小説 河川敷の運動会・7 大混雑の仮設トイレは、男子トイレの一部を女子用に開放してもますます順番待ちの列を伸ばし、故障の続く個室は次々とタンクを一杯にして汚水を溢れさせて使用不能。せっかく並び続けた列から弾き出られた少女の中には、我慢に耐えかねてそのままその場でオモ... 2012.02.17 小説
小説 河川敷の運動会・6 「うわ……混んでる……」 仮設トイレ前の混雑を目にし、真紀は思わず声を上げてしまった。 真紀は選手としてではなく、放送委員として大会の運営に関わっていた。運動会ということで体操服にこそ着替えているが、その実質は肩に羽織ったジャージの腕章が示... 2012.02.17 小説
小説 河川敷の運動会・5 仮設男子トイレと女子トイレの間――順番待ちの行列でごった返す周囲の中に、奇妙な空隙が出来上がっていた。 人目を憚らずに体操服の上着を引き下ろし、あるいは手のひらで張り詰めた下腹部を撫でさすりながら、小さく下半身を左右に揺り動かす。少女達の我... 2012.01.02 小説
小説 河川敷の運動会・4 梅雨晴れの空に花火が鳴り響く。 開会から2時間ほどが過ぎ、河川敷の市営グラウンドには、続々と人々が詰め掛けていた。東西に築かれた紅白の入退場門にはジャージや体操服姿の少年少女達の姿が多く見られる。「がんばってね、二人とも」「うん。応援してる... 2012.01.02 小説
小説 校外学習のバスの話 梅雨の晴れ間の空は、見事なほどに雲ひとつなく晴れ渡っていた。 待ちに待った校外学習の日。5年4組の27人を乗せたバスは、県境近くにあるパン工場を目指して走る。 身近な産業に触れ、体験することで見聞を広め広い視野を養う――そんな名目もどこへや... 2011.11.05 小説
小説 本好きの女の子の話。 「あー。ここにしまってたんだっけ。これももう一度読まなきゃ……」 整理ボックスの底から拾い上げた文庫本をぱらぱらとめくり、史香は額の汗をぬぐう。 数年前にしまい込んだシリーズものの第1巻だ。来月完結となる最終巻が出るはずで、その前に一度最初... 2011.10.22 小説
小説 金髪少女と田舎のお話。 特区に投稿したもののマイナーチェンジ版。 青い空の下に、どこまでもアスファルトの道が続いていた。『んんっ……』 太陽の光を浴びて揺れる、緑深い森の匂いを胸一杯に吸い込んで、エレナはぐうっと胸を反らし、細い腕を伸ばす。 自転車に乗って走ってゆ... 2011.10.22 小説
小説 小公女サラ【メイド見習い編】 ある趣味@JBBSの往年の名スレよりネタを拝借。「ほら、なにをぐずぐずしてるんだい!! 急ぎな!!」「は、はいっ」 イルマに急かされ、サラは継ぎ接ぎだらけの古びた使用人服に着替えさせられ、厨房へと連れてこられました。 そう、今日からサラは使... 2011.09.23 小説
小説 仙人見習いのお話。 穏やかに陽気の満ちる、深い深い山の奥。どうどうと流れ落ちる滝の傍、見上げるほどの岩の上に、その娘は腰を下ろしておりました。 短く肩上で揃えた髪には、緑蔦を編み、貝殻を削った止め具を挟んで飾り、纏う服は仕上げも見事に鮮やかな紅の飾り絹糸で綴ら... 2011.09.23 小説
小説 両手に大荷物の話。 雨上がりの繁華街は、週末ということもあって人通りで混み合っていた。晩夏の空は相変わらず分厚い雲に覆われており、気温と共に湿度も上昇の一途を辿るばかり。 またいつ崩れ出すとも分からない天候を気にして、道行く人々の足取りも忙しない。「んっ、……... 2011.09.22 小説