里佳子の斜め前で、同じようにアスファルトの上に深く腰を落とし、うずくまったまま、それでも懸命に前に進もうとしているのは芽衣だ。
芽衣のスカートは大きくめくれ、可愛らしいおしりとまぶしい太腿が露わになっていた。
無防備な下着の股間を立てた靴のかかとに押し当て、背中を反らせ、おしりを左右に揺り動かしてぐりぐりと身をよじる。白い下着に包まれた『おんなのこ』を押さえ込んで、オシッコの噴出を防いでいるのだ。もはや手で押さえる程度では抑えきれないほど、芽衣の下腹部の水圧は高まり続けている。
「が、我慢、がまんしな、きゃ、ぁあ……っ」
とっくに乙女のダムの限界水位は超えているのだ。いまにも水圧に負けそうなオシッコの出口はヒクヒクと痙攣し、このままここでオシッコをしてしまえと芽衣を誘惑する。はしたない欲望に抗おうと、芽衣は大きな波の合間を見つけては、ぐりぐりとオシッコの出口に踵をねじりつけながら、少しずつ前に進もうとしていた。
わずか数センチでも、トイレに近づく。芽衣はまだ見ぬ公衆トイレを諦めず、しゃがんだままの右足をほんの少しずらし始めた。だが、前に進むには女の子の大事な部分押さえ込む左脚のかかとを離さなければいけない。少しでも支えを失えば股間はぶじゅぶじゅとだらしなくオモラシを始めてしまうだろう。
「……だ、だめ、……こんな、ところで、オモラシなんか……っ」
無茶だとは分かっていた。それでも、乙女のプライドはそんな醜態を許容できるはずがないのだ。芽衣はカニ歩きのような横移動で靴底を削るようにして、慎重に腰を浮かせてゆく。
瞬間、感覚のなくなり掛けていたあそこからじわっと染み出すものがあった。
「ひっ……」
満水のダムから溢れ出した水流は、踵の押さえ込みが緩んだ瞬間を見逃さない。一気に下着に湿り気が広がり。膀胱をぱんぱんに膨らませている恥ずかしい雫が、じゅじゅじゅとお尻を伝って噴き出してくる。
「っはぁあ……ダメ、ダメぇっ……」
芽衣の左手が力いっぱい下着を引っ張り上げる。いまにも破れそうなくらいに深く食い込んだ股布には、すでに大きく恥ずかしい染みが広がっていた。黄色いオシッコの染みは、見る間にどんどんとその領域を広げ、すぐ下の芽衣の靴のかかとにまで滴り始める。
芽衣はなんとか放水口を締めつけようとするが、もはや下腹部の圧力に抗えなかった。狭い出口はみるみる緩み、しゅるしゅると恥ずかしい水音を響かせてゆく。
「っや、で、でない、で、出ちゃ、あぁ、あっぁっあっ……」
ぶしゅっ、じゅっ、じゅぅう、しゅるるるぅ……
アスファルトを削るような横歩きを続ける芽衣は、その足元に10センチおきに恥ずかしい水たまりを作ってゆく。ぽたぽたと滴っていた雫はすぐに蛇口を緩めたようにちょろちょろと溢れ、さらに勢いを増していった。
「あっあっ、は、ぁっ、っく、や、っ、と、止まんないっ、あ、だ、ダメえぇえ……ッ」
声を絞り、再び靴のかかとに下着の股間を押し当てるが、もう遅い。いくら体重を乗せぐりぐりと『おんなのこ』を押さえこんでも、水門を押し破って噴き出す放水の勢いは変わらなかった。弱まるどころかいよいよ本当の勢いで地面を直撃するオシッコの噴射が、じゅごおぉーーっと猛烈な勢いでアスファルトを叩き始める。
「だ、ダメっ、トイレ、早くトイレ……っ!!」
芽衣は下半身から噴き出す恥ずかしい噴水を止めることもできないまま、カニ歩きのような移動を続ける。もはやトイレに間に合うはずもないことは明らかだか、人前でのオモラシという事態に直面し、羞恥に焼き切れた少女の思考は冷静な判断をすることもできなかった。
ただ、どんどん勢いを増していく水流を見られたり、排泄音を聞かれたりしたくない一心だった。
「いぃ、いやぁ!! やだ、っと、止めてぇ! だれか、止めてぇぇぇっ……」
最初の内は下着の股布にぶつかりお尻を伝っていた細い水流は、勢いを増すにつれて斜め前の地面を直撃する。下着の奥でくぐもった音を出していた芽衣のオシッコは、締めつけていた水路が緩み、ヒク付く排泄孔がぷくりと口を開くに従って、その勢いを増していった。
ぶじゅぅううぅうううううううっ!!!
「いや、いや、いやぁぁぁ……!!!」
前方の地面を強く打ちつけ、芽衣の身じろぎに反応して蛇のようにのたうちながら撒き散らされる黄色い水流。もう芽衣の力ではどうやっても止める事はできない。
出口を見つけたオシッコは猛烈な勢いで放たれ、駐車場の一角をトイレの代わりに、アスファルトの上で大きく泡立ちながら大きな水たまりを広げている。これまでどれだけ芽衣がオシッコを我慢してきたのか。それを分かりやすい大きさと量と、匂いと色、全てで叫んでいるのとかわらないものだった。
勢い良く噴き出してじゅごおぉおと響くオシッコを地面に噴射しながら、猛烈な後悔と激しい羞恥心を刺激され、芽衣はとうとう泣き崩れてしまった。
社会見学バスの話・66 三浦芽衣
