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海とスクール水着のお話。

がたん、がたんとリズミカルに揺れる列車の中、さんさんと照りつける太陽に負けじと、冷房がフル回転を続けている。夏休みににぎわい混雑を見せる車内には大勢の子供達の姿も見え、毎日続くお休みを楽しむ声が聞こえてくる。 窓の外に流れる景色は強い日差し...
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河川敷の運動会・3

処理人数をはるかに超える利用希望者を生み出し、大勢の『おトイレ難民』を抱えることになった河川敷グラウンドの混乱は、午後を前にいよいよ混雑のピークに達しつつあった。 許容人数を超えた仮設トイレが次々と故障、あるいは不調に陥るという悲劇がはじま...
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河川敷の運動会・2

(やっぱり、こっちの方にはないのかなぁ……) 梅雨の合間に覗く青空の下。河川敷沿いの歩道の外れで、小上孝乃は途方に暮れていた。 肩までの髪を短くまとめ、足元はソックスに履き慣れたスニーカー。袖には所属チームを示す水色のリボン。 学校指定のス...
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河川敷の運動会・1

「いけー!! 負けるなーっ!!」「頑張れ、真琴ーーーっ!!」 河川敷の市営グラウンドが、応援と歓声に沸く。 心配されていた雨も前日午後には止み、梅雨の貴重な晴間となった6月第二週の日曜日。毎年恒例の町内会対抗運動会は、直前の会場変更をものと...
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小公女サラ【客用ティーポット編】

ある趣味@JBBSの往年の名スレを元にした話。「どうして……? どうして開かないの……!?」 困惑と共に、サラは何度もドアの取っ手に手をかけ、全身の力を込めて押し開こうとする。 しかし、来賓室の重い樫のドアはびくともせず、無情にも硬い手ごた...
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小公女サラ【馬小屋バケツ編】

ある趣味@JBBSの往年の名スレよりネタを拝借。「まったくだらしない娘ね。……よりにもよって学院の玄関でオモラシなんて。サラさん、あなたは自分のしたことが分かっているんですか!!」「で、でも、先生……」「口答えを許した覚えはありませんよ!!...
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小公女サラ【プリンセス転落編】

ある趣味@JBBSの往年の名スレよりネタを拝借。 重く硬いドアは、何度引いても開くことはなかった。 力なくドアを叩いていたサラの手は、縋りつくように木肌に指先を立てる。いまにもへたり込んでしまいそうに力を失った脚を小さく震わせて、サラは部屋...
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放課後待ち合わせの話。

みずたまりWEBサイトさんリスペクトの習作。 ツギハギ劣化コピーになってしまった。『――放課後、中庭で待っています』 まだ年も明けて間もない1月の朝。紺野若葉の新学期は、上履き入れに入っていた折り畳まれたメモに書かれたそんな言葉で幕を開けた...
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募金のお話。

「募金にご協力をお願いしまーす!」 雑踏の途切れぬ駅前で声をそろえるのは、市内でも有名な私立の進学校の生徒たちだ。濃灰の制服の襟元に輝く銀の刺繍は、内外に示される彼女達の誇りの証。 戦前、華族のご令嬢を育成することを目的に設立されたその学院...
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お姉さまと一緒のお話・2

「……ごきげんよう、彰子お姉さま。結衣さんも」「ええ、ごきげんよう」「ご、ごきげんよう、っ、姫子さんっ……」 笑顔と共に姫子たちが見送られ、ぎい、と閉じられたドアの中。 ようやく姉と二人きりとなった結衣は、ついにはしたなくも耐え切れず、ぎゅ...