我慢

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『おねえちゃん、おしっこしたいの…!』

ゆっくりと、進んでは止まるバスの中。遠足で元気いっぱい遊び疲れた『晴空の会』の皆を乗せて走る車内のそこここから、可愛らしい寝息が聞こえる。 インターチェンジの前、慢性的な渋滞にせき止められた高速道路、のろのろと動く車の列に挟まれた高速バス、...
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後輩と一緒の話。

細かい設定変わってるけど昔書いた「お姉さまと一緒の話」と同じ世界観。 グラウンドに、部活の声がこだまする。チャイムが鳴り、一日の終わりを告げる放送が校舎に残る生徒たちの帰宅を促す。夕陽に染まる煉瓦作りの校舎を背負った中庭に、二人の少女の姿が...
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男子トイレ閉じ込めの話。

上手くまとまらなかったのですごく中途半端。 いったい、なんの冗談だろう。 人に話したら笑われてしまうような現状を、私はけれど決して笑い飛ばすことなどできないままに、口を噤む。 私がここで目を覚まして2時間――つまり、私がこの部屋に閉じ込めら...
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お嬢様我慢の話

御令嬢我慢のバリエーション。 街中を、曇り一つない黒い車体を輝かせ、高級そうな送迎車が行く。 ほとんどエンジン音も響かせない車内の後部座席には、一人の少女の姿があった。 冬の穏やかな日差しにも美しく輝く深い黒髪は、絹を紡いだように乱れなく、...
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お嬢様ごっこ。

テーブルの上のペットボトルを取り、飲み口に直接口をつけてお茶を喉奥に流し込む。「んく…んくっ、んくっ……」 さかさまになったペットボトルの中で、ごぽっと泡立った水面が揺れる。 これが初めてってわけでもないけど、なにしろ全部で2リットルもある...
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モンスター・ペアレント

高野女史の抗議は、3時間にもわたって続いていた。 時計を見ればすでに7時。応接室に詰めた職員達の顔色にも疲労と困惑が濃い。それは私も同じことで、パイプ椅子に張り付いた腰骨がめきめきと嫌な音を立てる。まだやらなければいけない仕事は残っているの...
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佐都子妄想系

佐都子はイジメに遭っている。それもクラス全員が結託した大がかりなものだ。 相談できる相手はいない。先生や両親をはじめ、大人には信じてもらえないし、同年代の友達は全員、いじめっ子の味方をしているからだ。 どんなふうに説明しても、皆は佐都子の話...
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小さな従姉妹との話。

うららかな秋の陽射しの中、群れ生えるススキが静かに穂を揺らす。 川面の響かせる水音に街中の喧騒は押し流されて、高い青空はどこまでも晴れ渡っていた。「たまには揃って買い物もいいなぁ」「そうねえ。こうやって一緒にのんびり歩くなんて、子供の時以来...
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世界を救う勇者一行

「……ねえ、勇者様まだ戻ってこないの?」「うん……まだみたい」 ここはアマルカンドの西、黄金のカギの洞窟の地下3階。 魔王を倒し世界を救うべく旅を続ける勇者一行――その一員である戦士、僧侶、魔法使いの3人は、顔を寄せ合って勇者の様子をじっと...