の山にまで、飛沫を降り注がせていく。
まるで、集めた本に『これは私の!』とオシッコでマーキングをしているかのようだった。
「っ………」
いつ、果てるともなく続くオシッコで、大事な大事な本を台無しにしてしまいながら。それでも史香は、小さくヒクつく腰を抑えきれない。
じんじんと痺れるような甘い疼きは、そのまま乙女のダムが打ち震える、極限の我慢からの解放への悦びだった。
夏の午後、蒸し暑い部屋の中。むっとするほどのおんなのこの匂いを漂わせながら、密室と化した書庫の中で。
史香は、長年かけて集めた、大事な大事な本たちに、大量のオシッコを浴びせかけ続けた――
(初出:おもらし特区 2011/8/11)
◆原案
> 部屋の掃除してたら部屋からでられなくなって、トイレ行きたかったのに行けなくなっちゃって、
> 部屋の出入口を塞いでるガラクタの山を乗り越えようとして足を踏み外して、
> ガラクタの山にダイブしながらおもらしする小説を切望します